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148 ロスフルリント共和国 part2

ヴァルドガードで魔獣の異変を解決したものの、フノンの言葉にアリスたちは深い疑念を抱いていた。


あのフードの人物は誰だったのか?

彼らの背後には、何者が潜んでいるのか?


ダリオスからの情報によれば、ロスフルリント共和国にはかつて「星海の目」という秘密結社が存在していたという。


この組織は古代の魔力を追い求め、禁忌とされる儀式を行っていたが、長い間その行方は不明だった。


しかし、最近になって再びその名が囁かれ始めているという。


フノン「星海の目……。あの祭壇も彼らが造ったものかもしれない。」


フノンは遺跡で見た記号とダリオスの話を結びつけながら推理した。


アリス「なら、その結社の痕跡を追えば、この陰謀の全貌が明らかになるはずだよね。」


アリスは決意を固めた。


「星海の目」の痕跡を追うため、アリスたちはダリオスの紹介で古文書に詳しい学者エリオンを訪ねることにした。


彼は南部の廃墟となった要塞都市「グラヴァス」に潜んでいるという。


グラヴァスはかつて魔獣の侵攻で滅びた都市で、今では廃墟に魔獣が巣食う危険地帯となっていた。


道中、アリスたちは再び魔獣に襲われるが、今回は以前よりも統率された動きをしていた。


フノン「この魔獣。また誰かに操られているようです。」


フノンが炎の魔術で敵を牽制しつつ言った。


ミクリ「エリオンが無事だといいけど……急ごう!」


ミクリが仲間を鼓舞しながら魔剣を振るい、道を切り開いた。


廃墟と化したグラヴァスの奥深くで、アリスたちはようやくエリオンを発見した。


彼は古い文献や遺物を調査しており、アリスたちの訪問に驚きながらも歓迎した。


エリオン「星海の目について知りたいだって?それは……危険な道だぞ。」


エリオンは険しい表情で言った。


エリオン「彼らは古代の魔法文明を復活させようとしている。そのためには、星海の果実の力が必要らしい。」


アリス「星海の果実……あの果実が再び狙われるってことなのか?」


アリスは驚いた。


エリオンは頷き、古い地図を広げた。


エリオン「これを見てくれ。彼らが次に動く可能性がある場所を特定した。この地図に示されているのは『虚無の深淵』と呼ばれる場所だ。そこには、星海の民が封印したとされる巨大な魔力が眠っていると言われている。」


