61 ルティア共和国編 part 05(改訂)
アリス
--------------------------------------------------
アリスたちがルティア共和国に戻ると、街はひっくり返ったような大騒ぎになっていた。
なんと、民衆がミクリを「革命の首班」にしたいと担ぎ出しているのだ。
広場で革命の成功を宣言した姿が、よほど民衆の心に響いたらしい。また、旧政権の官僚たちがミクリに対して「絶対逆らえない」というレベルの恐怖を抱いていることも、統治のしやすさとして判断されたようだ。
アリス:「やればいいじゃん!」(他人事)
ミクリ:「あの場にアリスがいれば、間違いなくアリスが担ぎ出されてたのに!」
アリス:「ほらほら、みんなが君を望んでいるよ!」(他人事)
フノン:「……諦めたほうがいいですね」
ミクリ:「フノンまで!」
民衆の代表:「どう考えても、あなた以外にはありえないのです! お願いします、この国を導いてください!」
ミクリ:「……はあ。魔王になった時のアリスの気持ちが、今ならよくわかるよ」
アリス:「だろ! 理不尽だろ! ありえないんだけど、仕方ないんだよ、これが!」
ミクリ:「……そうだね。わかったよ」
アリス:「おっ、ついに諦めましたか?」
ミクリ:「その代わり、フノンは副官。メリッサは秘書官。そしてアリス、君は外交官だ!」
フノン:「ええっ、なんでそうなるんですか!」
メリッサ:「あら、私はいいわよ。面白そうだし」
アリス:「外交官かぁ。なかなかいい人選するね! わたしの才能を見抜くとは、流石だね!」
ミクリ:「よし、決まりだ。よろしく頼むよ」
フノン:「……あの、副官って具体的に何をやるんですか?」
ミクリ:「首班(僕)にできないこと全部」
フノン:「それ、全部じゃないですか!」
ミクリ:「なんでバレたの?」
フノン:「だってミクリですよ? 戦いの時だってずっと私がフォローしてたじゃないですか! 最近、特にフォローの割合が増えてますし!」
ミクリ:「……やっぱり、バレてたか」
こうして、ミクリによる革命新政府の船出が決まった。
--------------------------------------------------
【ルティア共和国:新政府の改革実績】
指揮官ミクリの指導の下、新政府は驚異的なスピードで国家の再建を進めた。
政治体制の刷新:
旧政権の腐敗を打破し、市民代表を含む議会を設立。民主的な意思決定プロセスを構築した。
新憲法の制定:
基本的人権の尊重と法の支配を明文化。すべての市民に平等な権利と自由を保障した。
農業の再建(担当:フノン):
旧政府の重税を即座に撤廃。被害を受けた農地の復旧と、最新の農業技術の導入を支援した。
インフラ整備(担当:フノン):
道路、橋、灌漑設備の修復を強行。物流の改善とエネルギー供給の安定化(再生可能エネルギーの導入)を推進した。
社会福祉と教育(担当:メリッサ):
医療サービスや年金制度の拡充。特に農村部での教育機会を増やし、次世代の育成に力を入れた。
外交と環境(担当:アリス):
国際舞台で他国との協力関係を構築。気候変動対策プロジェクトへの国際支援を取り付け、貿易協定を締結した。
--------------------------------------------------
ミクリのリーダーシップ(と優秀な副官たちの働き)により、ルティア共和国はかつてない繁栄の道を歩み始めた。市民の心には希望が灯り、国全体が一丸となって未来を築こうという熱気にあふれていた。
……のだが。
アリス:「……なんか、気に入らない! わたしより上手くやってる! そこがまた気に入らない!」
ミクリ:「自分だってやればできるじゃん」
アリス:「やってるよ! やってるつもりだったけどさぁ! いつのまにかディアブロが全部完璧にやってくれちゃうから、わたしの出番がないんだよぉ!」
フノン:「アリスは飽きっぽいですからね」
アリス:「……そうだね。コツコツ続けるのは苦手なんだよね!」
フノン:「こればっかりは性分ですから、仕方ないですよ」
アリス:「そうだよね! 性分だよね! 仕方ない、仕方ない!」
ミクリ:「……飽きたんだね、アリス」
アリス:「飽きた!」
ミクリ:「まあ、政府もだいぶ軌道に乗ってきたし……そろそろ信頼できる誰かに任せて、僕らも旅に戻ろうか」
アリス:「それがいい!」
フノン:「賛成です。ですが、ルティアの首相の後任となると……ちょうどいい人、誰かいますかね?」
アリス:「メリッサは?」
メリッサ:「私? 私はダメよ。アリスたちについて行くんだから」
アリス:「だよねぇ。……じゃあ、マリアさんは?」
アリス:「あ、それはディアブロが納得しないか。あいつ、最近かなりマリアに頼りきりだし」
フノン:「いっそ……ヴァイオレット(暗黒旅団統領)はどうですか?」
アリス:「おおー! いいかも!」
ミクリ:「ええっ、大丈夫なの? ちょっと……というか、かなり怪しくない?」
フノン:「大丈夫です。彼女はルクレール王国を上手く仕切っていますし、実務をこなしているのは側近のクレストさんですから」
アリス:「そうそう。クレストさんがいれば安泰だよ。よし、とりあえず聞いてみよう! マリア、おいで!」
シュンッ、と音を立ててマリアが姿を現した。
マリア:「はい! 何でしょうか、アリス様」
アリス:「お使いをお願い! ルティアの首相の件なんだけど、暗黒旅団に行って『クレストをこっちに寄越せ』って伝えておいて!」
マリア:「かしこまりました。ヴァイオレット様を説得して参ります!」
マリアは再び、光の中に消えていった。
---
**一言ガイド:**
アリスの「飽きた!」という潔すぎる宣言で、物語は再び旅路へと動き出そうとしています。ルティアの再建を短期間でやり遂げたミクリたちの手腕もさすがですが、それを暗黒旅団へ「丸投げ」しようとするアリスの外交力(?)もまた、ある種の見どころですね。次はどんな騒動が待ち受けているのでしょうか?




