第4話 酒の妖精、爆誕!? 目覚めたら嫁がデレてた件
こんにちはヒカリです。今日は、4話目も投稿しちゃいます!ぜひ読んで下さいね!
……暗い。
音もない。
体も動かない。
あれ? おれ、死んだ? 異世界に来てから死ぬって二重転生コース? そんなの聞いてないんだけど。
意識がぼんやり戻ったとき、俺は柔らかい布団に寝かされていた。
天井は低く、壁は岩肌むき出し。酒と肉の匂いが鼻をつく。ここ……ドワーフの宿か?
「……お目覚めですか、マキトさん」
耳元で声がした。
リスだ。俺の胸の上にちょこんと座っている。
「お前……何があった?」
「簡単に言うとですね、マキトさんは酒に弱すぎて即落ちしました。で、血の契りの儀式は続行されるわけですよ。
仕方ないんで、私がマキトさんの体をちょっと“お借り”して――飲みまくりました」
「飲みまくった!?っていうか、お前、そんな能力あるの!?」
「ええ。私は言葉だって話せるんですよ!何でもありですよ!
マキトさんは、私のおかげで、次から次へと差し出される酒を一滴残らず完飲。おかげでドワーフたちから“酒の妖精”って呼ばれてます。
すっごい尊敬されてますよ、マキトさんっ!!」
「いや、全く嬉しくねえよ!」
「あと、リスには、結婚とかは正直よく分からないんですけど……要は、アレですよね。アレ。
とりあえず、キスまでは済ませときましたから!」
「……は?」
「ほら、途中で止めるのもマズいかなって思って。サービスですよ、サービス!」
俺は跳ね起きかけて、隣を見る。
そこにはベッドに腰かけ、こっちを見つめる魔王がいた。
顔が真っ赤で、耳まで染まってる。
「……その……さっきは……よかった」
「は?」
魔王は俺から目をそらし、落ち着かない様子で髪をいじる。
なにこれ、ツンデレのデレ全開バージョン? 可愛すぎない?
「え、ちょ……お前、それ、リスが操って――」
「シーッ! それは言っちゃダメです!」
リスが俺の口を両前足で塞ぐ。
「……あの時のお前は……勇敢で、迷いがなくて……優しかった」
チョロインじゃん!こいつ、チョロインじゃん!!ねぇ、そうだよね?これ、チョロインだよねっ!?
「それで……私は……」
魔王が何か言いかけた瞬間、外から爆音と笑い声が響いた。
「おーい! 新婚お披露目宴の準備ができたぞー!」
ドワーフの声が響く。
「……新婚?」
「はい。契りを交わした二人は兄弟同然ですが、異性同士だと“事実上の夫婦”扱いですね。
あと、マキトさん、今やドワーフ界隈じゃ“酒の妖精様”ですから」
俺は頭を抱えた。
こうして、俺と魔王の――新婚生活が、ドラマティックに始まっていったのだった。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今回は、ブラックアウトの裏で起きていた“飲みまくり事件”と、魔王の勘違いデレをお届けしました。
酒の妖精・旦那様……本人は全く望んでいませんが、ドワーフたちは全力で持ち上げてくる模様。
次回はいよいよ「新婚お披露目宴」回。
果たしてマキトは無事に終えられるのか、それともまた新しい称号が増えるのか……お楽しみに!