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172 西の魔王編 part3


第四天王:焔刃ガロウ

そして、ギエルの最後の四天王、ガロウが誕生した。

彼は、炎の力と破壊的な剣技を持ち、常にその体を燃え盛る黒炎で包んでいた。

ギエルはガロウに、絶対の破壊力を与えることで、彼を完全な戦士へと変貌させた。


ガロウの炎は、ただの火ではない。

それは、永遠に燃え続ける破壊の炎であり、一切を焼き尽くす力を持っていた。

彼が放つ剣の一振りが、大地を裂き、山をも焼き尽くすほどの力を誇る。


ガロウ「燃え尽きろ。すべてを焼き尽くして、私は新たな世界を築く。」


ガロウの言葉は、周囲の空気すらも焦がすような熱を放った。

その炎は、ギエルの支配の象徴であり、最も恐るべき破壊力を持つ力であった。


ギエルの誓い:世界を覆す破壊者

四天王が揃った時、ギエルはその力を見つめ、深く息を吸い込む。


ギエル「今、私は世界を覆す破壊者となった。」


その言葉には、ただの決意ではなく、運命を操る力がこもっていた。


ギエル「この世界は、もう一度始まり直すべきだ。

私が創り出す世界には、恐れや不安は必要ない。

ただ、無限の力を持つ者たちだけが支配する世界を作るのだ。」


ギエルは四天王たちに目を向け、冷徹に命じる。


ギエル「全てを焼き尽くせ。全てを支配せよ。世界を私の手に――」


その一言で、四天王たちは動き出す。

新たな世界の支配が、今ここから始まる。


四天王の力が広がり、世界がその渦に巻き込まれていく。

ギエルの野望は、もはや止められないものとなった。


ギエルが世界を覆す破壊者としての第一歩を踏み出した瞬間、

全てが動き始めた――。



ギエルの四天王による侵略、世界の破壊が始まった。


第一天王:獣王アマリスの侵略

アマリスは、世界の北端――ラッセン王国の地に足を踏み入れた。

彼女の足元には、数千、数万の魔獣が従っていた。

ラッセン王国は、アマリスの出現により、その壮麗な城はあっという間に崩れ去った。


アマリス「獣たちよ、全てを飲み込め。人間たちは今こそ、その無力さを知るがいい。」


アマリスは冷たく呟くと、その背後で魔獣たちが一斉に吠えた。

猛獣たちの牙が鋭く光り、巨狼や、翼を持つ獣、火を吹くドラゴンたちが一斉に町を襲い始める。

城はあっという間に壊滅し、王国の民たちは恐怖に駆られて逃げ惑った。


アマリスはその様子を楽しむように見つめながら、手を掲げた。

その瞬間、魔獣たちが空を覆い尽くし、ラッセン王国の大地が血に染まった。

王国の残党を追い詰め、アマリスはその全てを支配下に置いた。


アマリス「これで、北の王国も我が手に。次は南へ進軍だ。」


アマリスは冷徹な表情で次なる侵略を見据えた。


第二天王:凍影リヴェルの侵略

次に、リヴェルはイングラシル共和国を侵略した。

その国はもともと魔道兵器が守護している、極寒の地に築かれた強固な国だったが、リヴェルの力には抗う術がなかった。


リヴェルが到着した瞬間、空が急速に冷え込み、氷嵐が吹き荒れ始めた。

その冷気は瞬く間に城壁を凍らせ、氷の壁が厚くなり、共和国全体を閉じ込めていく。

共和国の衛兵たちが必死に防戦するが、リヴェルの冷徹な魔法の前では、その防御は無意味だった。


リヴェル「この冷気の中では、誰も逃げられぬ。すべてを凍りつかせ、私の支配を受け入れよ。」


リヴェルの手が一振りで、無数の氷の槍が空から降り注ぎ、王宮を貫く。

その槍が刺さった瞬間、共和国全体が氷に覆われ、国王たちも凍りついた。


共和国の民たちは、凍結した大地に足を取られ、もはや抵抗する術もなく、リヴェルに屈服した。


リヴェル「北の王国が滅ぼされた。今度は西の大国を狙うべきだな。」


