例えば序盤の戦闘シーンについて
戦闘シーンがわからなすぎて書けなぁああああああああああい!
──と思ったことはありませんか?
なんか自分で書いててごちゃごちゃしてる気がしてるとか、自分で参考にしようと戦闘描写を見ると思ったより想像できなかったり、参考にできなかったり……
わかりますよ。
私もスポーツダメダメ、格闘技やったことないし、武器なんてもちろん、異世界転生もできてないですから。
でも皆さん、戦闘描写だから何がどうしてるかとか動きを書かなきゃと考えちゃったりしてませんか。
戦闘シーンだから戦ってる描写をしないと、見せ場にしないと、と戦闘シーンという独立したものとして考えていたりしませんか?
とりあえず、動きうんぬんよりもその先入観をなくしましょう。
ストーリー上に必要だから戦闘シーンがあるわけで、物語の一部なわけです。ゲームのようにムービーパートとバトルパートが完全別システムではなく、小説であればムービーだろうがバトルだろうが、同システムで動いています。
文章です。
セリフ、しぐさ、体の動き、感情の動き。ぜーんぶ文章で書いているのです。
例えば主人公が雑魚を倒す、という描写を考えてみましょう。
――
カサネが道を歩いていると、橋の向こう側から女性がやってきた。
女性は汗を流しながらカサネの腰を見ると、一層その脚に力を入れて、カサネの後ろに回り込んだ。
「助けてください」
まるで隠れ場所でも見つけたかのようにカサネの体を盾にして、身を縮める。
「おら待てや!」
男が三人、遅れて駆け込んでくる。
カサネは男たちの乱れた服装と、腰の刀を見て、眉をひそめた。
「おい、ガキ。そこの女を大人しく渡せば、痛い目見ずに済むぜ?」
「……ガキ?」
カサネから見て右側の男が歩み寄ってくる。
カサネは動じず、腰に手を当てた。どころか男を睨んだ。
「訂正しろ」
「……は?」
「ガキじゃない。謝れ」
状況よりも、己が舐められたこと、怒り。最優先で出された言葉がそれだったためか、近づいてきた男は首を傾げる。
「おまえ、何いってんだよ。状況見えねえのか!」
大声を張り上げて、カサネに掴みかかろうとする男。
しかし、手は届くことはなく、カサネが腰から抜いた刀――についた鞘でみぞおちを突かれ、声も出せずうずくまることになった。
「貴様こそ、どこに目をつけている。斬られたいか」
低くそう言い放つカサネ。その瞳は鋭利な刃のようであった。
痛みに悶える男の顎をカサネは蹴り上げる。それで男の意識は蹴り飛ばされた。
「てめえ! やんのか!?」
「やるといったら――?」
「ただじゃ済まねえぞ!」
残りふたりが刀を抜く。
カサネから左側にいた男が上段に構えて迫ってきた。勢いのままに叩きつけるような一撃をカサネに振るおうとする。
「大振りだ」
すっと前に出たカサネは男の顎を鞘で殴った。がら空きの顎を逆袈裟に弾き上げられ、左側の男が倒れる。
「おらぁ!」
隙を埋めるように真正面の男が迫る。
カサネは顔色を変えずに、逆手に持った刀の鞘で男の喉を突いた。
急所をつかれた男は動きを中断し、喉を抑えて失った呼吸を取り戻そうとあえぐ。
「痛みで手打ちにしてやろう。去れ」
カサネは淡々とそう言い放った。
――
はい。
序盤の戦闘シーンです。
まぁ、戦闘シーンの前の始まり込みですけど。
主人公の動きは、
1 不意打ちでみぞおちを攻撃
2 蹴りを入れる
3 前に出ながら顎を殴る
4 喉を突く
の4つです。
今回の戦闘シーンで意識すること
それは
主人公強いんだな
と思わせること。例えば刀を抜かずに敵を倒しちゃったりとか。
まぁ細かい心理描写とか、空間だとかは良いんです考えなくて(良くはない)。
主人公の特徴が垣間見えたり、強さの一端がわかれば良いんです。
主人公の特徴については戦闘シーン直前のやりとりになりますが、敵にガキと言わせること、本人に気にさせることで「少なくとも子供っぽくみられる人である」という描写をしています。そこから戦闘に発展してるので短気です。
で、戦闘に入ります。よく戦闘シーンで空間が大事だと言われるんですけど、序盤なので気にしません。
とはいえ相手が複数人いるので順番とイメージを使います。序盤はチラ見せなのでテンポ良く、です。
主人公から見て右を最初に倒して、次に左、最後に中央を倒させる。複数人動かすのではなく順番に動かすことにする。
取り巻きは右左、あとリーダー=ボスは真ん中。馴染んだ順番、並びだったりしませんか? イメージしやすい順番にすることです。これで後ろだの斜めだの言われてもイメージしにくいですよね? なので主人公の視点で主軸に右左真ん中にするわけです。
最初の取り巻き右。まず交戦させない。初手の舐め腐った相手は攻撃をする意志すら許しません。
こうすれば、殴る蹴るだけで無駄な戦闘を省略できますね(おい)。ダレ防止にできます。戦闘シーンだけど戦わせない! は意外と使えます。
次に、主人公から見て左側の男は威圧するような上からの攻撃、ガキ扱いされた主人公は下から攻撃。これは身長差と心理的な意味合いがあります。
襲いかかってくるという話だと両手を広げて掴みかかってくるみたいな描写を想像しやすいです。なぜなら画像検索をするとそういう画像が出てくるので、そういう認識がされやすい→なので近い形になるよう上段に構えさせる。
襲われる主人公という図式、イメージを当てはめて描写し、ここから戦闘シーンをはじめさせるわけです。
で、これも瞬殺。雑魚に苦戦する主人公見たいですか? いいですよねなくても。
で、最後に中央の男。これはもう何でもいいです。なぜなら完全に一対一になっているので多少駆け引きをしても混乱しづらいからです。
鞘付きの刀を、逆手に持っている状態で振り上げている現状。そこからやりやすい攻撃方法は振り下ろすか突くかになるので適当に突くという動きにして、あまり力を入れずとも喉を突かれればひとたまりもないので喉を突く主人公の技量と、相手の迂闊さ(雑魚さ)を示す意味で喉を突くということにする。これで三人倒せましたね。
文字数にして800文字程度で三人との戦闘が終わりました。
また、戦ってれば喋る暇なんかないという人もいるでしょう。
小説なのであります。
リアルであることではなくリアリティと考えましょう。嘘が混じってもいいんだ……と。
それに、人間なので機械みたいに無言で戦闘し続けるとも限らないわけです。セリフを入れる隙は結構あります。
仲間をひとり倒されて「本当にやるのか? まだふたりいるんだぞ」という意味の「ただじゃ済まねえぞ!」だったり。相手があんまりにも単純な動きなので「大振りだぞ」と突っ込ませたりといろいろできるわけなので――
そういうの、伝えていけたらいいなと思います。
また、私自身新しいことを始める際に例があるとかなりやりやすいタイプなので表現のやり方等、説明した後にこのように例を出して解説していこうと思います。
できるだけイメージを具体化して引き出しを増やしていきましょう。
ではまた次回。




