16 王都編 エピソード10 part2(改訂)
シェラール王女様
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使者が白旗を掲げてこちらにやってくる。
「恐ろしい巨獣が出てくるとは想定外でした……!
この戦いは一旦中止し、兵を引きます。
攻撃は……」
アリスは思わず声を上げた。
「えっ、待って!?」
使者はすでに踵を返し、敵陣へ戻っていく。
エルムガンド帝国軍は慌ただしく陣を畳み始め、みるみるうちに撤退していった。
アリスは呆然と立ち尽くした。
「……あれ?」
隣にいた作戦参謀が目を丸くする。
「王女殿下……勝ちました!」
周囲の兵士たちから、遅れて大きな歓声が上がった。
「うおおおお! 勝ったぞ!」
「王女様、すげえ!」
アリスはまだ状況が飲み込めず、指輪をはめた右手をじっと見つめた。
「え……これで勝ったの?」
ディネが肩の上で腕を組んで、呆れた声を出した。
「まあ、結果オーライってやつね。ラッキーだったわよ」
サラが大笑いしながら割り込む。
「ははっ! アリス、外しすぎだろ! 山が吹っ飛んでたぞ!」
ウィプスが明るく手を振る。
「でもみんな無事でよかったね!」
ジェイドが小さく呟く。
「……危なかった……次はちゃんと……」
ノームが低く、どっしりと言った。
「力任せじゃのう。マナの使い方を学べ」
エントが優しく微笑むような声で。
「まあまあ、みんな落ち着いて。アリスちゃん、疲れたでしょ?」
アリスは頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
「うわあああ! バカにされてる! コイツらまたバカにしてる!」
兵士たちが不思議そうにこちらを見ている中、ミクリがそっと近づいてきた。
「アリス……いや、王女殿下。大丈夫か?」
アリスは慌てて立ち上がり、照れくさそうに笑った。
「うん! 大丈夫! ただ……ちょっと予想外すぎて」
ミクリは穏やかに頷いた。
「結果として勝利だ。十分だよ」
その日の夜、野営地では盛大な勝利の宴が開かれた。
アリスは兵士たちに囲まれ、酒を勧められながらも、内心で複雑な思いを抱いていた。
「みんな、今日はお疲れ様! よく頑張ったね!」
兵士の一人が目を輝かせて言う。
「王女様の召喚獣、すげえ迫力でした!」
アリスは苦笑いしながらグラスを掲げた。
「ありがとう。でも、次はもっと上手くやるよ」
宴が盛り上がる中、ディネが肩の上で小さく囁いた。
「そろそろ王都に戻りましょう。ノアール王女も待ってるわよ」
アリスは頷き、兵士たちに声をかけながら立ち上がった。
「みんな、今日は本当にありがとう!
これで一時的に平和が戻ったね。ゆっくり休んで」
翌朝、シエステーゼ王国軍は整然と王都へと引き返し始めた。
馬車の中で、アリスは窓の外を眺めながら小さく息を吐いた。
ノアール王女が隣で優しく声をかける。
「アリス、疲れた?」
「ううん。大丈夫。でも……やっぱり王女の仕事って大変だなって改めて思った」
ミクリが静かに前を向いたまま言った。
「でも、君はちゃんとやっていたよ」
アリスは明るく笑って誤魔化した。
「そうだね! これからも頑張るよ」
王都の門が見えてきた頃、アリスは心の中で決意を新たにした。
(王女としても、冒険者としても……両方ちゃんとやる!
みんなと一緒に、最強を目指すんだ!)
ディネが満足げに。
「その意気よ」
ウィプスが元気よく。
「僕たちも全力でサポートするよ!」
サラが笑いながら。
「次は派手にいくぜ!」
アリスは6大精霊の声を感じながら、馬車の窓から王都の景色を見つめた。
(続きは次話で)
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