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2 次なるターゲットは父様です。

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 それは今朝。メイドのキャリーが言った事から始まった。



「おはようございますリリー様。本日だんな様とトーマス様は王城へ行かれるそうですよ。」


「お城?!…痛いっ」

 がばりと起き上がりかけ、そのまま腰まで届く母様ゆずりの銀色の髪を踏んだ私はベッドに逆戻りした。


「あらあら、大丈夫ですか?お嬢様」

「ううう!もういや!かみの毛切るっ」


 毎朝の事ながら、この髪の毛はやっかいだ。細くて長いから絡まりやすいし、夏は暑いし頭は重いし毎朝踏んじゃって痛いし。

 元々私はショートカットが好きなんだ。洗うのも楽だし軽いし朝の支度もすぐに終わる。

 なのに、この国では女の子の髪が肩よりも短いのは未亡人しかいないんだって!

 誰だそんな法律作ったの!連れて来い!

 とは言えず、毎日この細くて長い髪の毛は私を苦しめるのだ。子供だからもう少し短くてもいいのに、綺麗だからという理由で切らせてもらえない。

 母様付のメイドの娘のミリーは肩までしかないのに!理不尽だ。


「こんなに綺麗な髪の毛を切るなんて、旦那様達が嘆きますよ。それにほら、こうやってお日様に当てるとキラキラ光ってとっても綺麗です」


 ……そりゃあ、日本人のあの真っ黒な髪の毛ではどんなに頑張っても出せない輝きだとは思うわよ。思うけどさ…

 むうと、拗ねる私にキャリーはくすくすと笑いながら絡まった髪をほどいていく。その優しい手つきにゆっくりと怒りも収まってくると、キャリーの言葉が戻ってくる。


 『王城に行かれるそうですよ』


「そうだ!お城!!」

 ここにはあるんだよ!お城が!!

 興味があるのは王でも王子様でもないお城!!領地からとてつもなく遠いお城に、兄様が行くとあっては付いて行かない理由がない!


「にいさまととうさまがお城に行くの?」

 突然騒ぎ出した私に驚きながらも、キャリーは私の質問に答えていく。

「そうみたいですね。朝からバタバタしていますよ。一緒に朝食を取られたら出発するそうなので、リリー様も早くお支度を…」

「こうしちゃいりゃれないわ!!」


 キャリーの言葉が終わらないまま、私はその場で洋服を脱ぎ捨て、出していたワンピースに着替えていく。

 その間約二分。モデルで鍛えた早着替えを終えた私が靴下を履いているうちに、キャリーは溜息をつきながら慣れた手つきで髪を編んでいる。

「リリー様。そんなに慌てなくてもまだ時間はありますよ」

「時間ないの!まずおにいさまからせっとくしなきゃいけないんだから!!…できた?」

「説得?なんだかわかりませんが、…リボンを結んでと、はいできました よ」

「ありがとうキャリー!行って来ます!!」



 という事で冒頭に戻るんだけど。

 兄さまを味方につけた私は、にこにこしながら兄さまと手を繋いで父様たちの所へ向っています。

 そんな私をとろけそうな笑顔で見るにいさま。いつもならそんな顔は恋人にでも見せてくださいよ…って思うけど、今日ばかりは気になりません!

にっこにこにこ。作らなくても湧き上がってくるスペシャルスマイル。

 ああ~!憧れのお城!その内部まで見られるかもしれないなんて興奮する!!!

 どんなお城なんだろ。石で囲まれた冷たさの残る中、明かりはランプや蝋燭とか。

 もしくは某ランドみたく、見た目にも美しい色とりどりの外装にもこだわったテイストか。

 ああー!想像だけでごはん三杯食べれるよ。


 ちなみ家は、普通の豪邸です。

 ん?普通の豪邸がわからない??

 そうだね。ハリウッドスターが住むような、プールや庭付き豪邸を思い浮かべてください。


 人気な方々ほど郊外にでっかい豪邸建てたりしますよね?

 あんな感じです。なんでも母様を溺愛する叔父上が建築の図面を引き、こだわって建てさせたんだそうで、ぶっちゃけこの家からくり屋敷です。

 とある進入者があちこちある罠に引っかかって泣いて助けを求めた事もあったみたいです。私も屋敷の歩き方には慣れてきましたが、まだまだ決まった場所以外は一人歩きは許させていません。


 あとはそうですね、プールの変わりに牛舎と馬舎があります。豚と鶏もいます。

 これは領主になって何年かした時にほどい災害があったらしく、その時の教訓で父様が、何かあったときの食料確保のために率先して始めたんだとか。(父様かっこいい!!)

 元々平民の父様は災害対策にも気を配り、屋敷の1階部分はぶち抜いて学校の体育館並に広いスペースも確保してます。

 もちろん騎士団長の父様は部下に異様なほど好かれてるので、平民である騎士の住民の半数は騎士団で埋め尽くされてます(…)

 父様が領主になったとたん引っ越してきたとか……

 なので町の治安はどこよりも良いと評判だったり。


 ようやく父様と母様のいる部屋の前に来ると、兄様は顔を引き締めて私を見、小声で話し出す。


「リリー。一緒に行くなら父様と母様の許可が必要だ」

「あい」

「無理な時はコッソリ出かける事になるが、味方に付けれれば護衛も付くからね」

「にいしゃまー。ごえいいらないよ。にいしゃまつよいもん!」


 侍女達の噂で知ってるぞー。騎士団の中でも有望株で、先日一人でオークを倒したって。

 まだたったの十二歳なのに、初の野営の途中、森の中で出くわしたオークに、逃げ出したり大騒ぎする友人達を尻目に、冷静に対処しったって。

 オークがどんなのかまだ見たことないけど、兄様の腕前はお父様も認めてるし(親ばか要素が入ったとしても)、最終手段もあることだし。


「だーめ。リリーは可愛いから浚われたらどうするの。僕がもう少し大きければ守りきれる自信はあるけど、まだまだ僕は小さくて非力だからね」


 むむむ。そう言われたらそうなのかと思えてくる。ここら辺と違って城下とか人が集まるところには悪人や変な人も多いだろうし。

 兄様だけじゃ対処できない事もあるかもしれないね。うん。攻略に全力を注ぐとしましょうか!


「そっかー、じゃあがんばる」

「よし!いい子だリリー」

「あい!」

 私も兄の超笑顔に負けない笑顔を振りまきます。



 ここを乗り切れば憧れの王城に行ける!!生のお城が見られるのだ。気合も入る!!

 いくぞ!女優瑠璃…もといリリアナ!


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