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そこはゲームの中でした

 3人でギルドの受付の人の所で、4匹の子猫(大きさは親猫サイズ)を一緒の部屋に行って良いか聞いたんだ。

 受付の人の目尻が下がり、可愛い、可愛いと言っていたんだけど


「動物や魔物を部屋に入れるのは禁止されてまして・・・

 申し訳ありませんが、動物が宿泊しても良い宿屋を紹介しますので、そちらに言って頂けますか?

 わたしとしては、まだ生まれたばかりに見えるこの子達が何かするとは思えないのですが、規約ですので、本当に御免なさい!」

 って頭を盛大に下げられちゃったよ。

 3人、照会された宿屋に言って、泊まれるか聞くと、動物は別の場所に泊まって、人は部屋って言われちゃった。

 それ、無理でしょ?だって、お乳あげたり、汚いけど、排泄させたりしなきゃいけないから、当分は離れられないって思うし。


「ノード君、ギルドで相談してみよう。」

 ミュウは声を落として僕に言う

「最悪野宿だな!俺が寝ずの番してやっからよ!」

 ジム、男前すぎ!

「ありがとう。ギルドで相談して、どうにもならないなら野宿しよう。」


 僕達まだ、野獣、魔獣、肉食獣と戦った実績0なんだけどね・・・


「すいません、戻って来ちゃいました。」

 受付の人が目を白黒させている


「あれ、宿屋に行かれなかったのですか?」

 あわててるなぁ


「ちがうくて、動物とは別部屋でって言われちゃって、ギルドでもう一回相談させて貰おうかと。

 ダメなら、野宿かなぁって、皆で話してました。」

 ニッコリ笑顔で言います。テへ

 同情を誘えれば僕等の勝ちだからね


「少々お待ちください。上と相談来て参りますので。」

 そう言うが早いかダッシュで奥に消えていっちゃった。


 どうなるかドキドキしながら、4匹の生まれたての子猫を見ると、ピーピー言っていたんだよ。

「ノード、これ、腹減ってんじゃねぇのか?こいつらデケーからよ、腹がすぐに減っちまうんじゃねぇか?」

 ジムが一匹を撫でながら言う。

 その子はスンスンとジムの指を舐めようとしている。

 めっちゃ保護欲を掻き立てる動きに、ミュウが


「ほら、早くミルク出しなさいよ。手分けしてあげないと。

 あ、1人足りないじゃない。どうしよう?」

 そう言ったタイミングで受付の人が帰ったきた。


「あ、良いところに!受付のおねーさま!お願いです!この子にミルクをあげるの手伝って下さい!

 僕達3人しか居ないので、この子にミルクをあげる人が居ないんです!」

 あわわわわ。と言いながらも受付のおねーさんはミルクをあげてくれると言ってくれたよ。


 色々詰められたカートの中から哺乳瓶を4つ出し、ミルクを作る。

 

「おい!お前等何やってるんだ!」

 受付の奥から厳ついおじさんが叫びながら出て来たんだけど、何を起こってんだろう?ここでミルクを作ったりしてたのがいけなかったのかな?


「そんなものをやったら死んじまうぞ!」

 え?ミルクをあげちゃいけないの?

 ビックリして動きが止まっちゃった僕達の側まで、おじさんがやってきて、哺乳瓶を4つとも取り上げちゃったんだ


「ちょっと、何すんのよ!この子達のミルクなのに!」

 ミュウがおじさんにつっかかってると


「冷たいミルクなんかやったら腹を壊して死んじまうぞ!

 そんなことも知らなくて、そだてるつもりだったのか!」

 えっと、ゲームだよね?だからミルクを作って飲ませてあげれば良いって思ってたよ。

 と、いうか一番最初のミルクをあげた時ってどうしてたっけ?


「最初にあげたときは、そのままあげてもんだいなかったぞ?」

 ジムが言う


「冷たかったか?そのミルクは?」

 おじさんの眼圧が凄まじいです。ちびりそうです。ごめんなさい、もう許して下さい。


「あ、そう言えば、あの小さなおじさんが用意してくれて・・・」


「つまり、お前たちが用意していなかったんだな。少し安心したが、これは無い!」

 ふぅっと一息ついて、おじさんは

「まず、こいつらにやるミルクはぬるま湯で作らないとだめだ。

 人間と違って、沸騰して冷ます様な事はしなくても大丈夫だが、暖かいミルクじゃないと、さっきも言ったが、腹を壊してしまう。」

 と、言いながら、冷たいミルクの入った哺乳瓶を温めると言って、奥に入っていってしまったんだよ。

 って、いうか、あの人誰???

