172 西の魔王編 part3
第四天王:焔刃ガロウ
そして、ギエルの最後の四天王、ガロウが誕生した。
彼は、炎の力と破壊的な剣技を持ち、常にその体を燃え盛る黒炎で包んでいた。
ギエルはガロウに、絶対の破壊力を与えることで、彼を完全な戦士へと変貌させた。
ガロウの炎は、ただの火ではない。
それは、永遠に燃え続ける破壊の炎であり、一切を焼き尽くす力を持っていた。
彼が放つ剣の一振りが、大地を裂き、山をも焼き尽くすほどの力を誇る。
ガロウ「燃え尽きろ。すべてを焼き尽くして、私は新たな世界を築く。」
ガロウの言葉は、周囲の空気すらも焦がすような熱を放った。
その炎は、ギエルの支配の象徴であり、最も恐るべき破壊力を持つ力であった。
ギエルの誓い:世界を覆す破壊者
四天王が揃った時、ギエルはその力を見つめ、深く息を吸い込む。
ギエル「今、私は世界を覆す破壊者となった。」
その言葉には、ただの決意ではなく、運命を操る力がこもっていた。
ギエル「この世界は、もう一度始まり直すべきだ。
私が創り出す世界には、恐れや不安は必要ない。
ただ、無限の力を持つ者たちだけが支配する世界を作るのだ。」
ギエルは四天王たちに目を向け、冷徹に命じる。
ギエル「全てを焼き尽くせ。全てを支配せよ。世界を私の手に――」
その一言で、四天王たちは動き出す。
新たな世界の支配が、今ここから始まる。
四天王の力が広がり、世界がその渦に巻き込まれていく。
ギエルの野望は、もはや止められないものとなった。
ギエルが世界を覆す破壊者としての第一歩を踏み出した瞬間、
全てが動き始めた――。
◆
ギエルの四天王による侵略、世界の破壊が始まった。
第一天王:獣王アマリスの侵略
アマリスは、世界の北端――ラッセン王国の地に足を踏み入れた。
彼女の足元には、数千、数万の魔獣が従っていた。
ラッセン王国は、アマリスの出現により、その壮麗な城はあっという間に崩れ去った。
アマリス「獣たちよ、全てを飲み込め。人間たちは今こそ、その無力さを知るがいい。」
アマリスは冷たく呟くと、その背後で魔獣たちが一斉に吠えた。
猛獣たちの牙が鋭く光り、巨狼や、翼を持つ獣、火を吹くドラゴンたちが一斉に町を襲い始める。
城はあっという間に壊滅し、王国の民たちは恐怖に駆られて逃げ惑った。
アマリスはその様子を楽しむように見つめながら、手を掲げた。
その瞬間、魔獣たちが空を覆い尽くし、ラッセン王国の大地が血に染まった。
王国の残党を追い詰め、アマリスはその全てを支配下に置いた。
アマリス「これで、北の王国も我が手に。次は南へ進軍だ。」
アマリスは冷徹な表情で次なる侵略を見据えた。
第二天王:凍影リヴェルの侵略
次に、リヴェルはイングラシル共和国を侵略した。
その国はもともと魔道兵器が守護している、極寒の地に築かれた強固な国だったが、リヴェルの力には抗う術がなかった。
リヴェルが到着した瞬間、空が急速に冷え込み、氷嵐が吹き荒れ始めた。
その冷気は瞬く間に城壁を凍らせ、氷の壁が厚くなり、共和国全体を閉じ込めていく。
共和国の衛兵たちが必死に防戦するが、リヴェルの冷徹な魔法の前では、その防御は無意味だった。
リヴェル「この冷気の中では、誰も逃げられぬ。すべてを凍りつかせ、私の支配を受け入れよ。」
リヴェルの手が一振りで、無数の氷の槍が空から降り注ぎ、王宮を貫く。
その槍が刺さった瞬間、共和国全体が氷に覆われ、国王たちも凍りついた。
共和国の民たちは、凍結した大地に足を取られ、もはや抵抗する術もなく、リヴェルに屈服した。
リヴェル「北の王国が滅ぼされた。今度は西の大国を狙うべきだな。」
