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そこはゲームの中でした

 お店の中の物を見せてもらおうと思ったら、さっきの小さい人が


「お前等の職業を聞いていいか?

 別に店の中を見せないって訳じゃないが、確認しなきゃいけねぇ決まりなんだわ。」


 小さい人の態度が大きいのはなんでだろう?


「あ、僕はテイマーだよ。」


「私は召喚術師よ。」


「俺は重戦士だぞ。」


 小さい人は、目を皿のようにしてこっちを見て、ブツブツ何かを言っている。


 すっごく気になるんだけど?そんな僕達を小さい人は店の中から手招きして、店に入れてくれた。


「わぉ!」「うわぁぁぁ!」「なんじゃこりゃ!」

 と、三者三様の反応


 目の前に広がるは、ペットショップ!(生き物は居ない)ペットの為の服やサークル、そしてリードに、オシャレな首輪。

 あの、愛玩動物のアイテム専門店じゃないの?ここ?

 

「見て分かる通り、うちはペットのアイテム屋だ。ペットフードから爪切りまで何でもござれってなもんだ!

 うちは卸もやっててよ、店に来る客は少ねぇんだわ。

 ワハハハハハハ。」


 豪快に笑ってるけど、他のお店でペット用品なんて見かけなかったんだけどなぁ〜


 深く考えたら負けだね。


「ねぇ、店主さん。テイマーと召喚術師の媒体で知ってることがあったら教えてくれないかしら?」

 ミュウが店主さんに聞いている。

「わりぃが、それは俺にも分からねぇんだよ。両隣の店に知 っている奴が居るとは思うけどよ。

 なにせ、うちと同じでいつ店を開けているか分かったもんじゃねぇしな。」

 店主さんが申し訳ねぇって答えてくれる。


 仕方ないけど、ここにペットショップがあるってことは、テイマーと召喚術師の謎解明は一歩前進って所かな。


 ピンっと頭に響くものが、これって天啓ってやつかな?考えるより先に、僕は店主に聞いていたんだよ。

「テイマーって、使役する者って事でしょ?もしかして、成体をテイムするよりも、産まれて間もないうちにテイム、いや、刷り込みしちゃった方が早いかな、って事なんじゃない?

 そうなると、店主さんは、この産まれたばかり、と言うか、産まれる前の状態のものを取引き出来るんじゃないの?

 そして、召喚術師なんだけど、媒体って言うのは召喚獣を入れておく何かで、その入れ物になる物を取り扱ってるんじゃないの?」


 なんで、こんな言葉が出てきたか分からないけど、一気に言い切る事が出来たことにビックリだよ。


 店主さんは、ちょっとバツが悪いような、居心地が悪いような感じで

「ちっ!ついてねぇ。全くついてねぇ。何だって今日なんだろうなぁ。

 そっちのチビの言う通りだよ。うちはテイム出来る物を取引している。

 でもな、言っておくぞ?俺たちが言うテイマーってのは、サーカスで猛獣を扱う奴等の事を言うんだよ。

 坊主みたいに職業としてテイマーってのはいねぇんだわ。

 ちなみに猛獣使いって職業な。サーカスのは。

 あと、召喚術師!おめぇに言っとくが、確かに召喚獣を封じるアイテムは取り扱っている。

 だが、中身を入れて販売することは禁止されてんだよ。

 なんでかって?自分で考えてみな。」

 店主さん。案外簡単にゲロったね。


「て、事は、テイムできるかも分からない物が、ここに来るって事なんだね。

 にしては、警備も何もないっておかしくない?」


「ノード君、ここ、ギルドの裏だよ?」


「あ、だから、立地がこんな事になってるんだ!良く考えてるねぇ。

 しかも、この感じじゃ、店主さんはギルド職員って感じなんじゃないの?」

 もう、僕の頭脳が止まらない!気分は迷探偵だよ!

 ほら、置物になってるジムも何か言ってよ!僕を褒め称えてくれてもいいんだよ?なんちゃって、テヘ。


「ノード、お前よぉ、人生で1番長く話してないか?

 俺はそっちのほうがビックリで内容が頭に入ってきやしねぇんだけどよ。」

 ジムの顔が固まったままになっている。劇画調タッチに変わったりするモードがあれば面白いのにって思っちゃったよ。


「ほら、話の腰を折らないで。

 で、どうなの?テイム出来るか分からないけど、幼体か、産まれて来る何か、卵か何かが来るんでしょ?

