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週一更新のつもりでしたが…とりあえず、詳しくは活動報告にて。

ペット可、っていう宿屋を見つけ部屋に落ち着く。まぁ、魔法使いの中には使い魔を連れているのも居るし、ペットを連れて旅をする貴族なんかもいるらしいし、騎士の中にも連絡用に鳥を連れているって人もいるらしいから、そういう宿は少なからずある。


相場よりも弱冠高いけれどね。



一階に食堂を兼ねた酒場があったので、ご主人に聞いてみると歌わせてくれるとの事。出来如何では宿代を免除してその上お金をくれるって話だけど、上手い話には何かあるといけからな、演奏料(っていっていいのかな?)は貰うとしても宿泊料はきちんと支払おう。もしくは、ちゃらの対価交換。


一応、レンとレギオンの前で歌ったけど、自分の声って良く解らないのが本音だ。いや、自分ではなくリーリアの声なのだけど。

二人は絶賛してくれたが…マザコン坊やの褒め言葉なんて、どこまで信用していいのやら、だ。


まだ時間的に早いので、軽く腹ごしらえをしておく。ここでの初めての料理だけど、食材はどこかで見たような物…まぁ、無理ないか。味付けは薄味。旦那達と違って長女と私は薄味が好きだったから問題はない。次女や旦那なら耐えられないだろうなぁ、とちょっと懐かしく思い出してみる。

床に置く形になるけれど、ブランやシュルツにも食べ物を出してくれる。必要はないけれど食べることは出来ると、彼らも口にする。基本彼らの『食事』は生き物の『気』である。…ここまでは、私の設定。



『魔』はそれぞれコントロールして『気』を搾取する。自分が存在するに足りる程度で済ませるから、本来なら何の問題も無く共存しているのだが、(人間は、生きているだけで喜怒哀楽の『気』が駄々漏れなんだもん。とはブランの台詞)中には『気』ではなく、人の血肉を好む『魔』も居るとの話に絶句して、我に返る。


『陰魔』とか『妖魔』と呼ばれる存在。

「作ったわね、確かに。騎士や魔法使いのサーガのネタで」



部屋に戻って思い出して口にする。思考だけの会話って、結構疲れるからね。

初期設定で、放っておいたモノだったけど、生きてたのね、悪い事したかしら。

【必要悪だと主が申していた。お気になさることはない】

必要悪、ねぇ。

【左様。この世界はご母堂の手により創られたものではあるが、すでに一人歩きもしている…この世界の時間で言うなら創世記より、すでに多くの歴史が繰り返され、その多くはご母堂のあずかり知らぬこと】

<大概お前も言い方冷てぇよな。ま、事実だけどさ。…お袋さま、リーリアと同世代で創った奴が居るだろ?リーリアとは接点が殆どない奴だけど>

リーリアと同世代…?いたっけ、そんな奴…って。あ。

「カーマイン!大国シェードの皇帝」


運と部下に恵まれた皇帝。どう転んだら、国を広げれるかってシュミレーションの実験材料。



<現実は、そこまで運に恵まれちゃ居ない。そこそこ実力はあるから領土は多少広げてはいるが、あのシュミレーションみたいに上手くはいかない>

確かに『わらしべ長者』のノリだったから。

<奴だって、ちゃんと親があって、その親から譲り受けたものが出発点だ。お袋さまが作ったものが全てじゃない>

それはそうだろう、自分が知らない国、自分が知らない歴史、それら全てがこの世界となっている。

【そもそも、ご母堂がお付けになった『ヒースキングダム』という言葉は、こちらでは神々の世界を意味する言葉だ】

っていうか、この話の主題だったはずなんだよね。あくまで初期の、ちゃんとしたストーリーを作ろうと考えていた中学生の頃の話だけどさ。



【思い悩まれることはない。ご母堂がご母堂らしく生きていかれれば主たちも喜ぼう】

<業腹だけど、コイツの言うとおりだぜ?リーリアの形を取ったのも、こいつが何にも縛られない人生を望んでいたからだろう?>


そう、リーリアと言う少女は出自も何も解らない。旅芸人の一座に拾われ育てられた娘だ。その一座も、団長の体調と花形の引き抜きで解散という形になってからの話だったはず。…挫折したけど。

あ、思い出した。カーマインがリーリアと同世代だった理由。王宮に引き抜きにあうんだけど、断るんだよね~。縛られるのは嫌だからって。



数年先の話だから、実際起こるかどうか解らない話だけどさ。



「神々でさえ視ることの許されない、いくらでも変える事の出来る未来…これが、この話の初期設定だったわよね。若かったわよね。つくづく思うわ」

しみじみとしてる私に、二匹は複雑そうな顔をしていた。


「とりあえず、ここで暫く様子を見て、次に何処へ行くか決めましょ。目的も何もないから、のんびりと行けばいいわよ」

ね。と笑うと彼らも頷き返してくれる。

「さて、そろそろ頃合かな?下に行って来るわね」

お留守番よろしく、と出て行った後、彼らがお互いに顔を見合わせ重い息を吐いたことなど私は知らなかった。




この世界は、確かに私の設定したものを「元」にしてはあるは、独立した世界だと身にしみるのは、これより暫く後の話。




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