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176 西の魔王編 part7

運命の激突!アリスvsギエル、世界を震わせる決戦が始まった。

漆黒の大地。

割れた空。

燃える海。


すべてが、この二人のために存在するかのように、世界そのものが舞台になった。



ギエルは、静かに宙に浮かぶ。

その背には、虚無を纏った十三本の剣――《虚無剣群ヴォイドセイバー》。


一振りごとに、大地が崩れ、空間がひずむ。

それはもはや、兵器ではない。"存在そのものの否定"だった。


対するアリス。

彼女は、聖剣を両手に握り、静かに目を閉じる。


アリス「――精霊たちよ。」


心の奥で、呼びかける。

すると、ディネ、サラ、ノーム、それぞれの力がアリスの聖剣に宿り始めた。


聖剣から、蒼き焔、水の輝き、大地の加護が同時に溢れ出す!


アリス「精霊魔装解放エレメンタル・アウェイク!!」


アリスの身体が、精霊たちの力と一体化し、神々しい光を放つ!



そして――


アリス「行くぞ、ギエル!!!」


ギエル「来い、北の魔王!!」


二人は、同時に飛び出した!



ギエルの《虚無剣》が、アリスに殺到する!


一振り一振りが世界を抉る破壊力。

しかしアリスは、精霊の加護でそのすべてを弾き、かわし、すれ違いざまに剣を振るう!


ギエルも剣で受け止めるが、衝撃で空間に裂け目が走った!


ズガァァンッ!!!


周囲の兵士たちが吹き飛ばされ、戦場そのものが沈黙する。



アリス「ハァッ!!」


アリスが聖剣を振り抜くと、

巨大な光の刃がギエルを包む。


しかし――


ギエル「無駄だ。」


ギエルは指を鳴らすだけで、虚無の盾を生み出し、光刃を消し去った。


アリス「……っ!」


アリスが歯を食いしばる。


ギエル「貴様では、俺を止められない。」


ギエルの身体から、さらに禍々しい魔力が噴き出す。

それは、彼の存在そのものを異次元へと進化させる魔力だった。



ギエル、さらなる覚醒。


彼の周囲に、十三本の《虚無剣》だけでなく、

**"零域ゼロ・フィールド"**という絶対支配空間が広がっていく!


そこでは、あらゆる魔法が無効化され、

物理法則すらギエルの意思によって支配される!


ギエル「ここでは、俺が"神"だ。」


冷たく言い放つギエル。


アリスの呼吸が重くなる。

ディネ、サラ、ノームたちも、空気の重さに息を呑む。


しかし――


アリスは、一歩も引かなかった。


アリス「だからこそ……私が、"光"になる。」


アリスは、心の底から力を呼び起こす。


アリス「精霊たちよ――もっと力を貸して!」


その声に応え、ディネ、サラ、ノームが絶叫する!



ディネ「アリス、絶対に負けないで!!」


サラ「全部燃やし尽くしな!!」


ノーム「私たちは、アリスを信じます!!」


精霊たちの魂が、アリスに重なる。


聖剣がさらに輝き、

その輝きは、ギエルの"零域"すら貫き始める!



アリスは、全ての力を込めて、剣を構えた。


そして――


アリス「――精霊聖剣奥義。」


剣を振り上げると、

空から降り注ぐ星々すら呼応する。


アリス「ラグナ・エレメンタル・ブレイク!!」


全ての元素の力を束ねた究極の一閃が、ギエルを襲う!!


ギエルも全虚無剣を操り、迎え撃つ――!!



空間が砕け、

時間すら歪み、

世界が、二人の戦いを中心に震え上がった――!



天地を引き裂く閃光と轟音――

アリスの《ラグナ・エレメンタル・ブレイク》と、

ギエルの虚無剣群による絶対防衛が、真っ向からぶつかった。


刹那、戦場は"白"と"黒"、ふたつの色だけに染まった。


兵士たちは、ただその光景を呆然と見上げるしかなかった。

そこにはもはや、人の領域を超えた"神々の闘争"があったからだ。



ギエル「……チッ」


ギエルの顔に、初めて焦りが浮かぶ。

虚無剣の結界を、アリスの剣閃が、確実に削り取っている。


ギエル(バカな……俺の力が、押されている……!?)


ギエルの脳裏に、初めて"敗北"の二文字がよぎった。


だが、ギエルは笑った。


ギエル「ならば――"これ"も、見せてやろう。」


彼の身体から、異様な黒い光が爆発する!



ギエル、真の奥義解放――


黒翼王コクヨクオウ・ギエル》


ギエルの背中から、巨大な黒い翼が三対、羽ばたく。

その一振りで、大地が陥没し、天空が裂ける。


ギエルは、"世界そのものを塗り替える存在"へと至ったのだ。



ディネ「アリス!!こいつは、次元が違うわ!!」


だがアリスは、微笑んでいた。


アリス「大丈夫。……みんなの力があるから。」


彼女は、聖剣をぎゅっと握りしめた。


アリス「私たちの未来は、渡さない!」


そして、最後の決意と共に――

アリスは聖剣を、両手で高々と掲げる!



アリス「――全精霊たちよ!!」


叫ぶアリスに応えて、

ディネ、サラ、ノーム、さらには遠くにいるすべての小さな精霊たちが力を貸した!


大地が光り、水が歌い、火が舞い、風が駆ける。

自然界そのものが、アリスに祝福を与えた。



アリス「最終奥義――!」


聖剣が、宇宙すら震わせる光を放つ。


「エターナル・エレメンタル・インフィニティ!!!」


無限の精霊の力を束ねた一閃が、ギエルへと放たれる!!


ギエルもまた、黒翼を広げ、闇そのものを凝縮した刃を繰り出す!


ギエル「来い、アリス!!ここで、貴様を超える!!!」


二つの究極の力が、真正面から激突する――!!



轟音。

閃光。

崩壊する世界。


だがその中で――


アリスの剣が、ギエルの闇を切り裂いた。


ギエルの胸を、光が貫く――!


ギエル「が、ぁっ……!!」


ギエルの身体から、黒い魔力が噴き出し、霧散していく。


彼は、倒れなかった。

それでも、膝をついた。


ギエル「……認めるしか、ない……」


ギエルは、悔しそうに、しかしどこか満足したように呟いた。


ギエル「貴様は……俺を超えていた……」


そして、ギエルは静かに笑いながら、意識を失い、崩れ落ちた。



勝った。


アリスたちの勝利だった。



疲労困憊のアリスに、ディネたち精霊が駆け寄る。


ディネ「アリス!よくやったよ!!」


サラが泣きながら飛びつき、

ディネがそっとアリスの頬を撫で、

ノームは静かに、誇らしげに微笑んだ。


アリスも微笑み返す。


アリス「……はぁ、やっと終わったね。」



だが、その空を、どこか遠くから見つめる影の存在があった。

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