 いい機会じゃない。テイマーにテイムされるのを見るチャンスかもしれないわよ。」

 ミュウが凄く良い笑顔で、店主さん相手に交渉を始めちゃった。


「そうは言うがよ、こっちにも決まりってもんがあるんだよ。

 勝手に決めて良いことにならねぇんだよ!」

 まぁ、そうだよね。うんうん。わかるよ。


 その時僕の頭にまた天啓が降りてくる。

 

 このまま、ここに居るだけでいい。そうすれば、向こうからやってくるんだから。

「ミュウ、無理言っちゃ駄目だよ。僕達は見守るだけで良いから、ここに居させてもらおうよ。テヘ。」

 ニッコリ笑顔を向ける。ミュウとジムは納得したように


「そりゃ、そうだ。決まり事をこっちの都合で変えちゃ申し訳ねぇもんな。ここは大人しくしてとくにかぎるぜ?ミュウ。」


「そうね。浅慮だったわ。店主さん。ごめんなさい。私達も色々と焦っていたもんだから、無理を言ってしまってごめんなさい。」

 ミュウが頭を下げる。


「いや、こっちこそすまねぇな。契約反故になっちまったら、うちはやっていけねぇからよ・・・」

 大人の事情がありそうだよね、これ。


 そんな事を話していたら、後ろからズズズズズって何かを引きずるような音がして、ギルドの裏の壁が開いて、そこから何人かの人と、檻に、魔獣?なのかな、大きな猫?雪豹?が入ってるじゃない。

 何か苦しそうにしているんだけど、今から子供が産まれちゃうとか?


「ちょっと!何してんのよ!早く檻に目隠しをして中が見れないようにして!」

 ミュウが吠える。


 檻を押してきている人達がびっくりして、何者だとか、ここに入ってくるのは契約違反だとか、理由のわからないことを言っている。


「だから、目隠ししないと、この母親、子供産まないよ!」

 ミュウが更に吠える。


「嬢ちゃん、何でそんな事わかるんだ?」

 店主さんがビックリしては居るが、聞かないといけないような雰囲気に負けて声を出したって感じ?かな。


「猫科の動物か魔物でしょ?明らかに。で、猫科の動物って、子供が生まれる時もそうだけど、死ぬ時も人に見られたくないって本能があるのよ。

 きっと、この子、お産を見られるのを嫌うはずなの。

 そして、待っているのが死。でも、子供が産まれる所を見られるよりはマシってなると思うわよ。」


 僕はテイマー、麗しのテイマー、はべれはべれ美し物よ〜って昔の歌の替え歌が頭をよぎる。

 って、そんな場合じゃないか。


「ジム!袋あったよね?僕のとミュウの、ジムの合わせたら三方向はいけるんじゃないかな?」

 袋を出しながら僕が言うと、すぐさまジムが動く。袋のままじゃ無理だから、口の両サイドを切ってしまい、一枚の大きな布に変える。それを3回して、檻を覆うようにしようとしたけど、猫が大暴れして近づけない。

 これは困った。出産も近くなって凶暴化してるってのも手伝って手に負えない感じかな。

 仕方ないから、ジムに僕を檻の上に投げてくれってお願いする。


「ノード行けるのか?」


「行かなきゃ駄目でしょ?」


「まぁ、あいつらじゃ話になんねぇわな。」


「あ、ノード君。これ使えば目隠しできると思うから。」ってもう一枚袋を出す。最初から出してよ・・・


 四方に目隠し用の布を体に巻き付けて、僕は人間砲弾に早変わり。

 射出するのはジムだけど。


「じゃあ、行くぜ!舌噛むなよ!」


「わかってる!やって!」


「ノード君お願い!助けてあげて!」


 僕の体はドムにブンブンと振り回されて、宙に舞い、頭を両腕でカバーしながら檻の上に転がるように着地。もう少し転がったら反対側から落ちるところだったよ。


 巻き付けた布を体から取り去り、上部の鎖が出ているところに結び付けていく。

 ドッタンバッタンと下から音がするわ、突き上げられるわで怖かったけど。やりきった!僕、やりきったよ!

