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155 ルティアーナ王国編 part2

水晶の破壊から数日後、アリスたちはランバードの港で束の間の休息を取っていた。


だが、その穏やかなひとときは、シエスタ王女が急ぎ駆けつけてきたことで破られた。


シエスタ王女「アリス様、大変です!水晶の破片から奇妙な文様が見つかりました。」


彼女の手には、小さな黒い石片があった。


そこには複雑な紋様が刻まれており、見る者に不安を植え付けるような不気味さを漂わせていた。


フノン「これは……ただの装飾じゃないですね。」


フノンが眉をひそめた。


フノン「古代魔法の文字? ですが、私の知識ではこれを完全に解読できません。」


その時、メリッサが思い出したように言った。


メリッサ「確か、ルティアーナ王国の王立図書館には、古代魔法に関する記録が保管されているって聞いたことがあります。」


シエスタ王女は頷いた。


シエスタ王女「その通りです。私が案内します。きっと何か分かるはずです。」


こうして、アリスたちは再びルティアーナ王国の中心地へと向かった。


王立図書館は、国の歴史が詰まった壮大な建物だった。


天井まで届く巨大な本棚が幾重にも並び、その中には数千年分の知識が眠っていた。


シエスタ王女「ここです。この中に古代魔法に関する記録があるはずです。」


シエスタ王女が扉を開けると、冷たい空気が流れ込んできた。


アリスたちは手分けして資料を探し始めた。


そして、フノンが一冊の古びた書物を見つけた。

表紙には「深淵の契約」と書かれていた。


その中に記されていたのは、かつて闇の魔王が地上を支配していた時代に結ばれた禁忌の契約だった。


フノン「この契約、闇の力を集めて魔王を再び復活させる方法が書かれています……!」


フノンが青ざめた顔で言う。


ミクリが険しい表情で言った。


ミクリ「じゃあ、あの水晶はその準備の一部だったってことだろうか?」


メリッサ「そうかもしれません。でも、もっと気になるのはこの名前……『星海の目』?」


メリッサが本の中の一節を指差した。


本によると、「星海の目」とは闇の魔王の眷属であり、彼の復活を目的として動く秘密結社だった。


その存在は長らく歴史の闇に葬られていたが、今になって活動を再開したという記録があった。


アリス「彼らが他にもこんな水晶を使っているとしたら……他の場所も危ない!」


その時、図書館の外で大きな鐘の音が鳴り響いた。


シエスタ王女が驚いて顔を上げた。


シエスタ王女「この音……緊急事態です!城に戻りましょう!」


城へ戻ると、国王の元に焦った様子の使者が到着していた。


使者「陛下!東部の港町で、再び黒い霧が発生しました!」


その言葉にシエスタ王女は息を呑んだ。


シエスタ王女「また霧が……?」


使者「しかも、その中から現れた魔獣たちが町を襲っています。現場にいた兵士たちはほとんど全滅しました!」


アリスたちは顔を見合わせた。


アリス「水晶を破壊したのに、まだ闇の力が残ってるっていうこと?」


シエスタ王女が小さく震えながら言った。


シエスタ王女「もしかして、これは『星海の目』の仕業なのでは……?」


国王はアリスたちに正式に依頼を出した。


国王「もしこのまま闇の力が広がれば、ルティアーナ王国だけでなく、隣国にも被害が及ぶだろう。どうか、この陰謀を暴き、国を救ってほしい。」


アリス「もちろんです。この闇の根源を突き止め、必ず止めてみせます!」


フノン「霧が発生した港町の近くには、古代遺跡があると記されています。もしかすると、そこが次の手がかりかもしれないです。」


こうして、アリスたちは再び旅立つこととなった。