リヴェルは冷徹に次の侵略先を決定し、周囲の氷を操りながらその地を後にした。


第三天王:虚夢ピエトロの侵略

ピエトロは、パルキニア共和国――その壮麗な文化と繁栄を誇る国に足を踏み入れた。

パルキニア共和国は、精神的な支配を重視する民が住む国で、幻想や夢に関連する魔法が非常に発展していた。しかし、ピエトロの能力にはそれを遥かに上回る力があった。


ピエトロは静かに、国の都に現れる。

その顔に浮かんだのは、嘲笑と不安を意味する微笑み。


ピエトロ「幻想と現実、どちらが勝つかを試そうではないか。」


そう呟くと、彼の周囲に現れたのは無数の幻想の怪物たち。

それらの怪物たちは、実体を持たず、パルキニア共和国の民の心に深く入り込み、恐怖の幻覚を見せ始めた。


ピエトロ「逃げられぬ。これが私の現実だ。」


ピエトロがそう言った瞬間、パルキニア共和国の民たちは次々と幻覚に捕まり、実際にその心が崩れ落ちていった。

王宮では、王族たちが次々と恐ろしい幻覚を見て、次第に精神を崩壊させていく。

ピエトロはその様子を楽しむように見守りながら、パルキニア共和国の支配権を手に入れた。


ピエトロ「夢の中では、全てが支配されるのだ。次は西の大国を――」


ピエトロは、今やパルキニア共和国の支配者となり、次なるターゲットを定めた。


第四天王:焔刃ガロウの侵略

最後に、ガロウは燃え上がる黒炎とともに、エルムガント帝国に現れた。

エルムガントは大陸の中でも最も栄華を誇る帝国で、戦士の国として名を馳せていた。

しかし、ガロウの炎はその強さを遥かに上回っていた。


ガロウ「焰の中に、全てを飲み込め!」


ガロウの一声で、帝国の首都は黒い炎に包まれた。

その炎は通常の火ではない。

その炎は、燃え続けることなく、焼き尽くすことのみを目的とした、破壊的な力を持っていた。


エルムガントの防衛軍は、いくら戦士が集まろうと、その炎の前では無力だった。

ガロウの炎が広がるたびに、街の建物が爆発し、兵士たちは次々と焼け焦げて倒れた。


ガロウ「燃え尽きろ。すべてを焼き尽くして、私は新たな世界を築く。」


ガロウの手から放たれる火の力が大地を割り、火山のような火柱が立ち上がった。

その火柱は、数日間も燃え続け、最終的にエルムガント帝国を灰燼に帰した。


ガロウ「帝国も滅びた。次はどこだ、ギエル?」


ガロウはその熱く燃える瞳でギエルに問いかけた。


ギエルの四天王が次々と各地を侵略し、その圧倒的な力で世界は暗黒に包まれた。

北のラッセン王国、イングラシル共和国、パルキニア共和国、エルムガント帝国が次々と陥落。

その全てが、ギエルの新たな支配領域となった。

そして、その力が広がるにつれて、他の大国も不安に包まれ、絶望的な状況が広がり始める。


アリスたちが修行に出ている間、世界はまさに崩壊の危機を迎えつつあった。



その頃――。


アリスたちは、海沿いの小さな神殿に身を寄せていた。

アルテミスが集めた情報が示していた。

ギエルの四天王が動き出すのは、わずか1週間後。


アリス「今の私たちでは……正直、勝てないかもしれない。」


ディネ「魔力だけでは勝負にならないね。戦い方そのものを変えなきゃ。」


サラ「速攻で、超絶パワーアップするしかないってことね!」


ノーム「精霊たちの力をより深く引き出す秘儀……それに、失われた『古代精霊王』の伝承も手がかりになるはずです。」


そこで、アリスたちは「修行の旅」に出ることを決意する。


行き先は、それぞれの伝説に語られる地へ――


世界樹の泉で、精霊との絆を極める試練を受けるディネ


灼熱の火山で、内なる火を解き放つ秘技を得るサラ


地の底の神殿で、大地の知恵と力を融合させる奥義を会得するノーム


そしてアリスは、古代の聖剣遺跡で、**「真なる聖剣覚醒」**を目指す。