ミクリ「虚無の深淵か……また厄介な場所みたいだな。」


ミクリが肩をすくめる。


フノン「だけど、それを阻止しなければ、この世界がどうなるか分かりません。」


フノンは冷静に答えた。


アリスたちはエリオンの提供した情報を元に、虚無の深淵へ向かうことを決意した。


その道中、謎の刺客に襲われる。


彼らは黒いローブに身を包み、魔術や特殊な武器を駆使して攻撃してきた。


アリス「こいつら、『星海の目』の手先だな!」


アリスが叫びながら剣で応戦する。


フノン「連携が完璧ですね……ただの刺客じゃないようです!」


フノンは精密な魔術で敵の動きを封じつつ、仲間を援護した。


激しい戦闘の末、アリスたちは辛くも刺客を退けたが、彼らが持っていた巻物には「虚無の深淵」と記された文様が描かれていた。


ミクリ「どうやら、向こうもこちらと同じ動き出しているようだな。」


ミクリは巻物を握りしめ、険しい顔をした。


虚無の深淵に到着したアリスたちの目の前には、巨大な洞窟が広がっていた。


中からは微かに光が漏れ、不気味な低音が響いていた。


アリス「ここが……封印の場所か。」


ミクリ「急ごう。奴らが封印を解く前に。」


洞窟の奥へ進むと、そこには巨大な扉があり、「星海の目」の紋章が輝いていた。


その前には、再びあのフードの人物が立ちはだかっていた。


フードの人物「またお前たちか。だが、ここで終わりだ。」


彼が呪文を唱えると、封印が揺れ始め、巨大な影が扉の向こうから姿を現そうとしていた――それは、星海の民が封じた「虚無竜」と呼ばれる伝説の存在だった。


アリス「時間がない!阻止するよ!」


アリスたちが遺跡の扉に到達した瞬間、封印の力が次第に弱まっていくのを感じた。


その中心には、「星海の目」のフードの男が立ち、儀式を完遂しようとしていた。


フードの男「来るのが遅かったな。虚無竜はもう目覚めようとしている……この世の理を塗り替えるために!」


男は冷笑を浮かべながら叫ぶと、扉が完全に開き、凄まじい光と共に巨大な竜の影が現れた。


虚無竜は漆黒の鱗をまとい、その瞳は虚無そのものを映し出すかのようだった。


空間を切り裂く咆哮が洞窟を揺るがし、アリスたちの立っている地面すらひび割れ始めた。


アリス「止めてやる。こんなものが解き放たれたら世界が終わるじゃん!」


アリスが剣を構え、仲間に呼びかけた。


虚無竜が完全に覚醒する前に、アリスたちは竜の放つ虚無の影と戦うことになった。


その影は実体を持たないため、通常の武器ではダメージを与えられない。


フノン「物理攻撃は効かないようです!ミクリ、魔剣の魔力を使ってください!」


フノンが瞬時に判断を下す。


ミクリは魔剣を掲げ、星海の果実の力を引き出して影を切り裂こうとする。


ミクリ「これでどうだ!」


魔剣の一振りで影の一部が消滅し、竜の覚醒が一瞬遅れる。


しかし、影は次々と再生し、まるで虚無そのものが意志を持っているかのようだった。


アリス「攻撃の手を緩めないよ!時間を稼げば、封印を再び完成させるチャンスがあるはず!」


アリスが叫び、竜の影を引きつけて仲間を守る。


フノンは高位の魔術を展開し、空間ごと影を封じ込める術を試みた。


フノン「アリス、ミクリ、もう少し時間を稼いでください!」


影を押し戻している間、フードの男が再び儀式を続けようと動き出した。


フードの男「無駄な足掻きだ……お前たちには虚無竜の真の力を止めることはできない!」


アリス「なら、その儀式をぶち壊せばいいだけ!」


アリスが男に向かって突進する。


フードの男は強力な呪文を放ちながら、アリスの剣撃を防ぐ。


だが、アリスの執念が勝り、男の杖を叩き落とすことに成功する。


アリス「これで終わりだ!」


ミクリとフノンも加勢し、三人の連携で男を追い詰める。


最後の一撃を加える寸前、男は苦し紛れに呪文を唱え、虚無竜に最後の力を注ぎ込もうとした。


完全な覚醒を阻止しきれず、虚無竜の実体が現れた。


それは空間そのものを飲み込み、存在を消し去る力を持つ化け物だった。


フノン「この竜を止めなければ、全てが終わります!」


フノンが叫び、魔術で竜の動きを封じようとするが、虚無竜の力はあまりにも強大だった。


ミクリ「これでどうだ!」


ミクリが魔剣を輝かせ、星海の果実の光を竜に向けて解放する。


アリス「これが最後の一撃だ!」


アリスは竜の中心に突進した。


星海の果実の力と剣の刃が融合し、眩い光が虚無竜を包み込む。


虚無竜は断末魔の咆哮を上げ、ついにその姿を消し去った。


残されたのは静寂と、封印の力が再び強まる感覚だった。


戦いが終わった後、フードの男は弱々しい声で真実を語り始めた。


フードの男「私たちはただ、星海の民の力を取り戻そうとしただけだ……だが、その力は……人が制御できるものではなかった……。」


フノン「星海の民の遺産には、世界を救う力も破滅させる力もあります。だからこそ、それを安易に手に入れようとする者は危険なのです。」


封印を完全に修復した後、アリスたちは疲れた体を引きずりながらロスフルリント共和国へ戻った。


ヴァルドガードでは、ダリオスが彼らの帰還を心待ちにしていた。


ダリオス「君たちのおかげで、虚無竜の脅威が去った。だが、星海の目の残党が他にもいるかもしれない。これからも気を付けるんだ。」


アリスは頷き、仲間たちと共に新たな冒険への意欲を燃やした。


アリス「この世界にはまだ、私たちの知らない謎がたくさんある。それを解き明かすために、次にやるべきことを始めよう!」


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