 受付のおねーさんを見ると


 慌てたように

「あ、今のは冒険者ギルドの副ギルド長です。ああ見えても、凄く面倒見の言い方なんです。」

 副ギルド長なんだ。

 ミィミィ、ピィピィ、キュゥキュゥか細い鳴き声がするのは聞いていると悲しくなるなぁ。

 

「ほれ、ミルクを飲ませてやれ!ちょっとずつ急がずに時間をかけて飲ませてやるんだぞ。

 急いで飲ませると、ミルクを吐いてしまうからな!」

 なんで、この人こんなに詳しいんだろ?でも、言われた通りに、時間をかけてゆっくり飲ませてあげる。

 ミルクを飲み終わった子猫たち。ホッとしていると、


「ほれ、背中を撫でてやってゲップを出してあげるんだ。」

 言われるがまま子猫たちの背中を撫でてやる。

 ゲプゥ~って言うゲップを子猫達が出すと、何とも言えない、良い表情をして眠りにつく4匹。


「えっと、あの、ありがとうございました!この子達を危ない目にあわせるところでした。」

 ミュウが頭を下げる。慌てて、僕も頭を下げる。ジムは子猫の様子を見ていて、こちらには背中を向けていたので気が付いていないみたいだ。


「ま、初めての事だしな。分からなくても仕方が無いが、分かる人がいないか聞くべきだったぞ。

 これは冒険においても同じ事だ。

 分からないまま、情報も無いままに、お前たちは依頼を行うのか?」

 僕とミュウはクビを横にフルフルと振る。


「そうだろう。今回は危ない所だったが、幸い大事なく済んで良かったな。」

 おじ・・・副ギルド長は穏やかな表情で子猫を撫でている。


 受付のおねーさんが、至福の時間が終わったとホンワカ感を出しながら

「ギルドの厩舎でしたらお泊まり頂いて大丈夫です。

 ベッドは今まで泊まられていた部屋のベッドを運んで使っても良いそうです。」

 と言ってくれた。


 ジムと2人でベッドを厩舎に運び込む。厩舎は広かったので3台のベッドは問題なく収まった。


「おう、お前等この子達が乳離れするまで、ここを利用してもいいぞ!

 もちろん料金はいらん!

 さらに、だ。お前たちが依頼を受けて留守の時で帰らそうになかったら、この受付がミルクを飲ませてやるからな。」

 え?なんでそこまで至れり尽くせり何だろ?


「今、なんでここまでしてくれるのかって思っただろ。

 この4匹の親だが、依頼を受けてうちの冒険者が生け捕りにしてきた物だ。

 公爵の依頼と言うこともあってな、断れ無かったんだが、まさか腹の中に子供がいる魔獣の捕獲だとはこちらも知らされてなくてな。

 直接依頼を受けた冒険者に条件の上乗せ、依頼料の上乗せをして受けさせたようなんだわ。

 受けた冒険者は上乗せの依頼条件をこちらに伝えて無くてな。

 いま、その依頼を受けた冒険者に詳細を聞いているところだ。」

 え?なんで、そんなに簡単に受けた冒険者が特定されてるの?


「なんでそんなに早くと思っているな?」

 こ、心を読まれた!じゃなくてね、


「簡単なことだ、そいつら、そこで飲んでたからな。

 引き渡しをおえてから、普通は飲むんだが、執事だったかが、裏を使わせてくれれば、それで良いって言ったらしくてな。

 上にも話は通っていると言われりゃ、そりゃ信じるわな。公爵の執事ってなれば、疑えばクビチョンパだしな。」

 公爵ってやっぱりかなり偉い人なんだな。今は首ナシになっちゃってるけど


「隙をつかれちまって、たまたま、お前等がこの子達を保護してくれて助かったってのがホントの所なんだわ。」

 ん?何で?だって、依頼で魔獣の捕獲で普通に出してたんでしょ?


「あぁ、魔獣の捕獲の依頼自体は珍しい事じゃねぇんだよ。

 あわよくば調教して、権威付けにしようとする貴族は一定数いるし、魔獣が死んじまって新しい魔獣をって事でな。

 ただ、子持ちの魔獣や妊娠中の魔獣の捕獲に関しては、許可がいるんだわ。

 国からの許可が無いと捕獲は出来ねぇ。

 ただ、今回、あのクソ公爵は国の許可を貰わずにやりやがった。」

 え?そんなこと出来る物なの?


