そこはゲームの中でした
レベルアップがキチンとできていなかったっていう衝撃の事実。
というか、冒険者ギルドカードなる物があったということすら、さっき知るという意味不明な状態。これ、僕は怒っても良いところだよね?
って、もうジムが怒っているけどさ。
「おい!ギルドカードが無いとレベルアップが出来ないってどういう事だよ!
そんな説明無かったよな!」
「すいません、すいません、すいません、すいません。」
受付のおねーさんが何度も頭をさげてるんだけどさ、すいませんじゃ分からないよね。子供の僕でも分かることだよ。
「何やっんだ?お前等?」
あ、おじちゃん登場だ。
「このねぇーちゃん使えねぇぞ!」
「あぁん?うちの看板娘に何言ってやがる?事と場合によっちゃ潰すぞコラ!」
おじちゃんが怖くてちびりそうになっちゃったよ。ジムも少しだけ怯んじゃったら、横からミュウが
「ギルドマスターなんだから、何があったのかを聞くのが先じゃ無いですか?子供相手に大人げない。
こちらの受付の方が私達のカードを机の中に入れたまま忘れていた事が今判ったんです。
忘れていたのを思い出して貰えたから良かったですけど、忘れたままなら私達、外でレベル上げをやってもレベルが上がらないって事になっていた所なんですけど?」
って平坦な口調でいったもんだから、部屋の温度が滅茶苦茶下がっちゃったよ・・・
「はぁ?何だと?カードはその場で作成して、その場で渡して、その場で説明が基本だろうが!
何してんだ!」
おじちゃんが、受付のおねーさんを怒り飛ばしてる。
「あの、そういうのはいいので、私達はどうすればいいのかって聞いてるんです。
うちの馬鹿が何も考えないで、受付の方を責めてしまった事は、私達の対応が悪かったと思っていますので、キチンと今後の事を話しあっていけないですか?」
あ、悪い顔してる。ミュウって本気で怒ると本当に怖いんだよね。
「あの、その、こちらのお三方の職業がですね、テイマー、召喚術師、重戦士と、うちの目録に載っていなかったので、登録に時間がかかってしまった事と、裏での事件が重なってしまって、カードを渡しそびれてしまって、今に至ります。」
受付のおねーさんが、おじちゃんに事情を説明してます。
「で、テイマー、召喚術師、重戦士としての登録は出来たのか?」
「はい。それは出来ています。ただ、他の方と違って、どの様に成長していくかや、分岐があるかどうかも分からなくてですね、本部に問い合わせ中だったのもありまして。」
「するってーと、カードを渡してもレベルアップをしても、どう成長させていくのかが分からないって事か!
そりゃ困ったな・・・」
あれ?突然困った困ったって言い出しちゃったよ?ミュウの顔は変わらず怖いままだし、ジムは固まっちゃってるし、蚊帳の外になってるフェアさんが、おじちゃんと受付のおねぇーさんの遣り取りを見てるだけになってる。
「そうなんです。成長の方向性はご本人の自由なんですが、ちゃんとこちらから成長の説明はして、クレームが来ないようにしないといけませんので・・・」
「そうは言ってもよ、こいつらのレベルは上げられる状態にはなってんだよな?」
「はい。うちの塩漬け依頼を軒並み受けて頂きましたから、かなりの経験値が溜まって居られるかと思います。
下手すると、他の職業だと転職や上位職になれる可能性までありますよ。」
「それは・・・
何だってそんなに町中の依頼をこなしてんだよ、こいつら。
普通は外で魔物でも狩って、依頼を受けない奴の方が多いじゃ無いかよ・・・」
「それが、彼等には攻撃手段が分からないらしくて。
重戦士は攻撃力ゼロだって仰っていますし、テイマー、召喚術師に至っては・・・」
「何だって、パーティー組んでんだよ、こいつら・・・」
そりゃ、幼馴染みだからね、パーティー組むに決まってるよね。
「それが、異世界人で幼馴染みだからと言われてました。」
あ、おねーさん覚えてたんだ。なのに何でカードのことは忘れてたのかなぁ。
「そういうことか・・・もっと早くに分かっていたら、攻撃職を押しつけたのによ。
つーか、こいつら回復職探してたよな?
攻撃しなくてどうするつもりなんだ?」
「それ、ギルマスが聞いているかと思ってましたよ!」
「俺は、お前が聞いているもんだと・・・」
うん。勝手にお互いに聞いていると思った事で、僕達の事が分かってなかったんだね。
そろそろ前向きな話にならないとミュウが・・・
「はい。そこまでで。聞いていると、私達の職業が特殊過ぎて対応出来ないって理解すれば良いのかしら?」
「あ~、すまん。お前等3人がここまで特殊だとは思って無くてよ。
職業は聞いたけどよ、ここまで特殊だとは思ってなかったわ。
こりゃこっちの対応が悪かったな。
せめてカードの説明だけでもしてりゃな。」
ん?僕、今、凄いことに、気が付きました!
「あのさ、この状況って、僕達にとっては悪くない状況かもしれない!」
「は?何言ってんのよ?何が悪くない状況なのよ?」
ミュウ、怖いって、そんなに目で見ないで!あの時の事を思い出しちゃうから!
「あのさ、僕達って特殊な職業って事は分かってるじゃない?
テイムの仕方も分からなければ、ミュウの召喚の仕方すら分かってない。
そんな中でレベル上げて、能力値を適当に上げちゃってたら・・・」
「あ、確かにそうね。下手にレベルが上がってなかったのは、良かったのかもね。
どうせ、ジムはレベル上がっても堅いだけの盾には変わりなかったでしょうし。」
言い方!ミュウ、言い方!
あ、ジムが崩れ落ちちゃったよ。
「それで、お前ら3人どーすんだ?自分の職業の事を調べるにしてもよ、多分だが、王都に行くか、滅んだ国の跡地に行くかしかねぇと思うんだが?」
「そこまで、安全に行けないの?」
僕は素朴な疑問をおじちゃんに投げかける
「普通ならレベルが少し上がってりゃ、街道を進めば、そこまで危険無く行けるけどよ・・・
お前らだろ?辿り着けると思えねぇんだわ。」
「乗合馬車みたいなのはないの?」
「乗合馬車馬ってなんだ?馬車なんて貴族しか乗らねぇぞ。」
ないんだ。そっか。安全に移動できないのかぁ
「じゃあ、護衛依頼を出して、連れて行ってもらうことは出来ないの?」
「あ~、おめーら異世界人だからなぁ。依頼を出しても誰も受けてくれねぇと思うぞ。」
そうだった。なぜが異世界人は冒険者に嫌われてるんだったね。
「それじゃ、情報が来るまで待つしかないって事かしら?」
「悪いが、そうなるな。下手をすると情報無しでおわるかもしれんが・・・」
僕達の滞在期間が延長になっちゃった瞬間だったよ・・・
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