リヴェルは冷徹に次の侵略先を決定し、周囲の氷を操りながらその地を後にした。
第三天王:虚夢ピエトロの侵略
ピエトロは、パルキニア共和国――その壮麗な文化と繁栄を誇る国に足を踏み入れた。
パルキニア共和国は、精神的な支配を重視する民が住む国で、幻想や夢に関連する魔法が非常に発展していた。しかし、ピエトロの能力にはそれを遥かに上回る力があった。
ピエトロは静かに、国の都に現れる。
その顔に浮かんだのは、嘲笑と不安を意味する微笑み。
ピエトロ「幻想と現実、どちらが勝つかを試そうではないか。」
そう呟くと、彼の周囲に現れたのは無数の幻想の怪物たち。
それらの怪物たちは、実体を持たず、パルキニア共和国の民の心に深く入り込み、恐怖の幻覚を見せ始めた。
ピエトロ「逃げられぬ。これが私の現実だ。」
ピエトロがそう言った瞬間、パルキニア共和国の民たちは次々と幻覚に捕まり、実際にその心が崩れ落ちていった。
王宮では、王族たちが次々と恐ろしい幻覚を見て、次第に精神を崩壊させていく。
ピエトロはその様子を楽しむように見守りながら、パルキニア共和国の支配権を手に入れた。
ピエトロ「夢の中では、全てが支配されるのだ。次は西の大国を――」
ピエトロは、今やパルキニア共和国の支配者となり、次なるターゲットを定めた。
第四天王:焔刃ガロウの侵略
最後に、ガロウは燃え上がる黒炎とともに、エルムガント帝国に現れた。
エルムガントは大陸の中でも最も栄華を誇る帝国で、戦士の国として名を馳せていた。
しかし、ガロウの炎はその強さを遥かに上回っていた。
ガロウ「焰の中に、全てを飲み込め!」
ガロウの一声で、帝国の首都は黒い炎に包まれた。
その炎は通常の火ではない。
その炎は、燃え続けることなく、焼き尽くすことのみを目的とした、破壊的な力を持っていた。
エルムガントの防衛軍は、いくら戦士が集まろうと、その炎の前では無力だった。
ガロウの炎が広がるたびに、街の建物が爆発し、兵士たちは次々と焼け焦げて倒れた。
ガロウ「燃え尽きろ。すべてを焼き尽くして、私は新たな世界を築く。」
ガロウの手から放たれる火の力が大地を割り、火山のような火柱が立ち上がった。
その火柱は、数日間も燃え続け、最終的にエルムガント帝国を灰燼に帰した。
ガロウ「帝国も滅びた。次はどこだ、ギエル?」
ガロウはその熱く燃える瞳でギエルに問いかけた。
ギエルの四天王が次々と各地を侵略し、その圧倒的な力で世界は暗黒に包まれた。
北のラッセン王国、イングラシル共和国、パルキニア共和国、エルムガント帝国が次々と陥落。
その全てが、ギエルの新たな支配領域となった。
そして、その力が広がるにつれて、他の大国も不安に包まれ、絶望的な状況が広がり始める。
アリスたちが修行に出ている間、世界はまさに崩壊の危機を迎えつつあった。
◆
その頃――。
アリスたちは、海沿いの小さな神殿に身を寄せていた。
アルテミスが集めた情報が示していた。
ギエルの四天王が動き出すのは、わずか1週間後。
アリス「今の私たちでは……正直、勝てないかもしれない。」
ディネ「魔力だけでは勝負にならないね。戦い方そのものを変えなきゃ。」
サラ「速攻で、超絶パワーアップするしかないってことね!」
ノーム「精霊たちの力をより深く引き出す秘儀……それに、失われた『古代精霊王』の伝承も手がかりになるはずです。」
そこで、アリスたちは「修行の旅」に出ることを決意する。
行き先は、それぞれの伝説に語られる地へ――
世界樹の泉で、精霊との絆を極める試練を受けるディネ
灼熱の火山で、内なる火を解き放つ秘技を得るサラ
