04ー4 ヒトのあるべき姿
『……やめだ、とは? いったいどういう意味だね?』
「僕はアンタに、まだ聞かなきゃいけないことが残っているんだ」
確固たる意思を示すように、真っ直ぐと相手を見据えて言い放つ。
『――ああ、成る程!? 種明かしをしたいというわけかい。構わないよ、フィナーレだ! 全てを相棒に明かそうじゃあないか!』
「まずは、【赤きティンクトゥラ】についてだが……。コイツは一体なんなんだ?」
『それについては、私も詳しいことは知らされてはいないが……。識者曰く、【赤きティンクトゥラ】とは、魂の結晶であるという。見た目そのものは無機質な石ころなのだが、コレがヒトの魂を保存する器になるらしい。要するにコイツは、外付けハードウェア化した、ヒトの姿ってわけだ』
「――こんなものが……。ヒトのあるべき姿じゃない!」
『然もありなん。元より、選択の余地など無かったのだ……。生きる為には、――取引に応じる他無かったのだよ』
「取引だと? そいつがこのふざけた事件の元凶を作り出した首謀者なのか!?」
『そうだ。私がこのような変わり果てた姿になったのも、相棒がこうして終わらない日々を繰り返すことになったのもだ。しかし、裏を返せば、こうでもしなければ、この物語が始まることすらなかったということだけは、理解してほしい』
「つまりは、【赤きティンクトゥラ】という、自身の外付けの魂に、白河流星という人形を使って、仮初の日常を送っていたというわけだ」
『理解してくれたようで、何よりだよ』
「――次だ。過去に遡る際に、現代の白河流星がいることによる、矛盾を回避する為の人形の体な訳だったが。コレはそこにいる、卜部操と同様の、用意されたモノいうことで間違いはないか?」
[はい。それについては間違いありません。私は主人に白河流星のサポートを命じられてここにいます。人形とは言いましたが、人体の構造はヒトのソレと全く相違ありません。そこは保証致します]
「――という話なんだが。前から疑問だったから確認するが、頭の中にアンタの声が聞こえるヤツだ。コレはどういったカラクリなんだ?」
人差し指でこめかみの辺りを突きながら、問いかける。
『……コレにはやむ追えぬ事情があってだな、現代の白河流星がいるという事により、スマートフォンを使用することが出来ないという、由々しき事態に気付いてしまったのだよ!』
「……それで?」
『分からないかね!? スマートフォンが使えなくなるということは、私の出番が無くなるというのと等しい事実なのだよ!』
[というわけで、要望により、白河流星の頭部に、トランシーバーに類似した機能を急遽追加させてもらいました]
『そう! これにより、私の出番と共にスピリチュアルな演出までもが、同時に実現したというわけである。これがカラクリだよ!』
「……そうか」
思っていたよりも、どうでもいい理由だったが、それを口にすると色々と面倒になると思い、胸の内に留めておくことにした。
『さて、他に質問はないかな?』
「……じゃあ、これが最後の質問になるが。――これが僕が一番聞きたかったことだ」
『ほう、それはなんだね?』
「れもんという人物は、――一体誰なんだ?」




