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165 サドバイン王国編 part6


湖面は静かで透き通っていたが、その中心に異様な気配を放つ石碑が立っていた。


ディネ「間違いない、この湖に鍵がある。」


ディネが一歩前に進み、水の精霊としての力を感じ取る。


しかし、湖面が突然揺れ動き、巨大な水蛇のような魔物が姿を現した。


その目は冷たく光り、湖の主としてアリスたちを侵入者と見なしているようだった。


アリスが聖剣を抜き放ち、水蛇に立ち向かった。


水蛇はその巨体を生かした激しい攻撃を仕掛けてきたが、ディネが水を操り蛇の動きを封じ、サラがその隙を突いて炎で攻撃した。


ノームは湖の地面を探り、鍵の在り処を突き止めた。


ノーム「ここにあったよ!」


ノームが鍵を手にすると、水蛇の動きが止まり、石碑が静かに崩れ去った。


こうして最初の鍵を手に入れた。


湖の試練を終え、アリスたちは炎が轟く谷へと足を踏み入れた。


空には硝煙の香りが漂い、地面はひび割れた溶岩で覆われていた。


谷全体が熱気に包まれ、息をするだけで喉が焼けるようだった。


サラ「ここが二つ目の鍵の場所みたいだね。」


サラが不敵に笑みを浮かべた。


サラ「炎が得意な私の出番ってわけ。」


しかし、その自信を嘲笑うかのように、谷の中心から燃え盛る炎の竜が姿を現した。


竜の身体は溶岩のように輝き、翼を広げるたびに炎の嵐が巻き起こった。


その咆哮は地面を震わせ、周囲の岩が崩れ落ちるほどだった。


竜は鋭い爪と尻尾、そして口から吐き出す業火を武器に容赦なく襲いかかってきた。


一瞬でも気を抜けば全員が焼き尽くされかねない状況だった。


ディネ「アリス!右へ!」


サラが叫びながら竜の左翼に向けて炎を放った。


サラの炎と竜の炎がぶつかり合い、爆発が谷全体に響いた。


その隙に、アリスは竜の脚に向かって突進し、聖剣で切りつけた。


しかし、竜の鱗は鉄よりも硬く、剣の刃が弾かれてしまう。


アリス「クソッ、硬い!」


ディネが素早く水の魔法で竜の顔面に水を叩きつけた。


ディネ「サラ!熱で柔らかくなった鱗を狙って!アリス、首元に集中して!」


サラが竜の胸部を狙い、大きな火球を放つと、竜の鱗が一瞬赤くなり、熱で裂け目が生じた。


ノームが地面に手をつき、大地の力を呼び起こした。


岩の槍が竜の胸を突き上げ、その隙を見たアリスが跳躍して竜の首元を狙った。


アリス「これでトドメだ!」


アリスが聖剣に全ての魔力を注ぎ込み、竜の首に渾身の一撃を叩き込むと、光の刃が鱗を貫通した。


竜が最後の咆哮を上げると、その体は燃え尽き、谷の空気が静寂に包まれた。


竜の消滅とともに、谷の中心に輝く炎の鍵が姿を現した。


アリスが慎重にその鍵を手に取ると、地面が突然揺れ始めた。


ディネ「谷が崩れ落ちるわ!」


アリスは全力で谷の出口へ向かって走り出した。


背後では溶岩が吹き出し、巨大な岩が次々と崩れ落ちていく。


ギリギリのところで谷を脱出した瞬間、炎の谷は轟音とともに崩壊した。


炎の谷を抜けた先には、冷たい風が吹き荒れる雪山が広がっていた。


炎の谷を抜け、アリスたちは冷たい雪山のふもとに到達した。


空は曇天に覆われ、凍てつく風が吹き荒れ、雪が容赦なく降り積もっていた。


大精霊たちでさえその冷気に少しばかり萎縮していた。


ディネ「ここが三つ目の鍵の場所か……ずいぶんと手荒い歓迎だね。」


目の前にそびえる氷の迷宮は、山の中腹に吸い込まれるように入り口を開けていた。


