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156 ルティアーナ王国編 part3

アリスたちはルティアーナ王国を発ち、「月影の森」と呼ばれる古代の森へ向かった。


この森は、古来より神秘の力に満ちており、多くの旅人がその中で行方不明になったとされる危険な場所だった。


シエスタ王女も一緒に同行を希望したが、国王の命令で泣く泣く城に残ることとなった。


別れ際、彼女はアリスに美しい銀の指輪を託した。


シエスタ王女「これは私の母が持っていたお守りです。何か危険があれば、この指輪があなたを守ると信じています。必ず無事に戻ってきてくださいね。」


アリスは指輪を受け取り、優しく微笑んだ。


アリス「ありがとう、シエスタ王女。必ず真実を解き明かして戻ります。」


月影の森に足を踏み入れると、空は濃い霧に覆われ、日光が届かないほど薄暗くなった。


木々の間からはかすかな囁き声が聞こえ、不気味な雰囲気が漂っていた。


ディネ「ここ、嫌な感じがするね……」


ノーム「霧には注意した方がいいです。迷い意味がありそうです。」


フノンが鋭い目で周囲を観察する。


進むにつれ、奇妙なことが起き始めた。木々が彼らを囲むように動き、道がどんどん消えていく。


やがて、彼らは同じ場所をぐるぐると回っていることに気づいた。


ミクリ「罠だ!」


ミクリが剣を抜き放つと、木々の間から黒い影が飛び出してきた。


それは闇の魔力で強化された狼のような魔獣だった。


鋭い牙を剥き出しにし、低い唸り声を上げている。


アリス「来るよ!」


アリスが聖剣を構え、光の刃を放つ。


一撃で魔獣を倒したが、次々と新たな魔獣が現れた。


フノン「終わりが見えないですね!」


フノンが雷の魔法を放ちつつ叫ぶ。


その時、森の奥から澄んだ女性の声が響いた。


謎の守護者「そこまでにしなさい。」


声の主は森の中央から現れた。


長い緑の髪を持ち、全身が月明かりに照らされるように輝いていた。その姿は、森の精霊そのものだった。


謎の守護者「あなたたちがここへ来た目的は何ですか?」


彼女の声は穏やかだが、どこか威圧感があった。


アリス「星海の目の計画を止めるため、この森に隠された秘密を探りに来ました。」


精霊は一瞬黙り込み、アリスたちをじっと見つめた後、うなずいた。


謎の守護者「よろしい。だが、この森の力を使わせるわけにはいかない。試練を乗り越えた者だけが真実にたどり着ける。」


彼女が指を鳴らすと、森の奥に向かって輝く道が現れた。


謎の守護者「その先にある『月影の泉』を見つけなさい。それが目的の場所です。ただし……覚悟しなさい。命を落とす可能性もあります。」


アリス「私たちはどんな危険にも立ち向かう覚悟です!」


泉にたどり着くと、そこは幻想的な光景だった。


月光が差し込み、泉の水面が星空のように輝いていた。


しかし、泉の中央には不気味な黒い影が浮かんでいた。


アリス「これは……闇の力?」


突然、影が具現化し、巨大な蛇のような魔獣が姿を現した。


その目は燃えるような赤で、全身を覆う鱗は闇そのものだった。


魔獣「試練を乗り越えられるか、見せてもらおう!」


魔獣が低い声で唸り、襲いかかってきた。


戦いは熾烈を極めた。


アリスの聖剣が闇を切り裂き、フノンが火と氷の魔法で魔獣を攻撃する。


ミクリはその巨体に果敢に挑み、メリッサが絶え間なく仲間を回復した。


ミクリ「今だ、アリス!」


ミクリが隙を作り、アリスが聖剣を振り下ろすと、魔獣は苦しみの叫び声を上げて崩れ去った。


その瞬間、泉の闇が晴れ、泉の底から一枚の古い石板が現れた。


石板には、星海の目の次なる目的地が記されていた。


それは、「砂漠の都ハーメリア」。


そこには、世界を覆う力を秘めた「古代の鍵」が隠されているという。


フノン「やっぱり、大きな計画が動いてますね……」


ミクリ「次はハーメリアだな。」


守護者が現れ、微笑みながら言った。


守護者「あなたたちは試練を乗り越えました。森の力を受け取り、次の目的地へ向かうがいい。世界は、あなたたちのような者を待っています。」


アリス「ありがとう。必ず星海の目の野望を打ち砕いてみせます!」


アリスたちは月影の森を後にし、ハーメリアへの長い旅に出た。


ルティアーナ王国の港町ランバードから船に乗り、砂漠の大陸へと向かう。


砂漠の都ハーメリアは、その美しい黄金の建築と、広大な砂漠を背景にしたオアシスの街として知られていた。


