表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
埋葬士(インター)の俺だが、ツンのみデレなしの残念美少女に突っかかられたから愛でることにした。  作者: 倉永さな
閑話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/129

【とある旅人の手記】

 ウィータ国は、独特の文化を有している。

 私は徒歩であちこち旅をしているのだが、ウィータ国に近づくにつれ、我が目を疑った。

 遠目からでも分かる、色とりどりの地面。あれはなんだと首を傾げながら近づき、関所に着いて驚いた。

 関所は国と国の境に置かれているのだが、関所手前のウィータ国側の領地になると突然、まるで建物の内部のように木の板が敷き詰められていたのだ。このときはまだ、さすがに関所のあたりだけこうやって木の板が敷いてあるのだろうと思っていた。

 入国するために窓口に行き、私は違和感を覚えながらも所定の手続きを済ませた。私は地面に気を取られていて、周りの人たちの格好がおかしいことに気がつかなかった。

 無事にウィータ国に入国できたことに安堵しながら関所を通り過ぎたのだが、色とりどりの地面は続いていた。

 かなり豊かで通り道に敷石がしてあった国もあるのでここもそうなのだと思っていたのだが、歩いていくうちになにか違うというのが分かった。

 敷石のされていた国は、通り道となる場所にしかされていなかったのだが、ウィータ国は違っていた。

 通路とそうではない場所は段差をつけてあるので間違って道ではない場所に行ってしまうという心配はなかったのだが、遠くに目をやっても土が見えなかった。

 まるでなにかを隠すかのように敷き詰められた、色とりどりの木の板。

 そのことに気がついたとき、得体の知れないなにかが背中をなぞっていき、ぞくっとした寒気が駆け抜けた。

 これは、なんだ。

 どうして土が見えない?

 私は必死になってウィータ国のことを思い出した。

 昔に聞いた、ウィータ国の特徴。

 ──地の女神の加護が強すぎて、死んだものにまで力を与えてしまう。

 聞いたとき、そんな馬鹿なと笑い飛ばしたけれど、これを見てしまえば、事実であることが嫌でも分かってしまう。

 病的なほど、木の板で覆い尽くされている地面。

 この国で土を見ようと思ったら、木の板を剥がさなければならない。しかし、木の板も容易には剥がせないようになっている。

 この木の板を敷き詰める技術はすごいものではないだろうか。なにかに利用できないだろうか。

 思わずそんな“商売”めいたことを考えながら歩いていると、通行人の視線が痛いことに気がついた。

 様々な国を旅していると、その国によって友好度が違ってくるのは知っていた。ウィータ国は友好度が高いと聞きおよんでいたのだが、違っていたのだろうか。

 先ほどまでは地面を見つめて歩いていたので視線を上げ、すれ違う人たちを見ていて、自分との違いを見つけて愕然とした。

 なぜだ。なぜ彼らは円匙スコップを背負っているのだ?

 もしかして、荷物は背負っているが円匙を背負っていないから伺うような視線を向けられているのか?

 そういえば、と思い出す。関所の壁に『円匙 五十フィーネからあります』と張り紙がされていたことに。

 なんで円匙? と思ったのだが、もしかして、この国では円匙を背負うのが当たり前なのだろうか。

 すれ違う人たちを観察していると、全員が円匙を背負っていた。さらによく見ていると、色は様々だったが、やはりそれらも木で出来ていた。

 そういえば、関所の建物も木で出来ていた。

 建物も、地面も、持ち物さえすべて木だ。少し遠くに目を転ずれば、平らな地面の上にかなり立派な木が生えているのが見えた。この国で生活している人たちだけが生身の身体をしている。

 この国は──木で出来ている。

 そういっても過言ではないかもしれない。


 地の女神の加護は未だあり、そして人々はその力を畏れている。

 私がウィータ国を旅して思ったのは、そんな感想であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。










web拍手 by FC2









― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