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Ⅶ 光と闇

「やっとついたぁ…」


王に早めに連絡する必要があったため、イオキの竜化(ドラゴンフォーム)に乗り、王都の少し離れたところまで連れて行ってもらった。

アリス達は、爆速での移動と、これまでの疲れで、へとへとの状態で王都に到着。


急ぎ、ギルドへ報告に向かう。


=========


ギルドは酒場も一緒に営業して居て、今の時間帯は酒場の方が盛り上がっている時間帯だった。

その酒場に、騒ぎにはなっていないが、ヒソヒソと注目を浴びているクジの面々が酒を飲んでいた。


「あそこで、お前が援護しなかったから、失敗したんだろうが!」

「お前こそちょっと攻撃くらったからって、いつまで寝てたんだよ。最近弛んでんじゃねぇか?」

「あんただって、魔力切れ早くなってるし、もたもたと回復薬飲みやがって、ずっと前線張ってんのに、攻撃魔法はなたねぇで何してたんだよ!」


酒場で反省会ならぬ罵倒会を行なっているようだった。


「依頼に失敗して、帰って来るたびにずっとあんな感じなんです。」


そう声をかけてくれたのは、ギルドで受付をしてくれている女性であった。

前までは、依頼の失敗なんてほぼ無かったのに、失敗が続くようになってから、まるでうまくいって居ないらしい。


(まぁ、今の俺には関係がないことだけど…)


「ギルドマスターに取り次げないでしょうか?」


クジのメンバーには申し訳ないが、自分たちの報告を優先させてもらう。


「はい。少々お待ちください。」


ギルド受付のところで待っていると、

ガヤガヤしている酒場の中でくじのメンバーの罵倒がまだ聞こえてくる。


「お待たせいたしました。こちらはどうぞ。」


知り合い同士の罵倒はあまり聞いていたいものでもないので、早めに移動できるのはありがたい。


=========


「王からの依頼の報告か?

お前のことだから、何かしらの方法で魔王軍を撤退させて、その報告ってところか?」

「あー、まぁ…その件での報告って言えば間違って居ないけど…」


ーーーーーーーーー


「はぁ!?お前らが、幹部のリバストンを倒した!?」

「そのようです…」

「はぁ、そんで、その場で一緒に戦ってくれたそこの竜人族と妖精族を冒険者として同じパーティにしたいと…」

「はい!」

「全く。俺の予想の上を簡単に超えて来るなよ…

わかった。王への報告は俺の方でやっておくから、お前達は今日は休んで、明日またギルドに来てくれ。そこで、新しい仲間の登録をしよう。」

「ありがとうございます。」

「クジの面々にも少しは見習ってもらいてぇなぁ……」

「ハハハ…」


=========


「魔王軍を退けたパーティバンブーパインの面々に賞与を与える。」

パチパチパチパチ

部屋に集まった貴族達の拍手喝采を浴びながら、

王の表彰を受けとる。

バンブーパイン、今回表彰されるためにパーティの名前を決めるようギルドマスターから言われ、全員納得の名前にした。

アリスとカンナ、サイカはガッチガチに緊張していて、イオキは緊張などはせず、堂々としていた。


「それでは皆のもの、このままパーティを楽しんでくれ。」


王の号令で、立食形式のパーティが始まった。


ーーーーーーーーー


「ふぅ…流石に疲れた…」


立食パーティ中は中々に大変だった。

貴族の娘さん達に言い寄られたり、

イオキとカンナが大食いを始めたため、注意したり、

しまいには、新最強パーティといい始めた貴族達が現れ、パーティ会場に居づらくなってしまい、2階のテラスへ風にあたりに来たのだった。


「今回の主役がこんなところにいてもいいんですか?」


風に当たっていると、後ろから王女殿下が話しかけてきた。


「少々、人混みに疲れてしまって…

王女殿下こそ、会場に戻らなくて良いのですか?」


「私は、あなたを探していたのです。」

「私を?」

「今回は、お父様の無茶な依頼を達成していただきありがとう。私からもお礼を言いたくて…」

「いえ、私も正直達成できるとは思わず…

仲間達の協力や他の人たちの助力と運が良かっただけです。」

「今回の冒険の詳細を、あなたの目から見て、魔族や人々の印象をお話ししてくださらない?」

「報告書ならすでにギルドに送っていると思いますが…」

「体験者から、直接お話ししてもらいたいのよ。

あの事件から、お父様から外に出ることを禁止されていて、毎日毎日つまらないの。

だから、あなたの冒険譚を聞かせてちょうだい。」

「分かりました。ただ、口が悪くなってしまうと思いますので、ご了承いただきたいです。」

「はい!」


ーーーーーーーーー


しばらく、王女殿下と依頼について自分の所見も交えて会話を楽しんだ。


「あなたのパーティには、また女性が増えたのね…それに結構な美人さんに、可愛い妖精さんまで…」

後半は声が小さくよく聞こえなかったが、女性が増えたのは事実だ。

「大きな戦力になってくれると思います。」

「も、もしかしてあなた、パーティ内で好きな…」

「おーい、主人様!そこにいたのか!」

「そろそろお開きみたいッスー。」

「サイカちゃんも寝ちゃったし、

私達も宿に戻るけど、ユージさんはどうします?」

「わかった!今行くよ!

王女殿下、何か質問されてませんでした?」

「い、いえ、私のことは、気にしなくて大丈夫ですわ。お話は終わり!私も戻ります。」

顔を真っ赤にして俯く。

「詳しい話は、また後日聞かせてください。」

俯いた直後顔をあげ、満面な笑顔で、手を振る。

「?? はい。また今度。」


そう返し、俺は2階から飛び降り、アリス達と合流した。


=========


「号外〜号外〜」


王都に飛び交うある知らせの書かれた紙。

そこには、ユージ達バンブーパインが魔王軍幹部のリバストン討伐の知らせが書かれていた。

「最近調子の悪いクジに変わっての最強パーティになるのでは?」という文字を目にし、手をふるふると振るわせながら、紙をくしゃくしゃにするデント。


「くそッ、クソクソクソクソ!」


デントは癇癪を起こし、紙をズタズタに引き裂き、撒き散らす。


「ユージ……やってくれたな……」


デントの目はユージへの怒りで燃え上がっていた。


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