それぞれが、己の弱さと向き合い、限界を超えるための修行。

世界の運命を賭けた、孤独な戦いの始まりだった。


アリス「みんなで。」


アリスは、聖剣を強く握りしめ、夜明けの光に誓った。


世界は滅びの鐘を鳴らしながら、静かに待っている。

だが、希望はまだ消えていない。


希望は、たった一人でも、諦めない者の手に宿るからだ。


そして――

それぞれ別れ、修行の地へ旅立った。



アリスは、封印された聖剣の遺跡へ向かっていた。


静寂と霧に包まれた山脈の奥地――。


そこに、人々から長らく「禁忌」とされてきた古代遺跡があった。

《聖剣のびょう》。


この地には、かつて世界を救ったという初代の聖剣士たちの剣が、

無数に眠っているという。

だが、それに触れる資格を持たない者は、

精神を引き裂かれ、命を失うと言われていた。


アリス「さあ、行くよ。」


彼女は、たった一人で、廟の巨大な石門を押し開けた。


……ギギギギギ。


中に入った瞬間。

空気が変わった。


世界から色が失われたかのような感覚。

音も、匂いも、温度さえも――すべてが薄れた。


そして。


無数の剣の亡霊たち「よく来たな……"後継者"よ。」


深淵の中から、響く声。

次の瞬間、無数の剣の亡霊たちが、アリスを取り囲んだ。


黄金の鎧を纏う者、

漆黒のローブを羽織る者、

銀の翼を持つ者。


彼らはみなかつて、聖剣を振るった伝説の戦士たちだった。

だが今は、意志なき存在――

ただ、試練を与えるためだけに、存在している。


無数の剣の亡霊たち「我らに勝て。さもなくば、ここで骨となれ。」


刹那。


剣の亡霊たちが一斉に、アリスへと襲いかかった。



アリスは聖剣を振るった。

だが、すぐに悟る。


――力が足りない。

――今までの戦い方では通用しない。


アリス「なら……!」


アリスは心の底から、呼びかけた。

ディネ、サラ、ノーム――

今はそばにいない仲間たちの精霊の力。

それでも、彼女の中には確かに、

あの絆が、刻まれていた。


彼女は聖剣に、

ただの力ではない、

**"祈り"**を込めた。


アリス「みんなを守りたい。絶対に……負けない。」


その刹那。


聖剣ルミナス・ブレイバーが、眩い光を放った。

それは剣というよりも、命そのものの輝きだった。


――ゴオオオオッッ!!!


アリスは、飛びかかる剣の亡霊たちを、一閃でなぎ払った。

だがそれでも、数は減らない。


いや、むしろ彼らの本気が、ここから始まったのだった。


亡霊たち「これより、真なる試練を課す。」


亡霊たちは、かつての「聖剣奥義」を次々と放ってきた。

斬撃、突き、風刃、雷撃――

世界そのものを切り裂かんとする技の嵐。


アリスは、何度も何度も、地に膝をつき、

血を流しながら、剣を振るい続けた。


そのたびに、彼女の剣筋は、

少しずつ、少しずつ、研ぎ澄まされていった。


肉体は限界を超え、

精神も削られ、

魂だけで戦う境地へと至ったその瞬間――


アリスの胸に、確かな「声」が届いた。


《汝、真なる勇気を示した》


《汝に、封印されし力を授けよう》


聖剣ルミナス・ブレイバーが、形を変え始めた。

刀身が伸び、透き通るような光を宿し、

黄金と蒼のオーラを纏った。


新たな名――

《ルミナス・ブレイバー・エクシード》


聖剣の真なる姿。

精霊たちとの絆を宿す、世界にただ一振りの剣。


アリスは、それを手に取った。


立ち上がる。


傷だらけの体でも、

滅びかけた世界でも、

彼女の瞳だけは、絶対に折れなかった。


アリス「ギエル――待ってな。」


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