表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

140/189

140 ロアン王国編 part7


アリスたちが地図に記された航路を進むと、最初の試練が訪れた。


突然、天候が変わり、黒い雲が空を覆い始めたのだ。


荒れ狂う嵐が船を揺さぶり、巨大な波が何度も船体を打ち付ける。


アリス「舵をしっかり握れ!」


アリスが叫び、ミクリが必死で帆を操った。


フノン「星も見えない、この状況でどうやって進めばいいのか?」


フノンが焦りの声を上げる。


その時、


アリス「力を求めるのではなく、その意味を探せ……」


アリスは亡霊たちの言葉を思い出した。


アリス「風と波を読むんだ!この嵐にも規則があるはずだ!」


アリスが叫ぶと、ミクリは冷静さを取り戻し、波の動きを観察し始めた。


ミクリの敏速な操作とフノンの分析が合わさり、アリスたちは嵐を切り抜けることができた。


嵐を越えた先に待っていたのは、迷宮のように入り組んだ珊瑚礁だった。


青白く光る珊瑚は美しかったが、船の進路を阻む難敵でもあった。


アリス「ここは慎重に進むしかないかな。」


フノンが杖を手に取り、魔方陣で安全な航路を示す。


ミクリがその方向を見定め、アリスが舵を操作して船を進めた。


珊瑚礁の狭間を進むたびに、三人の息が合っていくのが感じられた。


夜になり、空は一面の星で輝いていた。


アリスたちは地図の航路が星座に基づいていることに気づき、空を見上げながら航路を修正していった。


フノン「この星の並び……ここだ!」


フノンが地図と空を照らし合わせ、正確な進路を見つけ出す。


アリス「星が俺たちを導いているみたいだね。」


アリスが感慨深げに呟くと、フノンも静かにうなずいた。


長い航海の末、彼らはついに地図に記された目的地が近づいていることを感じた。


その場所は夜の海にぽつりと浮かぶ小さな島だった。


島の周囲には不思議な青い光が漂い、まるで彼らを迎えているようだった。


アリス「ここからが本当の冒険だね。」


アリスが剣を握りしめる。


ミクリ「でも確か、力を求めるだけじゃなく、その意味を探すんだよね。」


アリス「そうだね。亡霊たちの願いを無駄にはしない。」


アリスたちがたどり着いたのは、地図に記された「忘却の島」だった。


島全体は青白い霧に包まれ、昼間でも薄暗く、どこか冷たさを感じさせる場所だった。


霧の中から、遠くに古びた石造りの塔がそびえ立っているのが見えた。


アリス「この塔が手がかりになりそうだ。」


アリスは剣を握りしめながら言った。


フノン「慎重に進みましょう。この島そのものが罠のように思えるわ。」


フノンが魔法の光を灯して辺りを警戒する。

フノンは遠くの音を聞き取りながら先行した。


塔へ向かう道は霧の中に隠された迷宮のようだった。

地面に描かれた不規則な紋様や、時折現れる無数の石像が進路を阻む。


ミクリ「この石像……誰かが呪いで封じられたのかもしれない。」


突然、霧の中から囁き声が聞こえてきた。

声ははっきりとは聞き取れないが、何かを訴えるような調子だった。


アリス「気を抜くな。霧が俺たちを惑わそうとしている。」


アリスが剣を構え、声の方向を睨む。


アリスたちは声に惑わされることなく、紋様を慎重に解析し、石像が示す方向に道を見つけ出した。


そしてついに塔の入り口にたどり着いた。


塔の内部は、崩れかけた階段や古代文字で埋め尽くされた壁が広がる神秘的な空間だった。


中央には、大きな石の台座があり、その上には輝く水晶の球体が鎮座していた。


ミクリ「これが宝なのか?」


ミクリが手を伸ばそうとすると、突然、塔全体が揺れ始めた。


水晶球から黒い影が現れ、島にかけられた呪いの原因である「影の魔獣」が姿を現した。


影の魔獣「ここまで来た侵入者は全て葬る。それが私の役目だ。」


低い声が塔内に響き渡る。


アリスは剣を抜き、影の魔獣に立ち向かった。


だが、通常の剣ではダメージを与えることができない。


ミクリ「アリス!相手は影の魔獣だ!」


ミクリが叫び、聖なる気を剣に宿すことで、アリスの剣が輝き始めた。


フノンは魔獣の動きを封じるため、炎の攻撃魔法で弱点を狙い続けた。


三人の連携攻撃が魔獣を追い詰め、最後にアリスが渾身の一撃を放った。


アリス「これで終わりだ!」


剣が魔獣の中心に突き刺さり、影は霧と共に消え去った。


塔内に静寂が戻り、水晶球から光が溢れ出した。


光の中から亡霊たちの姿が現れた。


彼らはかつてこの島の住人であり、影の魔獣に魂を縛られていたのだ。


亡霊「ありがとう、旅人たち。この呪いを解いてくれたおかげで、我らはようやく眠りにつくことができる。」


アリスたちは水晶球に手を触れ、その中に隠された宝の秘密を解き明かした。


それは、ロアン王国と失われた文明を繋ぐ「航海の記録」だった。


この記録には、未知なる大陸や古代の文化に関する詳細が記されていた。


ミクリ「これが亡霊たちが守り続けた宝なのか。」


ミクリが呟いた。


アリス「でも、これはただの記録じゃない。この島や亡霊たちの想いが込められている。」


アリスは水晶球を見つめ、そう語った。


アリスたちは亡霊たちの願いを胸に、水晶球を船に持ち帰った。


彼らはこの水晶球の記録をロアン王国に届けた。

こうして、アリスたちは呪いの真相と宝の秘密を解き明かした。



アリスたちは冒険を続ける中で、ロアン王国で毎月開かれる「月光の宴」という盛大な祭りの準備に巻き込まれることとなった。


王国中から集まる人々で賑わうこの祭りは、伝統的な料理大会と、夜通し踊る舞踏会が名物だという。


今までの数々の功績を讃えて、王宮からの招待状を受け取ったアリスたちは、祭りを存分に楽しむつもりだったが、到着早々、宴会の準備を手伝うことになった。


宮廷料理長マグナス「旅人たち、せっかくならこの宴会に参加してみないか?ただし、参加するなら準備も手伝ってもらうぞ!」


祭りの責任者である陽気な宮廷料理長マグナスの頼みに、アリスたちは思わず笑顔で頷いた。


料理大会のメインディッシュに使う伝説の食材「星の果実」。それは月影の森の奥深くに隠された希少な果実で、光り輝くその見た目から「星」と名付けられたという。


アリス「星の果実を見つければ料理大会に出場できるってわけだね。」


アリスが目を輝かせた。


月影の森は薄暗く、古木が覆い茂る神秘的な場所だった。


ところが、森に足を踏み入れた瞬間、異変が起きた。


森全体が微かに揺れ、風が囁くように響いたのだ。


ミクリ「この森、ただ者じゃないな。」


月影の森の奥地に、アリスたちはたどり着いた。


森は一層静まり返り、薄青い光を放つ蝶が舞いながら彼らを導いていた。


蝶の群れが消えるように飛び去ると、目の前には一本の木がそびえていた。


その枝にはまるで夜空そのものを閉じ込めたかのように輝く「星の果実」がなっていた。


ミクリ「これが伝説の果実!」


ミクリが感嘆の声を漏らした。


だがその瞬間、大地が唸りを上げるように揺れ、木の根が絡み合いながら形を変え始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