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そこはゲームの中でした

誤字脱字報告ありがとうございます。

 装備よし!回復薬よし!依頼も受けた!初めての野外活動だよ!テンションが変なことになっているけど仕方ないよね。

 だって、ゲームを始めて1度も町の外に出ていない異世界人なんて僕とミュウくらいじゃないかな?ジムは町の外で草刈りしてたから。

 見知った異世界人の人達は見なくなったし、町の人達も異世界人が居なくなったなぁ。とか僕達に話しかけてくるし。

 思わず、さっさと次の町に行けよ!って言われてるのかと思っちゃったよ。

 

 受付で依頼を受けるときに言われたんだけど、下水道が過去イチ綺麗になったとか、牧場、農場の草刈りが進んだから、牧場と農場の規模が大きくなったとか、お使いが商売になるからと、宅配サービス業が開業されてたりと町の変化があり、この町を住みよくしてくれたって感謝されちゃった。


 自分の行動で町での様子が変化するゲームって珍しいって思うんだよね。

 僕達のストーリー展開が変わっていくなら分かるんだよ?自分のやったことが自分に返ってくる。でもさ、僕達に関係のない事が変わっていく。

 これ、現実なら有り得るんだけど、システムで構築された世界で、こんな事が起こるなんてビックリ。


 つまり何が言いたいかって?僕達がお金の為に町の中の依頼を受けていたら、依頼が無くなったんだって事だよ。

 町の困り事がなくなりました。依頼が無くなりました。

 え?なんで??ゲームだよ???ゲーム!

 依頼が無くなっちゃったら、ゲームじゃ無くなっちゃうでしょ?僕達、こう言っちゃなんだけど、ポンコツパーティーだよ?

 

 魔物の退治や、採集系の依頼もやり過ぎたら無くなるんだろうか?

 無くならないと思いたいけどなぁ・・・


 そんな事を考えながら、冒険者ギルドで依頼を受けて、門の前で町の外を眺めて、声出し確認(ジムが、良い笑顔で)中って事。


 依頼?どんな依頼を受けたかって?

 採集依頼。薬草、毒薬、痺れ茸ってのはゲームで当たり前にあるよね。

 でもさ、何で、リンゴや梨や柿、葡萄に苺、果ては芋まで採集依頼って・・・

 これだけ依頼があれば依頼が無くなることって無いんじゃないかな?


 戦闘になる前に町に逃げ込むって事を確認して、大きな袋を3人で抱えながら門外へ出たよ。


 そこにはビックリするような景色が広がっては居なかった。

 見たことが無い景色ではあるんだけどね。遠い昔の村とか町の映像データでは見たことはあるけどさ。


「ねぇ、この草って薬草かな?」

 ミュウが草を指さしながら聞いてくる。僕は本を広げて確認する。

 薬草の特徴は、葉の部分は、うす緑色で、茎が細いが刺がある。

 葉っぱの形は、小さな子供の手かなって感じだから、特徴的だね。

 ただ、やたらと似ている草があって、それは完全な野草。

 食べられなくはないけど、苦い、渋いって草なんだって。


 はなしが逸れちゃったね。ミュウが言っている草を調べてみると微妙に違うのかな。葉っぱが子供の手みたいだけど、四つ股になってないといけないのが五股になってる。

 これは、ちゃんと見ないと間違えちゃうな。地味にいやらしいな・・・


「ミュウ、これ残念だけど、ただの野草。」


「え~、見つけたの自慢しようとしたのに!どこが違うの?」


「葉っぱだよ。四股じゃないといけないけど、これ見て。」

 と、葉っぱをミュウと見ながら、1、2と股の数を数えていく。

「五つある!ぱっと見じゃ分からないわよ、これ!」

 ミュウがウガーって吠えてる。その横でジムは、この草なら刈りまくったなぁって呟いていた。

 

「薬草って実は貴重なのかな?これだけ探すのに手間がかかるって事は・・・」

 僕の頭に天恵が降りてくる!って言っても、誰でも考えつくことだと思うんだけどね。


「ノード、何か思いついたのか?」


「うん。あのさ、ジムが農場の草刈りしてた所の、農場主に、薬草を育てたいから、農地を貸して貰えないかなって。」

 僕がそう言うと


「それって、安定収入って話になるんじゃ・・・」

 ミュウの目に金マークが浮かんでいるように見えてしまった。


「安定収入って言うけど、先立つものが無いと、どうしようも無いから、まずはお金を貯めないといけないんだけどね。」

 それを聞いたジムが一言


「金が貯まった頃には、別の奴が事業としてノードがしようとしたことを先にしているって思うぞ?」


 え?その心は?


「だってよ、俺達のやった事って、町の利便性が上がったり、生産性が上がったり、衛生面が良くなったりと、町の住人が住みやすくなる手助けなってる。

 ま、だから依頼なんだろうけどな。

 ここで、俺達が思いついたことを事業として興したとして、町の人の生活の質が向上するかってのがキモだと思うんだよ。

 薬草系の依頼を農地で植えて繁殖させるとして、どれだけの需要がある?って事だよ。」

 

 あ、そういう事か


「薬草系の依頼が有るのは、異世界人が回復薬を買って、数が減ったから補充の為って事?」

 多分ミュウの言っている事が正解だと思う。だとしたら果物は?


