緊急会議
入城してすぐ、私たち勇者一行は王城に呼び出され、ことの経緯の説明や考察を議題とする会議に参加させられた。
(私まで来る必要ってあったのかな?見てただけって言う設定だけど)
「勇者殿、まずは援軍ありがとう。それで、一体城壁外で何があったんだ?我らが目撃した巨大な魔法陣や、魔法陣へ回帰する水魔法など、あれはなんだ?」
緊急会議に出席した現王が訝しげな表情でいう。
「正直、私にもわかりません、大王様」
「そもそも、あんな芸当可能なのか?城を覆うほどの魔法陣の展開など・・・」
「わかりません」
周りの大臣たちがざわめき出す。
「専門家によると、巨大な魔法陣は水魔法で間違いありません。しかし、放たれた水魔法が魔法陣に戻るなどありえないとも言っておりました」
「じゃああれは何だ!?明らかに放った魔法を集めて一点に攻撃して追ったではないか!!」
「だからこうして集まって話しているのではないか!」
「あんなものが扱える者など存在するのか・・?」
「もし存在するのであれば間違いなく我が国、いや、世界の脅威だぞ!」
「・・・とりあえず、見たままを教えてくれるかな?勇者殿」
王が言う。
「はい。我々がここに着いたとき、すでにこの城は魔物に包囲されていました。すぐに応戦し、順調に進み、あと少しだったのですが・・・」
「ほう」
「そこで、緑色のエルフに阻まれました」
「・・・なに?エルフだと?」
「・・・はい。」
「エルフの一族は現在亜人の大陸イルミにいるとされている。そのエルフが何故、しかも魔物の味方をする?」
「・・わかりません。しかし私たちは阻まれ、その圧倒的な力になすすべもなく、苦戦を強いられました」
「ほう、勇者殿が苦戦とは、そのエルフは相当な手練れか」
「・・・敗北しそうになったとき、空が急に曇りだし、その直後、雲に穴が開きました。そこにいたのが・・・」
「今回の議論の的である者か・・・」
「はい。その者は自身を魔王レストを名乗り、私でも勝てなかったあのエルフを相手に圧倒して見せました」
「魔王レストだと!?」
会議が再びざわつく。
「世界征服を成し遂げた伝説の・・・」
「神殺しの・・・」
「魔王が復活したとでも言うのか!?」
「伝説が本当なら、今の魔王二人とは比べものにならない怪物だぞ!」
「あり得るはずがない!魔王は700年前に死んでいるはずだ!」
「復活の魔法など聞いたこともない!」
「静まれ。皆の者。勇者殿のはなしがまだ残っておるようだ」
「・・・ありがとうございます。まあ、エルフを圧倒した後は、ご存じの通り、摩訶不思議で圧倒的な魔法で魔物を殲滅、さらにエルフを気絶させ、エルフとともに消え去りました」
もう騒ぎ尽くしたのか、会議は静まりかえった。
「・・・とりあえず、城周辺の警備体制を最大限引き上げよう。ような?皆の者」
「はっ!」
「して、勇者殿。一人この前の遠征で見かけなかった者がおるようだが」
(私のことだ!)
「こいつは私たちの保護下のセレナです。保護下というのは・・」
「・・まあよい。しかし正式な仲間でないものがこの会議に参加するのはいささかよくない。今後の会議は、少し席を外してもらえるかな?見たところまだ子供のようだし、今後の会議は長時間になる。子供には退屈だろう」
「私は子供じゃ・・・!」
「わかりました。そうします」
「え?」
「すまないな。だが、王の命令だ。従った方がいい」
「・・・わかりました」
(まあ、今後の会議に勇者が出席するってことは、しばらくここにとどまるってことだ。ファーストたちとの約束もあるし、ちょうどいいか)
こうして、私たちはしばらくの間、王都デタンで情報収集、整理に励むことになった。