 全面に布に覆われると、最初のうちはまだ、ドタバタ動いていたようだけど、周りから見えなくなったと理解したのか、段々と音はしなくなった。でも、その代わりに、フー!シャー!ギューとか呻くような声が聞こえてきて、どれくらい時間がたったかな?

 フシャー!ってなき声がしたと思ったら静かになった。

 

ミュウは僕に向かって


「ノード君、中を見てたげて。もしかしたら母猫、駄目だったかもしれない。

 あれだけお産の前に暴れてたから、体力が持たなかったかも・・・」


 悲しそうな顔をして拳を握り込んでる。


 僕は檻にビクビクしながら近寄る。ゴソゴソと音はするけど、他になき声は聞こえてこない。


 布を取ると。そこには横たわっている白くて大きな猫?とお乳を吸っている四匹の子猫?(大きさ的には大人の猫サイズだけど、これ)が居た。


「おぉ、産まれたか!母親は死んだか?よしよし、うまく行ったな!後は子供がいいなりになるように調教するだけだな!」


 何か、凄く、殺意が、湧いたんですが?

 誰だ?バカな事を言ったやつは???


「公爵様、まだ危険です。近づかない様にして下さい。

 あの魔物は死んだ後でも、敵を噛み殺すと言われるほどなのです。」


 こうしゃくさま?なにそれ?


「マイン!テイムだ!」


 ジムの声が響く。


「わかんないよ!どうしたらいいか、わかんないんだよ!」


「マイン君!あの子達を抱いてあげて!」


「それで、いいのか?何かあるんじゃ・・・」

 と、言いながらも、僕は檻に近づき、檻の鍵をぶっ壊して中に入った。

 小さな?子猫?を一匹ずつ抱き上げる。

「ごめんね、お母さん、助けられなかったよ。本当にごめんね。

 君たち、うちの子になる?」


 と、聞くと、四匹がピカッと光る。

 光った瞬間を見た、こうしゃくさま?が


「な、何を勝手な事をしておるのじゃ!あれはワシの物じゃ!

 下賤の者が触れていいものでないわ!」

 と、檻に近づき、檻に入ってこようとする。

 すると、母猫の目が開き、こうしゃくさま?に向かってダイブしたと思ったら、こうしゃくさま?の体についていた、クソを垂れる物がなくなっていた。

 

 そこからはもう、騒が大きくなり、僕もミュウもジムも一旦檻の中に避難。あ、僕は最初から檻の中だったけども。

 こっそり、店主さんに、猫用のミルクをあるだけ持ってきてもらえないか聞いたら


「良いもんを見せてもらったからな、ほれ、ミルクと、首輪とリードだ。

 これで、お前の物って証明になる。

 さっさとつけてやんな。

 あ、首輪をつけるときに名付けをしてやらなきゃだめだぞ!」

 店主さん、めっちゃいい人!


「魔獣だろうが、お腹の大きなメスを捕まえて檻の中に入れるなんざぁ、お天道様が許すはずがねぇ。

 愛玩動物にして、見せびらかして、自分の権勢を高めようとか腐ったこと考えたんだろうがよ、結果は、ほれ見たことか。ざまぁねぇぜ。」

 店主さんが、僕達の気持ちを代弁してくれてるみたいだった。


「おい、はやくしねぇと。ギルドの奴等に取られちまうぞ?その後はどうなるか分かってるだろ?はやくしな!」

 店主さんが怖いです。でも、本当に急がないとな。


「君達には悪いけど、僕が名前をつけるからね。男の子か女の子かだけは見せてね。」


 で、オス3匹にメス一匹。ネーミングセンスなんて僕には無い。

 自分の名前すら・・・

「女の子はダイヤ。男の子は、コルナ、ウィル、チェム。どうかな?」

 って、こっち見てやしない。もういいか。首輪をつけながら、ダイヤだよ。コルナだよ。ウィルだよ。チェムだよ。といって首輪をつけて行った。


「店主さん、すいませ〜ん!」


「はいはい、何でございましょう?お入り用の物がございますでしょうか?」

 いきなり無礼千万な勢いは消えて、手揉みをする商人に早変わりする店主さん。

 ギルドの人?も見守る中僕は


「この子達を乗せて運べるカートってありますか?