「果物って実が付くまで育てる時間がかかるから、採集でやろうって事なんだと思うぜ?

 農場主がそんな言ってたからな。

 果樹園なんて作る奴は金持ちの道楽じゃないとやってられないだろってさ。」


「逆に土地があれば良いんだ。僕達なら、時間なんて気にしなくても良いから、果樹園作れば安定収入に繫がるじゃないか!」

 嬉しそうに僕が言うと、ミュウとジムが


「私は「俺は、冒険者!!」」


 あ、そうか僕達は1カ所に留まっている住人じゃ無かったよ。いや、でもさ、収入源は確保しといて損はないって思うんだけどな。


「初めの町だから、土地の価格とか安いんじゃ無いかな?

 果樹園だったら時間がかかるから手入れにお金がかかるって事なんだろうけど、安定収入は魅力的だよ?

 それと、薬草畑を作るのもデメリットだけじゃ無いよ。

 異世界人は薬草を買うんだから、安定した納品は、この世界の人にとっても良い事だと思うんだけどなぁ」


 2人が黙り込んでしまう。


「あのね、ノード君。それ多分うまくいかないと思うな。

 私達じゃ薬草、果物をちゃんと育てられないと思う。」

 自分が言い出したことだが、まさかノードがこんなに食い付くとは思ってなかったから、気まずくなってしまう。


「ノード、このゲームな、かなり現実に近いと思っとけ。

 俺達異世界人は何をしても許されるなんて勘違いをしていたら痛い目にあうぞ。気をつけような。」


 折角気が付いた事だけど、これって制約だらけのこの世界では勝手にやりたい放題は出来ないって事なんだなぁ。

 ゲームにリアルな契約持ち込まないでよって思っちゃうよ・・・

 

 そんなこんなで僕は薬草をミュウは毒草をジムは痺れ茸を採集するために分かれて個人行動に。

 果物は?見つけたら穫るって感じ。


 僕達は検証だと、採取系の依頼が無くなるか無くならないかを確認しようと、ひたすら採集依頼を受けていた。




「俺達、採集で外には出ているけど、魔物1回も見てないよな。不思議だと思わないか?」

 ジムがギルドでそう言う。


「そうだね。1回も魔物に会ってないよね。

 依頼を受けたらそういう風になるのかもね。

 なんてたって初めの町だからね。

 僕達みたいに居座る異世界人なんて居なかったんじゃないかな?」


「それもそうか。で、話は変わるけど、ノードは下水道の掃除をして、他の事も調べるとか言ってたけど、何かあったか?

 あ、ミュウの方も気になってよ。

 2人してだんまりだからよ。」


「それは、分からないことが分かったって事かなぁ。」


「なんだ?そのナゾナゾみたいな答えは?」


「ノード君と一緒。分からない事があるって事よ。」


 そう、町を調べていくと、いくつかの建物がロックされた状態になってる一角を見つけたんだよね。


「あ、ミュウもあそこを見つけたんだ。」


「やっぱり、あそこの事を言ってたんだね。」


 ジムが

「おいおいおいおいおい!待てよ!お前等2人してわかってるみたいだけと、俺にはさっぱりだぞ!」


「まぁ、ついて来てよ。」

 僕は悪戯っ子の様に、ウインクをして歩き出す。


 僕がここに気が付いたのは、下水道の掃除をしていて、今向かっている一角の方にも下水道が続いていたからなんだけどね。

 地上で確認してみたけど、そこに行くための道が見当たらなくて、かなり困った。じゃあ、下水道から上に上がろうと思ったけど、突き当たってしまって上がるところは無いんだよね。

 それで、冒険者ギルドの裏に不思議空間があるって気が付いた。

 で、受付の人に、依頼の報告をする時に、冒険者ギルドの裏には何が有るんですか?って聞いたら、自分で確かめてみて下さいって言われた。

 分からないから聞いているのに、返事が返事になっていないので、これは当たりだと思ったんだけど、野草問題で忘れてたや。テへ。


 冒険者ギルドと、隣の建物の間に体を滑り込ませるだけで、あら不思議。目の前にお店が5軒横並びになってる。

 

 誰が、建物と建物の間に入っていけるなんて思う?

 百歩譲って、現実なら奥に何かあるかも知れないと思うかも知れないけど、ゲームだよ?ゲーム。しかも初めての町だよ?