「そんなことできるのかって顔だな。

 普通じゃ無理だ。そこをクソ公爵が許可があるって言っちまえば、信じるしかねぇんだよ。

 許可証は後から届くとか言われりゃな。

 そんくらいの権力は有るって事なんだわ。」

 なんか、汚い大人の世界を見せられてる?嫌な話だよね。


「で、だ。あんなことをやらかしてくれたんで、許可が出ていたのかを確認したらな、許可なんか取ってないって事が分かってな。

 依頼を受けた冒険者達も話が違う!俺達はどうなるんだって騒いでな。

 酒も入ってて五月蝿かったから、拳で黙らせて下に降りてきた所だ。」

 うわぁ、ジェットコースターのように話は上がって下がって、捻られてってなってたんだね。

 何も知らない僕達は暢気に仔猫可愛いって、ホンワカ気分だったのが申し訳なくって来ちゃったよ。


「あの、質問です。

 この子達の扱いってどうなるんですか?違法行為の後始末ってだいたい、闇の中にって話だと思うんですが・・・」

 僕がビクビクしながら、おじ・・・副ギルド長に聞くと


「あぁ、そりゃ気にすんな。もうインプリンティングされちまってるからな。

 お前さんが親になっちまってる。

 こいつらがデカくなったときに、お前さんの言うことを聞かなくなったら、野生に返してやればいい。

 ただ、討伐されても文句は聞かないけどな。」

 ん?僕たちテイマー。この子達をテイムしたことになってるんじゃ無いの?あれ?どういうこと?


「あの、僕、テイマーなんですけど、この子達をテイムしたんじゃないんですか?」

 おじ・・・副ギルド長は目を見開いてい


「は?テイマーだと?不遇も不遇な・・・

 いや、だとすると、これは運が良かったのか悪かったのか・・・

 正確にテイマーがテイムしたかどうかなんて誰もわからねぇんだよ。

 テイマー自体がテイム出来ているか分からねぇみたいだからな。」

 え?なんなのそれ?どういうことなの?


「あぁ、誤解が無いように言っておくが、複数の動物のテイムは確認が出来ねぇんだ。

 最初のテイムは分かるって話らしいがな。

 今回はインプリンティングでお前さんを親と思っているだけなのかテイム出来ているか、正直わからねぇ。」

 なんですと?なんですと?なんですと?テイマーって地雷職とは思っていたけど、テイムしたかも分からないとかどーなってんだよ!

 最初にテイムした動物なり魔獣なりをずっと使役しないといけないって事じゃないか!

 頭が悪いんじゃ無いの?運営さん?異世界が地獄だとは思わないじゃ無いか!

 

「不満があるみたいだけどよ、テイムが出来ているか確認が出来ないだけで、絆が結べないとは言ってないからな。

 そこは自分が何を持ってテイム出来ているか信じないといけないって事みたいだぞ。」

 というか、テイマーの事良く知ってるんだな。この、おじ・・・副ギルド長。


「分かりました。テイムの仕方も分からないので、これから調べていきます。

 もしかしたら、テイマーは実は凄い職業かもしれませんから!」

 笑顔で力強くいってのけるボクッテ格好いいかな?テへ


「あの、召喚術師って、どうなんですか?」

 ミュウが恐る恐る聞く


「あ?お前さんはお前さんで召喚術師なのか!」

 ビックリして、また目が大きくなってるよ。


「そうです。媒体がいるって所と、媒体を入れる容器がいるって所までは聞いたんですが。」


「あぁ、召喚術師か・・・

 悪いな、俺も召喚術師については詳しくねぇんだよ。

 なんたって、今までに召喚術師が1人しか確認できてねぇからよ。

 ただ、その召喚術師は、伝説の冒険者の1人に数えられてるぜ。

 お前さんも召喚術師の謎を解き明かせればいいな。」


「でも媒体と容器の話は知っているんですよね?」


「それは、その召喚術師が残した日記に書かれていたからな。

 吟遊詩人も歌ってるぜ。

 ただ、媒体をどうやって手に入れるのか葉不明なんだよな。

 容器の事までは書いてあったらしいんだが、何せ日記が飛び飛びに書かれていたのか、途中のページが紛失してしまったのか分からなくてよ。

 このギルドにも複写物は置いてあるから、後で見たらどうだ?」


「あ、ありがとうございます!是非見せて貰いますね!」

 ミュウは頭をこれでもかって下げて、ニコニコしている。


「いや、そんなにお礼を言われるような事じゃないんだがな。誰でも読めるしよ。」

 照れ笑いするおじさんは不気味だと僕は声を大にして言いたい!

 

 とはいえ、子猫達がミルクを飲まなくなるまで、初めての町から出ることがデキないことが確定した瞬間だったんだよね。


 ジムなんかは、ヤレヤレってしながら

「馬鹿な公爵の後始末と足留めになってしまったって事でもあるんだよなぁ。

 絶対この後に面倒臭いことにしかならねぇって思うのは俺だけか?」

 って言葉に、おじ・・・副ギルド長は苦笑いをするだけだった。

 

 そのうしろでは、猫じゃらしや猫が好きそうな遊び道具をこれでもかと用意をしている受付のおねーさんの良い笑顔が印象的でした。

 

 僕の子達は世界一だもんね!可愛さ爆発だよ!テへ

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