決意
それは前線に向かう途中で起こった。
「帝国との前線、実は私の故郷なんですよ!ちょっと寄っていっていいですか?」
「まあ♡おちびちゃんのご両親に挨拶しなくちゃ♡」
「い、いやそれはちょっと・・」
(なんか心配されそうだし)
「あー、それなんだが・・・」
アサトさんが言いにくそうに言う。
「森林が謎の壊滅をしたのは知ってるだろ?現にそのせいで帝国が攻めてきたんだし」
「もちろん知ってますが」
(私がやったんだし)
「実はその、どーやら村も影響下らしくって・・」
「えっ?」
全身の血の気が引く。さっきまで動いていた足が動かない。影響下?謎の力の?
「じゃあ、村は・・?」
震える声で、言った。自分の考えた結末を否定してほしかった。
「・・・まあ、誤情報かもしれないしな!!」
息がしにくい。視界が歪む。こんなの知らない。状態異常!?なら早く直さないと!
状態異常回復魔法!くっ!状態異常回復魔法!何故だ!何故直らない!
そもそも私は状態異常に完全耐性があるはずだ。それが破られた?どうやって?そんなことは魔王の時もなかったはずだ。この700年で強力な妨害魔法が誕生したのか!?魔法の改造、合成は誰にでも出来る芸当じゃないぞ!誰がそんなこと・・・
ゴっ!!
そこで私は意識を手放した。
「おい、大丈夫か」
「悪かったなあ、おちびちゃん。何言っても訳のわからないことを言うばっかりだから、少し杖で殴って眠ってもらったのよ」
「サーレさん、普通に魔法で眠ってもらえばよかったんじゃないの?」
「いや、やろうとしたのよ?でも、どうやっても効かなくって」
「不思議なこともあるもんだぜ、まあ、落ち着いたなら、先に進もうぜ。共和国軍が俺たちを待ってる」
とりあえず道をいく。私はどうしてしまったんだろう。今、どうしても気分が上がらない。目から涙が出てくる。こんなことは、魔王の時はなかったのに。
しばらくの間、マナミさんが歩きながら背中をさすってくれた。
「あなたは何も悪くないわ。そして、今はたくさん泣きなさい。死別の苦しみは、払拭する方が難しいもの」
違う。全部私が悪い。私が原因だ。私のせいで村が滅んだ。責められるべきなのは、私なのだ。
しばらくの後、私は徐々に冷静さを取り戻した。私はどうやら心も人間になっているようだ。魔王の時は仲間が死んでも別に何も感じなかった。しかし、今は違う。これが、人間の感情。なんとも複雑怪奇だ。そして、そこからなかなか抜け出せない。私は人間として生きていくことの覚悟が足りなかったのだ。正直、村には転移魔法で行き来出来るから、いつでも帰ってこれるとも思っていた。そもそも、村人を、両親を唯の人間とみていた。転生先にたまたまいた人間。そう思っていた。しかし、今回、人間として失ってからはっきりわかった。家族や仲間、それは尊い。そして、脆い。私が守らなければ。今私の仲間といえばこの四人だ。
私はこの先、仲間を全力で守る決意をした。




