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161 サドバイン王国編 part2

霧の支配者「深淵の囁き」を討ち果たしたアリス。


廃墟となった村には静けさが戻ったが、石碑の謎と深淵が残した言葉が胸に重くのしかかる。


アリス「新しい世界の覇者……いったい何を意味しているのだろう?」


サラ「馬鹿は考えてもわからないよ!」


アリス「馬鹿いうな!」


ディネ「石碑になんか書いてないの?」


そこには、よく見ると隠された文字が刻まれていた。


ノームが文字を読み解く。


ノーム「“調和を破壊するもの、新たな覇者の台頭を導く。真の脅威は、霧の深淵ではなく、その後ろに潜む影なり。”」


アリス「えっ!つまり、深淵の囁きは本当の敵じゃないってこと?」


サラ「じゃあ、私たちのさっきの戦いは無駄だったね、」


アリス「これ以上は‥、サドバインの王宮に戻れば、もっと手がかりが見つかるかもしれない。」


一行がサドバインの王宮に戻ると、すでに噂は広まっていた。


霧の消失に歓喜する街の人々とは対照的に、王宮内の雰囲気はどこか不穏だった。


アリスは急ぎサドバイン国王、レオヴィクス三世のもとへと案内された。


威厳ある姿の国王は、深刻な表情で彼らを迎える。


国王「そなたの働きには感謝している。だが、報告を聞く限り、深淵の囁きはあくまで序章に過ぎないのだな?」


アリスが頷き、石碑に刻まれた文言や深淵の言葉を伝えると、国王の顔色がさらに曇った。


彼は側近に指示を出し、秘匿されていた古い文書を持ってこさせた。


“選ばれし覇者の台頭”――文書にはそう記されており、世界の均衡が破れるとき、新たな支配者が現れるという予言が書かれていた。


国王「この予言は、私の祖父の代から警戒されてきたものだ。だが、ここに記されている覇者の正体や、その台頭の条件については謎のままだった。」


ノームが文書に目を通し、重要な部分を示した。


ノーム「ここだ。“虚無の核が目覚めしとき、鍵は四方の力に隠される。”おそらく、深淵を封じた石碑がその手がかりの一つだと思われますね。」


アリスは国王から重要な依頼を受けた。


霧の村にあった石碑は「北の力」を示していたもので、予言には同様の石碑が四方に存在することが記されている。


国王「他の石碑を見つけ出し、その意味を解き明かさねばならん。そうしなければ、覇者の台頭を防ぐことはできぬだろう。」


次なる石碑の場所は、サドバインから遠く離れた「炎の砂漠」にあると伝えられた。


そこには「南の力」を秘めた石碑が隠されているという。


ディネ「砂漠って……また厄介な場所だね。」


サラ「私は砂漠の暑さくらいどうってことないよ。」


一方、遠い場所では不気味な会話が交わされていた。


暗い部屋の中、ローブを纏った人物たちが、巨大な地図を囲んでいる。


謎の男A「深淵の囁きが敗れたか……だが、これは想定内だ。」


謎の男B「覇者の台頭に必要なのは、四方の石碑を目覚めさせること。北の魔王が動いてくれるのは、むしろ好都合だ。」


彼らの計画の中心にあったのは、虚無の核を超える究極の力――その解放だった。


謎の男C「北は目覚めた。次は南。奴らが石碑を見つけ出したその時こそ……真の儀式が始まる。」


冷笑が部屋中に響き渡る中、覇者を目指す者たちの陰謀が静かに進行していた。


アリスは国王の支援を受け、砂漠への旅の準備を整えた。


アリスは、サドバイン王国から砂漠の入り口までの護衛を受けながら旅を続けた。


炎の砂漠は広大で、地平線まで見渡しても赤茶色の砂と揺らめく熱気しか見えない。


風が吹き抜けるたびに砂嵐が舞い上がり、まるで砂そのものが生きているような錯覚を覚えた。


アリス「砂漠はやっぱり暑いね。」


ディネ「仕方がないわね。」


ディネは涼しい水のバリアを張った。


ディネ「今回だけよ。」


アリス「ディネ。ありがとう!」


彼らが進むにつれて、砂漠の景色は少しずつ変わり始めた。


荒涼とした大地に突然現れる巨大な岩壁や、奇妙な形をした枯れた木々。


中でも目を引いたのは、黒いガラスのように輝く石が散らばる場所だった。


ノーム「この砂は。」


ノームが地面を調べながら低く呟いた。


ノーム「ここはかつて、何か強大な炎の力で焼き尽くされた跡だね。」


すると、遠くからかすかに響く足音が聞こえた。


音が徐々に近づくと、砂嵐の向こうから現れたのは、全身を白い布で覆った一団だった。


彼らは砂漠の民のように見えたが、手にした武器や鎧はどれも煌びやかで、ただの遊牧民ではないことが明らかだった。


砂漠の民「旅人か……いや、それとも“石碑の秘密”を探る者たちか?」


隊長らしき男が鋭い目つきでアリスを睨んだ。


アリス「私たちは石碑を探しているだけ。あなたたちも関係があるのか?」


アリスが冷静に問いかけると、男は一瞬ためらったようだが、すぐに武器を構えた。


砂漠の民「ここから先は、選ばれし者しか進むことは許されない。我ら『砂の守り手』が試す!」


砂の守り手たちは、炎と砂の魔法を巧みに使いながらアリスに襲いかかってきた。


熱風が吹き荒れ、砂が刃のように舞い上がる中、アリスは応戦した。


ディネが水の魔法で炎を打ち消し、サラが火の精霊の力で守り手たちの魔法を跳ね返す。


一方、ノームは地面を隆起させて敵の動きを封じ、アリスが剣で反撃した。


激しい戦闘の末、守り手たちは降伏し、その隊長が膝をつきながら口を開いた。


砂の守り手「まさかこれほどの力を持つ者が現れるとは……我らを倒したそなたらこそ、石碑に触れる資格があるだろう。」


砂の守り手たちは、石碑への道を教えてくれた。


それは砂漠の中心にそびえ立つ、巨大な炎の柱に隠されているという。


砂の守り手「だが注意せよ。石碑を守る『炎の巨神』が目を覚ますかもしれない。」


隊長の警告にアリスは頷き、再び旅を続けた。


砂漠の中心に近づくにつれ、熱気はさらに増し、空気が重く感じられるようになった。


突然、遠くに光る柱のようなものが見えてきた。


それは炎そのものが天へ向かって燃え上がるかのような、圧倒的な存在感を放っていた。


アリス「これが……炎の石碑。」


アリスが呟いた瞬間、大地が揺れ、柱の中から巨大な影が現れた。


現れたのは、全身が燃え上がる巨大な存在――炎の巨神だった。


その瞳はまるで溶岩のように赤く輝き、全身から溢れ出す熱波が周囲の砂をさらに黒く焼き尽くしていく。


炎の巨神「侵入者よ……この石碑を解放する資格を示せ。」


巨神の声は轟き、アリスに挑戦を突きつけた。



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