表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

167/189

167 サドバイン王国編 part8


出口が見えてきた瞬間、虚無のエネルギーが暴発し、巨大な影が再び現れた。


それはアズラフェノックスの残りかすが形を保とうとしたものだった。


アズラフェノックス「私を滅ぼしたと思うな、人間ども!最後の力で貴様らを道連れにしてやる!」


影の咆哮が神殿を揺るがした。


その姿は明らかに不安定で、半ば崩壊していたが、その力はなおも凄まじかった。


虚無のエネルギーが暴れ回り、周囲の空間を裂いていく。


アリス「なんでこうなるの!」


アリスは最後の力を振り絞って突進した。


ディネが水の壁を作り、虚無のエネルギーを一時的に封じ込める。


サラは全力で炎を放出した。


ノームが地の力で足場を安定させ、アリスが一直線に影に向かって駆け出した。


聖剣が光を強め、アリスの全ての力を吸い上げるように輝いた。


アリス「本当のトドメだ、フェノックス!」


アリスの一撃が虚無の影を真っ二つに切り裂いた。


その瞬間、影は断末魔の叫びを上げ、完全に消滅した。


崩壊の速度がさらに速まり、光の柱が神殿全体を飲み込む寸前、アリスは最後の力で外に飛び出した。


背後で巨大な爆発音が轟き、神殿が完全に崩れ去ると共に、虚無のエネルギーも消えていった。


突然、アリスの聖剣が再び輝き始めた。


その光は空へと伸び、夜空に浮かぶ星の一つを指し示した。


それは、次なる冒険の始まりを告げるものであった。


アリス「これは……?」


アリスが剣を見つめると、剣が静かに彼女の心に語りかけてきた。


聖剣「この世界には、まだ影が潜んでいる。その脅威を取り除く使命が、お前にはある。」


アリス「大丈夫!理解しています。」


こうしてアリスたちは新たな目的地に向かって旅を再開した。


アリスの聖剣は微かに震え続けていた。


それは、彼女に新たな危機が迫っていることを警告するかのようだった。


剣が指し示したのは、サドバイン王国の東部にそびえる巨大な断崖。


その奥深くに「虚無の核」の最後の残骸が封印されているという古い伝説があった。


アリスが向かったのは、サドバイン王国東部にそびえる「アグニス断崖」。


そこは千年の時を越えて虚無の核の残骸が封印された場所であり、影の操り手と呼ばれる謎の存在がその力を狙って暗躍していた。


断崖の麓にたどり着くと、霧のような闇が地面を這い回り、不気味な空気が漂っていた。


周囲の木々は朽ち果て、まるで生命そのものが吸い取られているようだった。


ディネが眉をひそめながら周囲を見回す。


ディネ「ここはまさに虚無の力が染みついているわね。油断しないで。」


アリス「わかった。」


断崖を登り、古びた祭壇にたどり着くと、その中央にはひび割れた黒水晶のようなものが浮かんでいた。


それこそが虚無の核の残骸だった。


そしてその前に立ちはだかるのは、漆黒のローブに身を包み、異様な存在感を放つ男――影の操り手と呼ばれる人物だった。


男「お前たちがここまで来るとは思わなかったが、遅すぎたな。」


その声は男とも女ともつかず、耳元で囁くような不快な響きを持っていた。


影の操り手は虚無の核から溢れる力を操り、闇の触手を生み出して攻撃を仕掛けてきた。


触手は鋭い刃のように空間を切り裂き、地面を抉る。


アリスは防御と攻撃の間で激しく立ち回る。


アリス「この闇を終わらせるには、もっと強い光が欲しい。」


アリスは決意を胸に、聖剣を掲げた。


その瞬間、剣は眩い光を放ち、新たな力が宿る感覚がアリスを包んだ。


ディネ「その剣…精霊の力を引き出している!今なら虚無の核すら浄化できるかもしれないわ!」


アリスは精霊たちの力を借り、聖剣で光の奔流を放った。


その光は影の操り手を貫き、虚無の核を覆う闇を焼き尽くしていく。


しかし影の操り手は簡単に屈しなかった。


影の操り手「愚かな光よ…この闇を完全に消すことはできない!」


操り手は自ら虚無の核と一体化し、巨大な怪物へと変貌を遂げた。触手が絡み合い、虚無の咆哮が断崖全体を揺るがす。


サラが炎の力を込めた魔法を放ち、怪物の動きを封じようとする。


一方でノームは地面から岩の槍を生み出し、触手を次々と打ち砕いた。


アリスは仲間たちの支援を受けながら、全ての力を聖剣に注ぎ込む。


剣から放たれた光の刃は怪物の胸を貫き、虚無の核を完全に破壊した。


断崖に轟音が響き渡り、怪物の体は闇と共に霧散していった。


影の操り手「虚無は消えない…お前たちが望む平和は、いつか終わる…」


アリスたちは崩れゆく断崖から間一髪で脱出し、サドバイン王宮へと帰還した。


王宮では国王とその家臣たちが彼女たちの勝利を祝福し、サドバインに平和が戻ったことを喜んだ。


しかし、アリスは宴の最中にも深く考え込んでいた。


虚無の核は消滅したものの、影の操り手が最後に残した言葉が心に引っかかっていた。


アリス「終わりは新たな始まりに過ぎない。これからも戦いは続く。でも、それを恐れてはいけない。」


アリスは心の中でそう自分に言い聞かせた。


翌朝、アリスは、新たな冒険へと旅立った。


これで虚無の脅威との戦いは終わりを迎えた。


アリス「次はどこに行こうかな?」


アリスはサドバイン王国の港で帆船を準備していた。


その姿は朝陽に照らされ、白銀の鎧がまるで神々しいオーラを放つようだった。


サラ「ねえ、ディネ!早く支度しなさいよ!」


サラが口を尖らせながらディネに文句を言う。


ディネ「今日は化粧の乗りが悪いのよ。あなたこそ、そんな派手な食べ物をいっぱい持って戦えるの。」


ディネが冷たく返すと、二人の間には火花と水滴が飛び散りそうな緊張感が走る。


アリス「二人とも、静かに!」


アリスが鋭い視線を向けると、二人は渋々ながらも口を閉じる。


その後ろでノームは静かに本を読んでおり、時折ページをめくる音だけが聞こえる。


船が港を離れると、波は穏やかで風も順調だった。


しかし、ロッフェル島への航路は甘くはなかった。


夕刻になる頃、水平線の向こうから黒い霧が立ち込め、不吉な気配が漂い始める。


「変な霧ですね。」


ノームが冷静に分析する。


その時、海面が不気味に揺れ、巨大な触手が船の周りに現れた。


それは「深海の魔獣クラーケン」だった。闇の賢者が送り込んだ刺客だ。


アリス「いきなりこれ!?優雅な船旅がおじゃんじゃん!」


アリスは冷静に聖剣を抜いた。


ディネは美しい旋律のような呪文を唱え、海水が渦を巻いて触手を絡め取る。


一方、ノームは船を包み込むように砂の壁を召喚し、触手からの攻撃を防ぐ。


「私の番ね!」


サラが真紅の魔力を全身にまとい、クラーケンに向かって猛突進する。


炎の奔流が広がり、触手が焼き切れていく。


アリスはその隙を見逃さず、聖剣に精霊たちの力を宿らせ、クラーケンの核心部分に突き刺した。


光と水、炎、土の力が一体となり、クラーケンは絶叫とともに深海へと沈んでいった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