第6話 え?これって新婚初夜ってやつ?
こんにちは、ヒカリです。
今回は、ついに「ふたりきりの夜」回です。
もちろん全年齢です……たぶん。
おじさんとツンデレ魔王の距離感がどう変わるのか、こっそり覗いていってください。
宴会は勇者の乱入で強制終了となり、ドワーフたちが「まあまあ落ち着け」と全員を部屋に振り分けた。
結果――俺と魔王が同じ部屋、勇者とダンディードワーフが同じ部屋。
……なんでそうなるの?
部屋について説明するぜ?
石造りの壁に小さなランプが一つ。ベッドは一つしかない。
大事なことだからもう一度言う――ベッドは一つしかない。
……結婚しよって言ったけど、急展開すぎて、オジサン困っちゃう。どうすりゃいいんだ、これ?
「おれ、床で寝るから」
「馬鹿者、冷えるぞ。風邪でもひかれると面倒だ」
「……仕方ない。半分使え」
「おいおい、本気ですか? 一緒に寝ることになっちゃうよ? 知ってる? このお話、全年齢対象だよ?」
魔王は、ぽすんとベッドの端に腰を下ろした。
これ、魔王なの? 本当に世界滅ぼそうとしてたの、こいつ?
「……じっと見るな、落ち着かん」
デレてるーー!
とりあえず反対側に座ってみる。
「いや、思ったより距離近いなっ」
「近い方が……温かいだろ」
……デレてるぅぅぅ!
ランプの明かりが小さく揺れ、影が壁に伸びる。
おじさん、緊張しちゃう。別れた妻ともずいぶん前から別々に寝てたし、どうしていいか分かんない。
沈黙――そうだよな。沈黙になるよな。早く寝よう。
ひっひっふー、ひっひっふー。
魔王がぽつりと口を開いた。
「……お前は、本当にわからん人間だ。なぜ私を助けた?」
「え? そうしろってリスに言われたし。それに、結婚するって言ったじゃん。おれ」
「……それが理由か?」
「理由なんてそんなもんで十分だろ」
魔王は呆れたようにため息をつき――
少し間を置いて、ぽつりと。
「……嫌いではない」
このチョロイン、どうやって扱えばいいの!?
ベッドに横になると、魔王も隣にそっと横たわった。
背中合わせ――と思ったら、ふいに布団が少し引っ張られる。
「……そばにいてもいいか?」
振り返ると、魔王の赤い瞳がすぐそこにあった。
距離、近すぎ。
いいか、もう一回言うぞ。
距離、近すぎ!!!
「そばって……これ以上近づいたら――」
「……文句でも?」
「ないです!」
互いの体温が伝わる距離で、ランプの明かりがゆっくり消えていった。
――これ、新婚初夜じゃね? 年齢制限?かけちゃう?……いや、まだセーフ!たぶん。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
いやー……書いてるこっちがニヤニヤしました。
魔王のデレがここまで開放されるのは珍しい回だったかもしれません。
次回からはまたひと波乱? それとも、もっと甘くなる……?
引き続きお楽しみに!