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メイリオン・クロニクル~魂導の旅路~  作者: さとう
第一章

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共鳴者との戦い②

 ◇◇◇◇◇◇


 一方、セラとイリア


 ◇◇◇◇◇◇


 空に稲妻が走り、地面は炎に包まれていた。

 崩れかけたエレメンティア精霊研究所の中央広場で、セラとイリアが対峙する。

 セラは、煙草に火を着けて言う。


「そういやお前、私らの前で一度も『精霊導器』を使わなかったが……『混沌の道』を歩んでいるとバレるから、そういうことか」

「まあ、そうね。誤魔化す方法はあったけど、面倒くさいから。ビビりな研究者を演じれば、あんたも、アルトリウスも疑わなかったもんね。でも……」


 イリアは、鞭を抜いて地面を叩いた。


「あんたはムカつくほど賢い。私の前で一度も『精霊術式』を使わなかった……仲間だろうと、自分の手札を晒さない。だからこそ、嫌いだった」

「そうかい。はっ……『知恵』を嫌いなお前にとって、ここでの生活は苦しかったか?」

「そうね。でも……あなたを観察するためなら苦じゃないわ。ここで『漂魂者』を研究するあなたが、鍵だった。我々『混沌の道』にとってね」

「……つまり、最初から私を裏切るつもりだったのね」

「裏切り? 違うわ。『混沌』は最初から裏切り続けるものよ。さあセラ……私の本当の実力を見せてあげる。あなたの炎、消してやるわ」


 稲妻が鞭を伝い、瓦礫を砕く。

 セラは再び煙草に火を点け、ゆっくりと吐息を吹いた。


「なら、お前の雷が消えるまで……理を灯してみせる」


 ◇◇◇◇◇◇


 イリアは、鞭に雷を纏わせ、地面を叩く……すると、雷が蛇のような形に変わり、セラに向かって高速で這い出した。

 精霊術式、『雷蛇連鎖(サンダー・リンク)』。

 雷の蛇は、獲物に喰らいつき痺れさせるまで止まらない。

 するとセラは煙草を吸い、煙を思い切り吐き出した。


「術式展開、『煙道の矢(ディープ・ロウ)』」


 ただの煙草ではない。

 火属性の精霊力で火を着け、セラが特別配合した特別な煙草での煙だ。一般的な煙草の数十倍以上の煙が発生し、煙を媒介として精霊術式として昇華させている。

 セラの姿が消え、周囲が煙に包まれ……獲物を見失った無数の雷蛇の動きが止まった。


「攪乱の精霊術式……」

「違うな。煙は火の記憶……火が歩いた道を、私は読む」


 すると、四方八方から『火の矢』が飛んできた。

 全て、地面に突き刺さっては消える。一本もイリアを狙った矢がなく、イリアは怪訝な顔をする。

 舌打ちし、イリアは追加の雷蛇を大量に召喚、さらに鞭を振るい続け煙を払う。

 だが、煙は消えない。むしろ、増えていた。


「まさか……この矢!!」

「ご名答」


 どこからか、セラの声が聞こえて来た。

 そして同時にイリアは気付く。大量に放った雷蛇が、全て消えていた。


「煙で、雷の精霊力を拡散させた。わかるか? この煙は、私にとって領域みたいなもんだ。どこに何がいるかなんて手に取るようにわかる」

「ふぅん……なら、この煙を全て吹き飛ばせばどう?」


 紫電がイリアを包み、さらに全身に紋様が浮かんだ。


魂絶技(リミット・ブレイク)──『蛇帝の咆哮(オフィス・ロア)』!!」

「っ!!」


 膨大な精霊力を身に纏い、イリアは精霊力を纏った巨大な『雷蛇』となった。

 そして、身体、尾を振ってその場で回転すると、セラの煙を一気に吹き飛ばす。同時にそれが攻撃となり、セラの身体に直撃し吹き飛ばした。


「ぐっ、っぁ……!?」


 瓦礫に叩きつけられ、肺の奥の空気が抜けた。

 一瞬、世界が白く霞む。――だが、炎はまだ消えていなかった。

 セラは歯を食いしばり、弓を手に取る。


「フフフ、見つけたぁ~」

「ぐ……その、精霊力、人間一人が扱う精霊力の限界を超えている。そうか……それが『道越者(トランセンダー)』の力か」

「そうよ。ふふ、教主様は偉大なお方。『混沌の道』そのもの!! ああ……こんな任務、さっさと終わらせて早くお会いしたいわあ」


 雷の大蛇は、紫電を弾けさせセラに向けて大口を開けた。

 リアは、もう一度煙草を咥えて火を着けた。


「……イリア。お前が『混沌』だろうと……お前といた時間は、悪くなかった。きっと、アルトリウスも……」

「あっそぉ。じゃあ……終わりにしましょうか」


 セラが煙を吐き出すが、雷の大蛇が頭と尻尾を振ると煙が一気に吹き飛んだ。

 そしてセラは跳躍。弓から火矢を連射するが、雷大蛇の身体に刺さってもすぐに消えてしまう。

 イリアは叫んだ。


「終わりぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


 セラを飲み込もうと大口を開けた……だが、セラは着地と同時に言った。


「ああ、お前がな」

「え……っ」


 ボッ!! と、雷の大蛇に火が着き、燃え上がった。


「んなっ!? な、なんで、雷が、燃え」

「燃えてるのは雷じゃない。私が吹いた煙さ」


 最後に吸い、吐いた煙はただの煙じゃなかった。

 煙は囮、真の狙いは、煙と一緒に吹いた特製の鱗粉……特別調合した『燃える鱗粉』だ。

 鱗粉は舞い、雷の身体に触れると同時に燃えたのだ。雷の大蛇ではなく、鱗粉が燃える。だが、その熱は生きている。

 

「煙は火の記憶。私が吸い込んで吐き出した『知恵』は、まだ燃えてる……いくぞ、イリア!!」

「ぐっ、あ、熱い……このっ!!」


 鱗粉は、イリア本体の部分にまで及び、燃えていた。

 セラは弓を構え、煙草を吸い煙を吐き出す。

 吐き出した煙が雷大蛇を包囲し、同時にセラの矢が発射された。


魂絶技(リミット・ブレイク)、『紅蓮天焦(ヘリオス・アロー))』!!」


 火矢がイリアの本体付近に刺さると、包囲していた煙が一気に燃え上がった。


「ああああああああああああ!!」


 雷大蛇がのたうち回り、崩れていく。そして、全身に火傷を負ったイリアが倒れていた。

 セラは、そっとイリアに近づく。


「殺しはしないさ。一応……同期の、友人だからな」


 吐いた煙は、風に流れて消えていく。

 空の稲妻も、いつの間にか止んでいた。

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