 

 僕が気が付いたのは、下水道が通っていたから気が付いたけど、通ってなければ気が付かなかったよ。

 しかもちゃんと排水しているのは確認してる。


「私は届け物をズットしていたら、何個か荷物を届けられないって気が付いて、受付の人に聞いてみたの。

 そしたらね、道はどこにでも続いているとは限らないとか言われちゃって、少し考えて、あ、道の先には無いんだって気が付いて、建物の間に片っ端から入ってやろうと思ったら、最初で当たりを引いちゃったのよね。

 それで荷物を渡すのに呼び出そうが何しようが、誰も出て来ない訳よ。

 扉に小さく、荷物は扉の横に置いておいてと書いてあるのよ。

 ほら、ここ。」


 で、今僕達の前の5軒のお店は何のお店か分からない。扉が閉まり、外から中を覗うことも出来ない。

 ミュウが言ったように、呼び出せど、扉を叩こうが反応が無い。

 一体何なんだろうね。ここって。

 ただ、僕の勘とミュウの勘が、ここに答えはあるっていっているんだよ。


「ね、ここって不思議でしょ?ノード君と私の職業に関係する何かが有るって思ってるんだけどね。」


「ま、初めての町で、こんなギミックが有るなんて誰も思わないだろうからなぁ。

 後は解放条件って事になるが、そんなもの分からないって事か。

 確かに、分からないことが分かったって事だな。」

 ジムが渋い顔で言う。


「割と親切だよ?」


「どこがだよ?」


「だって、僕は依頼をこなさないとお金も貰えないって事じゃない。

 で、依頼をこなしていたら、ここを見つける。

 そして、解放条件もきっと、採集が終わった当たりでヒントが来るって思ってる。」


「ある意味で、王道なのかなって私は思ってる。パーティーに入り込んで先の町を目指してたら、一生気が付かない鬼仕様だけどね。」


「それだよ。あの職業を決めるときの、爺さんのセリフ覚えてるか?

 俺は今さっき思い出したんだけどよ、ノード、何て言われたよ?」


「え?僕?何言われたっけ?」


 ジムが呆れたように言う

「最初に言われた事がアレじゃな。気持も分からなくは無いけどよ。

 あの爺はこう言ったんだぞ

『テイマーか、こりゃまた・・・お前さんは町を出ない方が良いじゃろうな』

 ってな。」


「あ、そう言えば、そんなふうに言われたね。僕は嬉しくって聞いてなかったけど。」


「「嬉しい?」」


「あ、あの時は、このゲームをどうやってやめてやろうかって考えてたから、町から出られないなら、辞めやすいって嬉しくて、テへ。」


「ノード君、その、テへ。って最近のトレンドなの?」


「え?ダメだった?」


「いいえ、可愛さ満点だったから、私的には有り!」


「俺は背筋がムズムズするからやめてほしい!」


「ジムが慣れるまで時間はかからないでしょ?テへ。」

 やってやったよ!どうだ!僕のテへ。の威力は!


「ゴホン。じゃ、無くてな、もう一回言うぞ?

『お前さんは町を出ない方が良いじゃろうな。』

 だぞ。」


 なんでジムは何回も同じ事を言ってんだろ?町から出ない方が良いんでしょ?


「あ~!!!そっか!そうなんだ!私も勘違いしてたけど、あのクソ爺が言ってた事って、そういう事なんだ!!!」


 え?ミュウが興奮状態に突入してるんだけど・・・



「ノード、まだ気が付かないか?」


「だからなに?」


「だから、あの爺はノードに異世界で冒険を辞めろとは一言も言ってないんだって事だ!」


「そいつはいいねぇ~!」


「だから、初めての町でしかテイマーをはじめとした特殊職業のヒントがねぇんだよ!きっと。」


「ボール、ロー!」


「「「誰!」」」


 僕の名誉の為に言っておくけど、僕はジムが言ったことに返事を1回もしてないからね?そして、ちゃんと気が付いたからね。僕の為だけのヒントだったって。


 そうしたら、このやりとりだよ・・


「あ、すまん。何か楽しそうだったもんでついな。」

 そこには僕の身長の丁度3分の2程の人がいた。だいたい、110㎝くらいかな。小学生入学時平均身長程かな。


「「「どこから現れたんだよ!!!」」」


 すると、その人は、5軒並びの真ん中の扉を指さしている


「あそこから出て来ただけだ。表が珍しく騒がしかったもんだからな。」


「え?私、荷物届けに来たときにガンガン扉叩いたり、呼んだり、騒がしくしたわよ!」


「あ?何を言っているんだ?そりゃ届け物は横に置いとけって書いてあれば、音なんか全部シャットアウトしとるに決まっておるわな。」


 え?なに?音をシャットアウトって?え?


「当たり前じゃないか?店を開けていれば良いが、店を閉めた後にまで、扉をドンドン叩かれて、買い物をさせてくれとか、どんな迷惑な話だよ。

 だからな、店の扉を閉めたら、音はシャットアウトってなってんだわ。」


 うわぁ、理由が思ったよりも、凄くマトモだったよ。

 営業時間外の対策って事なんだね。それは仕方ないか。じゃあ、今は営業時間じゃないって事だね。


「騒がせて御免なさい。でも、なんで音をシャットしてるはずなのに、僕達の声が届いたの?」


「そうよね?何故私達の声が聞こえたのかしら?」


「そりゃ、店を開けたからに決まってる。頭大丈夫か?」


「あ、はい。そうですね・・・」


 お店の中を見せてもらおうかな・・・

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