179 パブロフ正教国の聖女編 part3
<シエステーゼ王国>
アリスと聖女は、王宮の宴の間で、紅茶を飲みながら話をしていた。
聖女「今まで、世界のパワーバランスは、北の魔王の力と、南の魔王と東の魔王と西の魔王の力が拮抗して、バランスが取れていた。だが西の魔王の存在がなくなり、世界のパワーバランスが乱れたのだ。このままでは、北の魔王の力が強すぎて、いずれ世界は破滅に向かうだろう。」
アリス「ということは、北の魔王の力を分散して、西の魔王の存在を作り、世界のパワーバランスを戻せばいいわけですね。」
聖女「その通り。でも西の魔王は存在しないぞ。」
アリス「早急に新たに西の魔王を建てます。この件は任せていただけないでしょうか?」
聖女「できるならやってみよ。だが2日しか待てぬぞ。」
アリス「2日あれば十分です。」
聖女「よかろう。それにしても、このお菓子は美味しいのぉ。」
アリス「クッキーと言います。よろしければお持ちください。」
聖女「いいのか。それでは持って帰る。私は一度、パブロフ正教国に戻る。では頼むぞ。」
アリス「かしこまりました。」
聖女は輝く光に覆われて、消えていった。
アリスは国王の執務室に向かい、国王に事情を説明して、北の魔王領に戻った。
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<北の魔王城>
きらきらと輝く光の中から、アリスが現れた。
アリス「アルテミスはいるか?」
アルテミス「ここにいます。」
アリス「アルテミス。メリッサはどこに?」
アルテミス「来訪の間にいます。すぐに連れて参ります。」
メリッサ「アリス様。ご無沙汰しております。」
アリス「メリッサにお願いがあります。」
メリッサ「なんなりと。」
アリス「ちょっと待ってね。ディアブロ!今すぐ北の魔王城に戻るように。」
ディアブロがきらきらと輝きながら現れた。
アリス「ディアブロ。忙しいところすまない。」
ディアブロ「アリス様。なんでしょうか?」
アリス「ディアブロとメリッサは、すぐに西の魔王城に向かい、ディアブロを西の魔王に仕立て上げてよ。」
メリッサ「え??? 今なんと??」
アリス「だから。メリッサはディアブロを連れて、西の魔王城に向かい、ディアブロを西の魔王に仕立て上げて。ディアブロは今から西の魔王になること。南の魔王の相手は私がするから。」
メリッサ「え???」
ディアブロ「?」
アリス「わかんないかなぁ。 今後、ディアブロを西の魔王にする。わかった?」
メリッサ「かしこまりました。」
ディアブロ「承知しました。それではアリス様。東の魔王をよろしくお願いいたします。」
アリス「大丈夫だ。任せておけ。それではすぐに行け!」
ディアブロとメリッサは、きらきらと消えていった。
アリス「アルテミス。私は東の魔王領に向かうから。あとは頼む。」
アルテミス「かしこまりました。」
アリスもきらきらと消えていった。
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<東の魔王領>
東の魔王アヴォスヘイムの前に、アリスはきらきらと輝く光の中から現れた。
東の魔王アヴォスヘイム「久しぶりじゃのー。北の魔王。」
アリス「ご無沙汰しております。南の魔王は私にお任せください。」
東の魔王アヴォスヘイム「では、頼むことにしよう。」
アリス「瞬殺ですので。」
東の魔王アヴォスヘイム「うむ。」
東の魔王領の南の海には、南の魔王軍の5万隻の船が、空には、2万の巨大なグランドドラゴンがいた。
アリスは、オーディンの魔法「ヘブンズジャッジメント神雷」ですべての船とドラゴンを沈めた。
アリス「東の魔王様。これで南の魔王軍の脅威は無くなりました。それでは失礼いたします。」
アリスは、10万の北の魔王軍と、巨神獣のタイタン、オーディン、バハムートを連れて、北の魔王領に戻った。すぐに、アリスは南の魔王城前にワープした。
南の魔王城の前では、ちょうどゾーラが南の魔王軍壊滅の報告を受けていた。
ゾーラ「な、な、なんと。20万の南の魔王軍が壊滅しただと。」
アリスは南の魔王城前にきらきらと輝く光の中から現れた。
ゾーラ「お前は。北の魔王。」
アリス「私は北の魔王である。ゾーラ。南の魔王に、おとなしくしておくように伝えておけ。」
というと、アリスはきらきらと輝く光の中に消えていった。
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<西の魔王城>
西の魔王城の前に、きらきらと輝く光の中からアリスが現れた。
西の魔王城の謁見の間に入り、ディアブロとメリッサに会った。
アリス「東の魔王は無事だ。南の魔王軍は片づけておいた。」
ディアブロ「アリス様。ありがとうございました。」
アリス「新しい西の魔王の誕生は進んでいるか?」
メリッサ「はい。インビジブルナイトがお膳立てを整えております。」
アリス「明日には新しい西の魔王を誕生されるように。」
ディアブロ「御意。」
アリス「やっと一段落ね。一旦、シエステーゼ王国に戻りますか。」
アリスはきらきらと輝く光の中に消えていった。
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<シエステーゼ王国>
アリスは、シエステーゼ王国で支援物資の手伝いをしていた。
アリス「ふぅ。支援物資もこれで一段落ね。疲れた。宮殿でお茶でもしようと。」
アリスが宮殿の庭でお茶をしていると、突然、聖女が現れた。
アリスはすぐに身構えて、対決姿勢をとった。
アリス「聖女様。リベンジマッチですか?」
聖女「何を言っておる。さあ、座りなさい。」
聖女も椅子に座って、テーブルの上を見て言った。
聖女「私にもお茶を。それから、クッキーはないの?」
アリス「えっ?! クッキー?! すぐに準備させます。」
アリスはメイドにお茶とクッキーを準備させて、聖女と魔王のお茶会が始まった。
聖女「これじゃ、これ。クッキーは美味しいの。」
アリス「この度は、聖女様はクッキーを食べにいらしたのですか?」
聖女「いやー。このクッキーの味が忘れられないので、居ても立っても居られずに来てしもうた。」
アリスはあきれながら、お茶会は進んだ。
アリス「ところで聖女様。聖女様が魔王と一緒にお茶をしていていいのですか?」
聖女「お主は、シエステーゼ王国の王女であろう。聖女が王女とお茶をして何が悪い。」
アリス「聖女様はお忙しいのではないのですか?」
聖女「毎日、退屈で、退屈で、死にそうじゃった。うむ。このクッキーは他と違ってまた美味じゃのう。」
アリス「それはチョコクッキーです。」
聖女「なんと。チョコとクッキーの組み合わせじゃの。うむ。美味じゃ。
美味しかった。ではまた来るからのぉ。」
アリス「えっ。また、来るの?」
聖女「うむ。あっ。それから、言い忘れておったが、今回のパワーバランスの維持に努めてくれて、大儀であった。ではまた。」
聖女は光のローブに包まれて、きらきらと消えていった。
アリス「はぁ。なんなんだ。先が思いやられるよぉ。
私も南の島でバカンスしよっと。」