しかし、そこには異変が起きているという噂が絶えなかった。


フノン「ハーメリアでは最近、突然現れる砂嵐と消えた村人たちの話が広がっています。」


フノンが地図を広げながら語った。


フノン「古代の鍵がその原因なら、星海の目が既に動いている可能性が高いですね。」


ミクリ「砂漠か……水分の確保が必要だね。」


アリス「砂嵐だろうが敵だろうが、進むしかないさ。」


ハーメリアに到着すると、街の入口で異様な光景が広がっていた。


市民たちは怯えた表情で行き交い、兵士たちは警戒の目を光らせていた。


アリス「ここで何が起きているのですか?」


アリスが一人の商人に尋ねると、彼は恐る恐る答えた。


商人「最近、夜になると砂嵐と共に謎の影が現れ、人々をさらっていくんです。それが街の中にまで入り込むようになって……」


フノン「影?それはただの砂嵐じゃないですね。」


アリスたちはすぐに街の統治者である「砂王」と呼ばれるハーメリアの領主に会うことを決めた。


砂王の宮殿は金色の砂岩で作られた壮麗な建築で、まるで砂漠に浮かぶ城のようだった。


砂王は壮年の男で、その鋭い目には王としての威厳が宿っていた。


しかし、その表情には疲労と焦りが見て取れた。


砂王「アリスたちよ、遠方からの旅路ご苦労だった。私は砂王エルナスだ。」


彼は深々と頭を下げた。


砂王エルナス「ハーメリアは今、謎の影に苦しめられている。村人たちは恐れ、夜には誰も外に出られぬほどだ。」


アリス「影とは、一体どんな存在なのでしょうか?」


砂王エルナス「それが分からぬのだ。ただ、目撃した者たちは皆、黒い霧のようなものが人間の形をしていたと言う。」


フノン「霧が人間の形を?それは闇の魔力ですね。星海の目が関与している可能性が高いです。」


砂王エルナス「この事態を解決していただけるなら、何でも協力しよう。」


砂王は真剣な眼差しでアリスたちに頼み込んだ。


砂王エルナス「街の西にある『風の谷』から、この災いが始まったと言われている。そこに古代の遺跡があるのだが……」


アリス「遺跡ですね。分かりました。風の谷に行き、原因を突き止めます。」


翌日、アリスたちは風の谷へ向かった。


灼熱の太陽の下、砂漠を進む彼らの目の前には、まるで異世界に通じる門のような裂け目が現れた。


谷の入口は黒い岩で覆われ、その中から冷たい風が吹き出していた。


ディネ「これが風の谷……普通の谷じゃないね。」


谷を進むにつれ、風が次第に強まり、視界がどんどん狭くなった。


その中で、アリスは何かがこちらを見ている気配を感じた。


ディネ「気をつけて。ここはただの風じゃないから。」


その瞬間、風の中から黒い霧が渦を巻き、巨大な影が形を成した。


それは、闇の魔力で具現化した「砂の魔獣」だった。


ミクリ「来るぞ!」


ミクリが戦闘態勢に入った。


砂の魔獣は風を操り、巨大な砂嵐を巻き起こして攻撃してきた。


その一撃一撃が地面をえぐり、砂塵が視界を覆った。


ミクリ「この風じゃ動けない!」


フノン「私に任せてください!」


フノンが炎の魔法を放ち、周囲の砂嵐を焼き払った。


アリス「ありがとう、フノン!」アリスが聖剣を掲げ、光の力で魔獣の体を切り裂いた。しかし、魔獣は闇の力で瞬く間に再生する。


ミクリ「こいつはタフだな……」


ミクリが息を切らしながら剣を振るう。


ディネ「アリス!あの中心部に黒い核がある!あれが弱点よ!」


アリスは全身に魔力を集中させ、聖剣で一直線に突進した。


アリス「これでトドメだ!」


聖剣が黒い核を貫いた瞬間、魔獣は苦しみの叫び声を上げて崩れ去った。


魔獣が消えた後、谷の奥に隠された遺跡が現れた。


その中心には、古代文字が刻まれた石碑があった。


フノンがそれを慎重に解読すると、驚愕の事実が浮かび上がった。


フノン「この遺跡は、星海の目が闇の力を封印した場所だ……でも、その封印を解こうとしています。」


ミクリ「やっぱり、星海の目が絡んでいるんだ。」


フノン「次の目的地が記されてる……『炎の山カーヴァン』だ。そこに、次の計画が動いているようです。」


アリス「先を急ごう。星海の目の野望を止めるために!」


砂漠の熱風を背に、アリスたちはさらに危険な領域へと進んでいく――次なる敵、そして真の陰謀が待ち受ける「炎の山カーヴァン」へ向けて。


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