愛ノカタチ
「色が出せない」
彼がそう呟くようになったのはいつからだったろう。
大好きな彼は画家でした。少し名の売れた画家でした。
「色?」
私の問いに彼は虚ろな瞳で答えました。
「血の色が出せないんだ」
あの鮮明な紅が… その小さな告白を聞いた日から、彼は少しずつ苦しむようになりました。
色にこだわりたいと思う反面、本物の紅を見るためには…と考え、そして考え付いた思いに絶望し…狂気と正気の狭間で苦しんでいるようでした。
「紅が見たい」
優しいあなたは人の血が一番紅に近いコトを知っているから、考えてはいけない考えを抱く自分が許せないようでした。あぁ…彼にもらったものは数えられないのに、私ができることは何も無いの?それなら私が彼の側にいる意味なんてあるの?そう考え、狂気と正気の狭間で苦しむ彼を見ていると最も簡単なコトを思いつきました。
苦しむくらいなら、優しい彼が苦しむくらいな…いっそのこと壊れてしまえばいい。
苦しむことも悩むことも辞めてしまえばいい。
紅をあげるから。
ある日、私は自分の首に深く深く細いナイフを突き立てました。
彼の前で、彼の大好きなアトリエで。
ナイフを引き抜くとその部屋は驚くほど簡単に真紅に染まりました。
彼も私の紅に染まりました。
壊れてしまえ。
苦しまないで。
あなたの欲しいものをあげるから。
悩まないで。
私の紅だけを覚えてて。
壊れてしまえ。さぁ。紅の世界で夢を見ましょう。覚めない夢を。あぁ…彼にもらったものは数えられないのに、私ができることは何も無いの?それなら私が彼の側にいる意味なんてあるの?そう考え、狂気と正気の狭間で苦しむ彼を見ていると最も簡単なコトを思いつきました。
苦しむくらいなら、優しい彼が苦しむくらいな…いっそのこと壊れてしまえばいい。
苦しむことも悩むことも辞めてしまえばいい。
紅をあげるから。
ある日、私は自分の首に深く深く細いナイフを突き立てました。
彼の前で、彼の大好きなアトリエで。
ナイフを引き抜くとその部屋は驚くほど簡単に真紅に染まりました。
彼も私の紅に染まりました。
壊れてしまえ。
苦しまないで。
あなたの欲しいものをあげるから。
悩まないで。
私の紅だけを覚えてて。
壊れてしまえ。さぁ。紅の世界で夢を見ましょう。覚めない夢を。