44 トルネキア帝国 海運都市モンテール編 part 1(改訂)
海運都市モンテール
----------------------------------------------------
アリスたちはモンテールに着くと、長期滞在できる宿を探した。
トルネキア帝国の首都、海運都市モンテールは、非常に大きな町である。海岸線の船の数も多く、船着場が南北に二キロほど続いている。特に大型船舶が一度に二十隻は停泊できる。
それだけ物量も多く、岸壁には倉庫街が南北に十キロほど伸びていた。沿岸の道路には商店や露店も南北に連なり、周辺国の商人で賑わっている。
アリスたちは宿でとりあえずゆっくりしてから、数泊分の支払いを済ませ、みんなで色々なお買い物を楽しむことにした。
ディネ「化粧品! 化粧品!」
サラ「美味しい食べ物! 美味しい果物!」
フノン「魔道具! 魔術書!」
ミクリ「格好いい剣! 素敵なスピア!」
アリスは適当に街をぶらついた。
アリス「すごい商人の数だなあー。どのお店も賑わっている。それにしても大きな商店街だなあー。」
ノーム「右斜め前に変な気配のヤツがいますよ。」
アリス「あれはスリだね。ああやって獲物を見つけているんだね。獲物にならないように気をつけよっと。
それよりノームはお目当てのお店はないの?」
ノーム「私には必要なものがすべて揃っていますから!」
アリス「さようでございますか。失礼しました。」
ノーム「アリス! さっきのヤツらに動きが。」
アリス「さてはカモでも見つけましたか。どれどれ?」
ノーム「あのフードとマントの女の子と男性ですね。」
アリス「わあ。いかにも、という感じですね。どこぞの御令嬢やら? もしかしてお姫様かも?」
ノーム「あなたもね。」
アリス「私はどう見ても冒険者!
あっ。二人があとをついてきていることにやっと気づいた。あっ、そっちの建物の陰に入ったらダメなのに! 奥で待ち伏せしているよ!」
ノーム「行っちゃったね!」
アリス「行っちゃったよ! 仕方ない。様子を見に行くか。」
案の定、挟み撃ちに遭って戦っていた。護衛の男もそこそこ強いが、相手は五人で両側から攻撃されては、いつまでも持たない。男が腕を斬りつけられて剣を落としたので、アリスは出て行くことにした。
アリス「ちょっとおじさんたち。弱い者いじめて何してるの?」
野盗「なんだ! 小娘が。引っ込んでろ!」
アリス「そんなこと言わないで混ぜてよ!」
野盗「うるさいなー。テメーから殺してやるよ。」
アリス「ノーム。ロックウォール。連発してね。」
岩の壁がアリスと野盗の間にできた。
ついでに少女と野盗の間にもでき、向こう側の野盗の逃げ道も塞がった。
アリス「ノーム。ロックニードル。」
野盗たちの足下から石のドリルが出て、野盗たちを殺さない程度に貫いた。野盗たちはみんな倒れた。
アリス「ノーム。元に戻して。」
岩の壁や石のドリルが消えた。
アリス「大丈夫ですか?」
女の子「私は大丈夫ですけど、彼が!」
男の腕が斬られて血が流れ出ていた。
アリス「エント。ハイヒール。」
男の腕が何事もなかったように治った。
男「ありがとうございます。」
女の子「ありがとうございます。助かりました。」
アリス「あのー。どこぞのお嬢様だと思いますけど、その姿は狙ってくださいって言っているようなものですよ。」
女の子「すみません。慌てて出て来てしまったので。」
アリス「護衛さんも大変ですね!」
護衛の男「急に姫が出て行かれたので、取る物もとりあえずフードコートだけ持って追って来ました。」
アリス「姫?」
女の子「私はルティアーナ王国の第二王女のシエスタと申します。」
アリス「ルティアーナ王国? ごめんなさい。聞いたことないかな?」
――トルネキア帝国・ルティアーナ王国周辺地域――
シエスタ王女「ここから船で北西に行った大陸にある小さな国です。隣の国のファスナー帝国が攻めて来て、ファスナー帝国軍だけなら、我が国の軍勢でも耐えられたのですけど、西の魔族がファスナー帝国軍に力を貸していて、魔族も攻撃して来たので、我が軍は後退して最終防衛戦で耐えている状態です。私は居ても立っても居られず、すぐに援軍を求めて飛び出してしまったのです。船でこちらまで来て、こちらの方には魔王を倒すくらい強い国があることを聞いて、是非援軍を頼みたくて参りました。
