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序章
ガタガタと、目の前にあるものをはじき飛ばす勢いで少女は走る。
その表情は恐怖で彩られ、月光に照らされ青白く光る。
暗く、狭い路地を必死の形相で走り抜ける姿はまさに異質であった。
一つ角を曲がった時、行くてに壁が現れそれ以上進めなくなる。元々青白かった顔が、更に血の気を失い、真っ白になる。
ふと、何処からともなく風が吹き、ゴミなどに被っていたホコリや枯れ葉が舞う。その風の音に怯えるかのように、少女はビクリと肩を震わせ、恐る恐る後ろを伺う。
すると、目の前に黒いフードを被ったモノがいた。チラリと覗かせたその顔は、異常なほど青白い光を放った骸骨であった。
「――――――ッ!」
深夜、街の片隅で悲鳴が響く。