地の底の神殿で、大地の知恵と力を融合させる奥義を会得するノーム
そしてアリスは、古代の聖剣遺跡で、**「真なる聖剣覚醒」**を目指す。
それぞれが、己の弱さと向き合い、限界を超えるための修行。
世界の運命を賭けた、孤独な戦いの始まりだった。
アリス「みんなで。」
アリスは、聖剣を強く握りしめ、夜明けの光に誓った。
世界は滅びの鐘を鳴らしながら、静かに待っている。
だが、希望はまだ消えていない。
希望は、たった一人でも、諦めない者の手に宿るからだ。
そして――
それぞれ別れ、修行の地へ旅立った。
◆
アリスは、封印された聖剣の遺跡へ向かっていた。
静寂と霧に包まれた山脈の奥地――。
そこに、人々から長らく「禁忌」とされてきた古代遺跡があった。
《聖剣の廟》。
この地には、かつて世界を救ったという初代の聖剣士たちの剣が、
無数に眠っているという。
だが、それに触れる資格を持たない者は、
精神を引き裂かれ、命を失うと言われていた。
アリス「さあ、行くよ。」
彼女は、たった一人で、廟の巨大な石門を押し開けた。
……ギギギギギ。
中に入った瞬間。
空気が変わった。
世界から色が失われたかのような感覚。
音も、匂いも、温度さえも――すべてが薄れた。
そして。
無数の剣の亡霊たち「よく来たな……"後継者"よ。」
深淵の中から、響く声。
次の瞬間、無数の剣の亡霊たちが、アリスを取り囲んだ。
黄金の鎧を纏う者、
漆黒のローブを羽織る者、
銀の翼を持つ者。
彼らはみなかつて、聖剣を振るった伝説の戦士たちだった。
だが今は、意志なき存在――
ただ、試練を与えるためだけに、存在している。
無数の剣の亡霊たち「我らに勝て。さもなくば、ここで骨となれ。」
刹那。
剣の亡霊たちが一斉に、アリスへと襲いかかった。
◆
アリスは聖剣を振るった。
だが、すぐに悟る。
――力が足りない。
――今までの戦い方では通用しない。
アリス「なら……!」
アリスは心の底から、呼びかけた。
ディネ、サラ、ノーム――
今はそばにいない仲間たちの精霊の力。
それでも、彼女の中には確かに、
あの絆が、刻まれていた。
彼女は聖剣に、
ただの力ではない、
**"祈り"**を込めた。
アリス「みんなを守りたい。絶対に……負けない。」
その刹那。
聖剣ルミナス・ブレイバーが、眩い光を放った。
それは剣というよりも、命そのものの輝きだった。
――ゴオオオオッッ!!!
アリスは、飛びかかる剣の亡霊たちを、一閃でなぎ払った。
だがそれでも、数は減らない。
いや、むしろ彼らの本気が、ここから始まったのだった。
亡霊たち「これより、真なる試練を課す。」
亡霊たちは、かつての「聖剣奥義」を次々と放ってきた。
斬撃、突き、風刃、雷撃――
世界そのものを切り裂かんとする技の嵐。
アリスは、何度も何度も、地に膝をつき、
血を流しながら、剣を振るい続けた。
そのたびに、彼女の剣筋は、
少しずつ、少しずつ、研ぎ澄まされていった。
肉体は限界を超え、
精神も削られ、
魂だけで戦う境地へと至ったその瞬間――
アリスの胸に、確かな「声」が届いた。
《汝、真なる勇気を示した》
《汝に、封印されし力を授けよう》
聖剣ルミナス・ブレイバーが、形を変え始めた。
刀身が伸び、透き通るような光を宿し、
黄金と蒼のオーラを纏った。
新たな名――
《ルミナス・ブレイバー・エクシード》
聖剣の真なる姿。
精霊たちとの絆を宿す、世界にただ一振りの剣。
アリスは、それを手に取った。
立ち上がる。
傷だらけの体でも、
滅びかけた世界でも、
彼女の瞳だけは、絶対に折れなかった。
アリス「ギエル――待ってな。」