あなたはすごくお強いですけど、冒険者の方ですか?」
アリス「そうです。ミスリル級冒険者ですよ。」
シエスタ王女「すごいですね。それでは魔王を倒すくらい強い国はご存知ですか?」
アリス「もちろん知っていますよ。それについては、ご協力できると思いますよ。」
シエスタ王女「まあ。ご紹介いただけるということですね。」
アリス「いえいえ。魔王を倒した国から援軍を送らせるということです。」
シエスタ王女「ありがとうございます。でも本当にそんなことができるのですか?」
アリス「もちろんです。私はその国の者ですから。」
シエスタ王女「本当にありがとうございます。感謝いたします。それでは一刻も早くそちらのお国に向かいます。どちらに行けばよろしいでしょうか?」
アリス「いえいえ。このままルティアーナ王国に向かいます。我々が先遣隊として魔族を向かい撃ちます。後に本隊が合流する手筈をつけておきます。」
シエスタ王女「でも魔族の軍勢だけでも三万はいますけど。」
アリス「たった三万ですか。大丈夫です。私は仲間たちを集めますので、王女は出航の準備をお願いします。」
シエスタ王女「わかりました。すぐにルティアーナ王国まで向かう船をご用意します。ですが、百名を乗せるとなると少し準備に時間がかかりますけど、お待ちいただけますでしょうか?」
アリス「百名も乗らないよ。」
シエスタ王女「ですが、先程、三万の魔族を倒すために、先遣隊のお仲間をお集めになると仰ったので、百名ほどかと。すみません。もっと多いということですね。」
アリス「いやいや。あと二人です。合計三人ですよ。」
シエスタ王女「えーーーー! 三人で、三万の軍勢をお相手になるということですか?」
アリス「三人いれば楽勝ですから。」
シエスタ王女「ほんとうに大丈夫なのでしょうか?」
アリス「大丈夫です。ミスリル級冒険者は伊達ではありませんので。さあ! 急ぎましょう!
ノーム。アイツらを集めてきて!」
ノーム「オーケー。」
すぐにディネとサラが戻ってきた。
ディネ「まだ全部のお店を回っていないのに、なんで集合なのよ! まだぜんぜん化粧品を買えていないんだけどー。」
サラ「僕も美味しい果物を食べれていないよ。あと少しで美味しそうなマリネが食べれたのに!」
アリス「ノーム。みんなに説明して。」
ノームは今までの経緯を説明した。
ディネ「やだー! まだぜんぜんお店を回れていないのに!
それにしても、ほんと! あなたって、いつも大変なことに巻き込まれてしまうのね。」
サラ「美味しい物をもっと食べたかったなー。
帰りにもう一度ここに寄ってね! 絶対ね!」
アリス「わかった。絶対に帰りに寄るから。」
ディネ「帰りに寄るなら許す!」
アリス「いったい何を許してもらえたのか?
あっ。ミクリとフノンも帰ってきた。
ノーム、説明してね。」
ノームはミクリとフノンにも説明した。
似たような反応だった。それから三人は船着き場に向かった。船着き場に着くとシエスタ王女が出迎えた。
ミクリ「初めまして。シエスタ王女さま。ミクリと言います。魔剣士です。よろしくお願いします。」
フノン「初めまして。王女さま。フノンと言います。魔術師です。よろしくお願いします。」
シエスタ王女「みなさん! 初めまして! ルティアーナ王国の第二王女のシエスタです。みなさんにはとても感謝しています。三万の魔族を相手にするのは大変かと思いますが、是非よろしくお願いします。」
ミクリ「三万の魔族だったの? まだ聞いていなかったのですけど。三万の魔族ねえ。」
フノン「まあなんとかなるでしょ! アリス一人で。」
アリス「シエスタ王女! ファスナー帝国軍は何万位いますか?」
シエスタ王女「ファスナー帝国軍は二万位です。
我がルティアーナ王国軍も二万です。」
アリス「ファスナー帝国軍はあまり殺さないようにします。あとあと禍根を残さないようにね!
じゃあ。すぐに出発しよう!」
船が出発した。ルティアーナ王国まで二日間くらいである。その間、敵の陣営と味方の陣営の配置図を作って、シミュレーションをした。
こうしてルティアーナ王国に着いた。