 あ、あと、身体が冷えないように毛布みたいな物も有ればお願いします。」


「はいはい。お待ち下さい。あれと、これと、そして、それもっと。

 おっと、これも無いと困るかなっと。」

 カートが2台現れて

「こちらに、その子達を移して下さい。そして、こっちのカートには、必要な物を入れておきましたので、お使いくださいませ!」

 なんで、こんなに良くしてくれるんだろ?


「ねぇ、ちょっと聞くんだけど、あなた、公爵が商売の相手って知ってたの?」


「嫌ですねぇ、奥様。私ごとき、公爵様のお目に入る事すら許されない下賤の者でございますよ。」


「さっきから何なんだ、その借りてきたような言葉は?」


 店主はジムの顔に自分の顔を近づけ小声で


「こいつら、公爵の部下だ。ここで目をつけられちゃかなわねぇからな。

 でも、オメーらは駄目だ。もう完全に公爵の敵になっちまってるからな。」


「ヒュー。そりゃどうもありがとよ。」


「いえいえ、私ごときに有難うございます。」

 とお辞儀をする。


 僕はそんなやりとりが行われているなんて微塵も思ってなくて、子供四匹をカートに乗せて終わり、スヤスヤ眠っているのを確認。


「じゃ、僕らは行こうか!」

 えっと、行き先はギルドの2階なんだけどね。


「待ってもらおうか!我々は公爵様の命でここに来ておる。

 そなたが持っている四匹を渡してもらおう!」


「あの、公爵って、あそこで倒れている首無しの事ですか?」

 ミュウの目が怖い。


「あ、あれは公爵様の影武者だ!」

 うん、目が泳いだね。


「では、公爵と証明できる物でもお持ちですか?」

 ミュウ、目が怖いって


「我々が公爵様の部下というのは、この街の者なら知っておるわ!」


「って事なんだけど、あなた知ってますこと?」

 ミュウが店主に振る。店主は何で俺に振るんだ!って顔をしながら


「今日の取引き後に、うちの道具を買いたいから店を開けておくようにとは聞きましたが、どなたがって事は聞いておりませんです。はい。」

 汗を拭いながら店主が答える


「じゃあ、誰が来るかは知らなかったのね。ありがとう。

 って、事なんだけど、身分を証明するものをお持ちいただけないのでしたら、お引き取りください。

 あ、そこの粗大ゴミもちゃんと処理して下さいね。」

 だから、ミュウ怖いって


「マインとか言ったな!貴様は公爵様の所有物を奪ったことを後悔するがいい!」


「えっと、公爵様って偉いんですか?」

 この一言に場が凍りつく


「い、い、い、異世界人・・・」

 ん?何だろ?この反応は?変なの


「異世界人たからどうした?」

 僕は強気で答えてるよ。もう心臓は限界だよ!


 ひそひそと、あの殺しても死なない奴等か。前日にはひ弱だったのが、突然強くなっていたりする奴等か。魔法の威力が桁違いで城を一発で半壊させた異世界人か。って聞こえてくる。

 これは風評被害だ!僕達は街から出ても戦ったりしたことないんだもん。


「あ、お前等異世界人だったのか?先に言えよな?

 さて、自称公爵様のご家来衆の皆様方、今のままでは、公爵様はお家の取り潰しは免れませんがよろしいですか?そして、あなたがたの頭は胴と泣き別れになるでしょうなぁ。」

 淡々と話し出す店主


「なぜだ!なぜそのような話になるのだ!」


「え、なぜって、こんな危険な魔獣をただの檻に入れて町中に運び込み、周知もしていない。

 これは冒険者ギルドも責められる事になりましょうが、公爵には一切の情状酌量の余地はありませんな。」

 え?この人達って本当にそういう事が起こるかもしれないと想定しなかったの?リスクマネジメントが杜撰過ぎない?


「魔獣を捕獲したのは冒険者ギルドの登録者であろうが!公爵様はそれを見に来たに過ぎんわ!」


 ウザ、もういいや。帰ろう。

「帰ろっか?何か言われたら、この国を出ちゃえばいいしね。

 公爵だっけ?その人、僕たちより偉いみたいだけど、人としては僕たちよりも下だね。」


 さて、2階に戻ったら、この子達の世話をしなきゃな。

 でもミュウには悪い事したかな?僕の方が先にテイムしちゃったから。

 僕はこの事が大変なことだったと後から死ぬほど思い知らされることになった。

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