目指すは東部の港町、そしてその先にあるという謎の遺跡――そこには、闇の勢力「星海の目」の本格的な陰謀が待ち受けていた。


アリスたちは東部の港町に到着した。


霧はすでに消え去っていたものの、街は荒廃し、住民たちは恐怖に震えていた。


瓦礫と焦げた家々の間を歩きながら、アリスたちは目撃者を探した。


老婆「恐ろしい魔獣が現れて……突然霧が晴れたんです。でも、その時には街が壊滅状態で……」


一人の老婆が涙ながらに語った。


フノンが地図を広げ、近隣の地形を確認する。


フノン「霧が発生したのは港だ。でも、気になるのはここ。」


フノンが指差したのは、街の北にある山岳地帯だった。

そこには古代遺跡が存在すると伝えられていた。


ミクリ「遺跡……闇の力を利用している『星海の目』の連中が隠れてる可能性が高いね。」


アリス「行きましょう。この町を襲った張本人たちを見つけに。」


険しい山道を進む中、遺跡の入り口は突然視界に現れた。


それは古代の栄光を物語る壮麗な建築でありながら、今では朽ち果て、闇のオーラを漂わせていた。


ミクリ「ここだな。」


彼らが足を踏み入れると、石造りの壁には奇妙な光を放つ紋様が走っていた。闇の魔力が空気中を漂い、息苦しさを感じるほどだった。


ディネ「これ……ただの遺跡じゃないわね。」


ノーム「魔法の陣が仕掛けられてますね。」


突然、奥から足音が響いた。

姿を現したのは、一人の黒衣の男だった。痩せた体つきながら、その瞳には不気味な光が宿っている。


黒衣の男「ここまで来るとはな。だが、お前たちはここで終わりだ。」


ミクリ「誰だ、貴様!」


黒衣の男「我が名はゼフィロス。『星海の目』の司祭の一人だ。この地で新たな魔獣を生み出し、世界に闇を広げるのが我々の使命だ。」


アリス「そんなこと、絶対に許さない!」


ゼフィロスが魔法を唱えると、遺跡全体が震え出し、地面から黒い霧が噴き出した。


その中から現れたのは、巨大な六つ目の魔獣だった。


ゼフィロス「行け!こいつらを喰らえ!」


ミクリが前に出て、魔獣の攻撃を受け止める。


ミクリ「アリス、頼む!」


アリス「わかった!」


アリスはフノンとメリッサの援護を受けながら、ゼフィロスに向かって突進した。


ゼフィロスは闇の盾を展開し、アリスの剣を弾いた。


ゼフィロス「甘いな、小娘!」


だが、フノンの雷撃がゼフィロスの盾を粉砕した。

その隙を突いてアリスが斬りかかる。


「これでトドメだ!」


ゼフィロスは倒れた。


ゼフィロス「フッ……お前たちが何をしようと無駄だ。星海の目の計画は、すでに動き出している……」


ゼフィロスを倒した後、アリスたちは遺跡の奥で奇妙な石板を発見した。そこには、いくつかの地名が刻まれていた。


フノン「これは……?」


フノンが石板を調べる。


フノン「ここに刻まれている地名、各地で闇の事件が起きている場所と一致してますね!」


ミクリ「ということは、他にも『星海の目』のアジトがあるってことか。」


アリス「ゼフィロスが言っていた計画って、これが鍵かもしれない。」


シエスタ王女の顔にも不安が浮かんでいた。


シエスタ王女「彼らが何をしようとしているのか、全てを突き止めないといけませんね。」


アリスたちは遺跡を後にし、再びルティアーナ王国へと戻った。


国王に報告を終えた後、彼らは次なる目的地を議論した。


フノン「刻まれていた地名の中で、一番近いのはこの場所です。」


フノンが地図を指差した。


フノン「『月影の森』……古代から魔法の力が宿ると言われている場所です。」


ミクリ「行くしかないな。他の場所でも被害が出る前に、早く動こう。」


アリス「そうだね。星海の目の計画を止めるために、私たちがやらなくちゃ!」


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