その扉には精緻な彫刻が施されており、中央に氷と雪を象徴する紋章が輝いていた。


アリスは氷雪の迷宮へと足を踏み入れた。


迷宮の内部は息を呑むほど美しく、壁や天井は透明な氷でできており、無数の光が反射してきらめいていた。


しかし、その美しさの裏には罠が潜んでいた。


ディネ「気をつけて。この氷の中、何か動いている。」


突如、壁の中から氷の戦士たちが現れた。


彼らは無言のまま剣や槍を構え、アリスに襲いかかる。


アリスが一気に殲滅するが、氷の戦士は斬られてもすぐに再生し、次第に数を増していく。


アリス「これじゃキリがない!倒すんじゃなくて、進むことに集中するか!」


ディネが水の魔法で戦士たちを吹き飛ばして道を切り開いた。


しかし、奥へ進むごとに霧が濃くなり、迷宮内の道がどんどん入り組んでいく。


アリス「霧がすごいな!慎重に進むしかないね。」


霧を抜けた先に、迷宮の中心にたどり着いた。


そこには氷の玉座に座る巨大な氷の守護者が待ち構えていた。


彼の姿は人型ながら、体全体が純粋な氷でできており、周囲には冷気のオーラが漂っていた。


氷の守護者「よくぞここまでたどり着いた。だがこの先へ進む資格があるか、ここで証明してもらおう。」


守護者の声は低く響き渡った。


守護者は両腕から氷の剣を作り出し、強烈な吹雪を巻き起こしながら攻撃を仕掛けてきた。


彼の力は圧倒的で、一撃でも受ければ即座に凍りつくほどだった。


アリス「これ以上、迷宮に引き留められるわけにはいかない!」


アリスが叫び、聖剣を輝かせて突撃する。


ディネは水の魔法で吹雪を和らげ、ノームが地面を操作して氷の剣を封じる足場を作った。


サラは炎で守護者の身体を溶かそうと全力を尽くすが、守護者の再生能力は竜の時以上に強力だった。


ディネ「しぶといわね。どうすれば……!」


その時、アリスの聖剣が守護者の胸元に僅かな亀裂を生じさせた。


アリス「よし!」


アリスは守護者の胸元へ集中攻撃を仕掛けた。


ノームの大地の槍が亀裂を広げ、ディネの水圧がその隙間をさらに押し広げた。


最後にアリスが全ての魔力を聖剣に込め、渾身の一撃を放つ。


アリス「これでトドメだ!」


聖剣が氷の守護者の心臓を貫いた瞬間、彼の身体は光となって砕け散り、迷宮全体が静けさに包まれた。


アリスの目の前には三つ目の鍵が浮かび上がり、その輝きは彼らの勝利を讃えるようだった。


アリスは三つ目の鍵を手にした。


三つ目の鍵を揃えたアリスは、ついに闇神殿に足を踏み入れた。


この場所は、迷宮の中心からさらに奥深く、時間さえも歪み、空間すらも変形する異次元の領域に位置していた。


闇神殿の中は、暗黒のエネルギーが渦巻き、どこからともなく不気味な笑い声が響いていた。


ディネ「嫌な笑い声ね……。」


アリス「大丈夫!」


かつては力不足を感じることもあったが、今や彼女の聖剣は試練の数々を乗り越え、聖なる力がその身に宿っていた。


アリスの内に秘められた聖なる力が、聖剣を通して外へと放たれ、すべてを切り裂く覚悟が彼女を突き動かしていた。


神殿の奥深くに到達すると、巨大な黒炎の像が中央に立っていた。


像は見る者を圧倒するほどの迫力を持ち、その目はまるで生きているかのように輝いていた。


すると、黒炎の像が突然動き出し、周囲に渦巻く黒炎の中から巨大な魔王が姿を現した。


アズラノクス「ようこそ、愚かな者よ。」

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