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描きたい戦闘シーンが書ける! 戦闘描写攻略法  作者: 月待 紫雲


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8/8

次の瞬間に頼らない書き方

 以前Xでバズったんですけど(数少ない自慢)(おい)、


「バトルシーンに関して気がついたら次の瞬間とかその時ばっかりになっている」


 という悩みがあったんですよね。それに対する回答です。


 状況に即した描写を意識することです。


 たぶんスピード感と戦闘のすごさを出そうとしてド◯ゴンボールみたいな瞬間移動してヒュンヒュンヒュンドコンドコーン! みたいなのを文字起こししようとしてると思うんですよね。安心してください、あなたの作品にサ◯ヤ人はいないはずです。


 動体視力、体感時間という言葉があるように、キャラが追えるスピード、思考できる余裕には差異があります。実際は一瞬でもその場で選択肢がいくつも出て、瞬時に思考→判断→選択を無意識に行えているはずです。だって私がエル◯ンリングナ◯トレインで床ペロするときがそうだから()。



 例文をズラッと出しますね。というかバズったときのやつまんまなんですけど


1 隙を埋めるように刃が襲ってくる


・これはまぁ、この後隙ができると思ったら埋めてくるじゃねーかという描写です。相手が巧みに剣を扱ってきたというわけですね。



2 気がつけば攻撃が目前まで迫ってきた


・攻撃が当たる直前まで認識できていなかったというパターン。その時とかその瞬間の代用の描写に使えますよね。



3 体が勝手に反応し、剣を弾いていた


・見えてないけど習慣のおかげで反射的にどうにかなっていた。つまり修行して強くなったけど実戦してないし、実感もできていないところで成果を実感する場面になるわけですね



4 凌いだと思った矢先に、息も許さぬ連撃


・攻撃を避けきったと思ったらまだ攻撃が続いて敵だけ楽しそう。前者は安心、後者は焦りを演出できますね。

 


5 後退すると追いかけるように踏み込まれ、逆袈裟に剣を振るわれる


・相手がこちらの動きに追いついてきている描写ですね。「追いかけられている」ので精神的に圧を感じるような描写になるはずです。



6 剣を叩きつけると相手は笑ってみせた


・斬るとか振るうじゃなく叩きつけると表現することで力任せなことを表現します。あ、叩き切るタイプの剣だったら別ですよ? それで技術的に格上の相手は笑ってくると……ムカつきますね()。


7 取った──!

 そう、確信した。確信できるほど完璧だった。

 だがそれはただの勘違いだったと気付かされた。いとも容易く、その確信はいなされ崩されたのだ。


・これはほぼ心理描写ですね。完璧にできた、というのが崩される瞬間、自信の喪失でピンチに持っていくわけです。

「取った、そう思った次の瞬間には、その攻撃はなんともあっけなく防がれていた」よりはかなり心理状態がわかりやすくなるはずです。


 ――と。

 こんな感じで瞬間とか刹那とかその時とか多用しなくてもどうにかなるというお話。


 とはいえ、こういう描写を実際どうやってストーリーに組み込んで戦闘として成立させてしかも面白さに繋げていくんだよ、というのが課題になるわけです。課題多すぎません?


 適切に表現を使っていくためにも「役割と流れ」、ちゃんと決めていきましょう。


 例えば置いていかれた感を出す。


 こんな風に




――


 気がつけば、首筋に剣が当てられていた。


「これで一度死んだな」

「クソッ!」


 仕切り直すように剣を手で払い、力任せに振り下ろす。


 だが、まるで幻でも斬ったかのように剣はすり抜けた。知らぬ間に、相手の姿を見失っている。


「だめだめ。ちゃんと見ないと――」


 剣が再び首に当てられる。


「あっという間に二度目だ」


 耳元で憎たらしい声が響く。それを追い払うように剣を横に振るう。


 だが、それも空を斬るばかり。


「あたっ」


 頭に衝撃が走って、思わず倒れる。


「仏の顔も三度まで、だ」


 頭を抑えながら見上げると、勝ち誇った顔で模擬刀を担ぐ相手の姿があった。


「今のが突きか、峰で殴ったか、どっちかわかったか?」

「峰だろ」

「さすがにわかるか」


 相手は笑ってみせた。



――



 という感じです。


 とにかく、追えてない感を出す。自分もすぐに動いている、反応している、けど幻みたいに見失う。剣は空を斬る。翻弄される。


 剣を振るった瞬間、嘲笑うかのように姿が消えた


 とか


 剣を振るった直後、すでに姿はなかった


 とかでも表現はできるわけですが、今回はしませんでした。

 特別な単語は一切使わずふつーの範囲内だと思います。地味に避けると躱すも使ってないです。


 ポイントなのは「相手に翻弄されているので、正確に姿が捉えられていないのにも関わらず剣を振っている」という点です。この点を考え、その状況に見合った描写、というのを意識します。


 幻という比喩だったり、空振りだったり。やっと相手の顔を確認できるのが負けが決定的になった瞬間にする、という展開であったり。


 状況に即した描写を意識する。


 これで言葉を覚えなくても表現の幅が出ますね。


 例えば剣を上段に構えている→この状態から最速で攻撃できるのは振り下ろしだけ、となると振り下ろしをキャラに警戒させる、というのも状況に即した描写になるわけです。


 というわけで今までの戦闘描写のやつもそうなんですが、ずっと「状況に合った描写を意識して、戦闘描写の表現の幅を広げる」というのがこの創作論における目的となります。これさえあれば戦闘シーンじゃなくても書けますね。何だっていけます。


 考え方で全部カバーするのだ。力こそパワー。

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