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139 ロアン王国編 part6

それはロアン王国の歴史を語る重要な遺物であり、アリスたちはこれを守るべきだと感じていた。


アリス「この artefact を手に入れるには、何としても競りに勝たなければならないな。」


アリスが決意を込めた声で言う。


フノンが怪しい参加者たちの動向を観察し、ミクリが巧みな交渉術で価格を操作していく。


アリスは冷静に競りの流れを見極め、タイミングを見て決定打となる入札をした。


競りが終わり、「月の涙」を手に入れたアリスたちは安堵したのも束の間、突如として場内が暗闇に包まれた。


競りの熱気を冷やすように、鋭い冷気が肌を刺す。


アリス「罠だ!


」アリスが咄嗟に叫び、剣を抜く音が暗闇に響いた。


視界が完全に奪われた中で、不規則な足音が混乱を煽る。そして、どこからか囁き声が響く。


盗賊「artefact を差し出せ。そうすれば命だけは助けてやる。」


アリスは声の主を探りつつ、低く構えた。


アリス「artefact は王国の宝だ。お前たちには渡さない!」


その瞬間、炎魔法が線を描き、何かが崩れるような音が聞こえた。


フノン「そっちに一人います。まだ動けるはずだから油断すしないでください!」


フノンが冷静に指示を出し、次々と炎魔法を放つ。その正確な射撃で、敵が物陰から姿を現さざるを得なくなり、混乱が少しずつ収束していく。


ミクリ「少し目を閉じて!」


ミクリが叫ぶと同時に、小さな結晶を掲げた。


緊急用に用意していた魔法の光が弾けるように広がり、場内を一瞬にして明るく照らした。


光の中で、アリスたちは敵の正体を目撃した。


競りの直前に情報を提供してきた派手な衣装の商人が、不敵な笑みを浮かべながら立っている。


アリス「やはりお前だったか……」


アリスが低い声で睨みつけると、男は肩をすくめた。


商人「感がいいな。だが、そのartefact はこの市場の象徴だ。お前たちには渡せない。」


その合図のように、商人の手を借りていた傭兵たちが周囲から現れた。


彼らは短剣や鎖を持ち、統率された動きでアリスたちを包囲する。


アリス「人数で押し切れると思うな!」


アリスが聖なる気を込めた剣を振るい、鋭い刃が数名の敵の武器を弾き飛ばす。


その後ろからフノンが炎魔法で牽制し、敵の動きを封じた。


ミクリは再び魔法の光を操り、敵の視界を狂わせながら、手際よく閃光攻撃で敵を倒していく。


敵を一掃したアリスたちは、ついに商人と直接向き合った。


商人「artefact の力を手にすれば、この市場を支配するどころか、王国全体を揺るがせることができるんだよ!」


商人は artefact を狙って飛びかかるが、アリスはそれを剣で受け止めた。


アリス「力だけで未来を変えられると思うな!」


アリスが叫び、渾身の一撃で商人の武器を叩き落とす。


一方で、ミクリが商人の背後に回り込み、フノンがその足元に炎魔法を放って動きを封じた。


完全に追い詰められた商人は最後の抵抗を試みるが、アリスたちの連携の前に全ての試みは無駄に終わった。


商人が倒れると同時に、artefact「月の涙」が再びアリスたちの手に戻った。


その結晶は静かに輝き、場内の緊張を和らげるようだった。


アリス「これで終わりだ。」


こうして、アリスたちは artefact を携え、闇市場を背にして夜市を後にした。


闇市場の首謀者を捕えたものの、この陰謀の全貌はまだ明らかになっていない。


アリスたちは artefact を携えて王国の役人に闇市場の存在とその首謀者を報告した。


ミクリ「これで、この島の密輸の一端が明らかになったね。」


ミクリがほっと息をつく。


アリス「でも、闇市場はまだ完全にはなくなっていない。これからも目を光らせていないとね。」


アリスは artefact を見つめながら言った。


こうしてアリスたちは新たな問題の芽を摘むと同時に、artefact を安全な場所へ戻し、ロアン王国の歴史を守ったのだった。



ロアン王国の西海岸、朝焼けが海を赤く染める頃、不意に人々の目を引くものがあった。


砂浜に打ち上げられた古びた帆船。


その船体は黒ずみ、長い年月を感じさせる風化の跡があったが、一つだけ異彩を放っていたのは、船首に刻まれた奇妙な文字列だった。


アリスたちが浜辺に駆けつけると、既に数人の漁師たちが恐る恐る船を取り囲んでいた。


ミクリ「見たこともない船だ……それに、この文字は何だ?」


ミクリが船首に目を凝らす。


フノン「古代文字の一種ですね。でもどこの文明か分からない。これを解読する文献を探さないと。」


船の調査が始まると、内部はさらに異様だった。


傷ついた甲板、崩れかけたマスト、そしてカビ臭い木箱。その中から、錆びた航海日誌と不思議な地図が見つかった。


航海日誌はボロボロだったが、何とか読める箇所もあった。そこには次のような断片的な記述が残されていた。


アリス「西の果てにある島、その中心に眠るは禁断の宝。だが、その道は決して安らぎを許さぬ。」


ミクリ「禁断の宝か……これはただの物語じゃなさそうだね。」


一方で、地図には星々と海流を基にした航路が描かれていた。


しかし、その終点は通常の地図には記されていない未知の場所。


ミクリ「この地図が本物なら、失われた文明への道が開けるかもしれない。」


ミクリが興奮気味に語った。


船内をさらに調べると、不穏な気配が漂い始めた。


突如として冷たい風が吹き抜け、何も触れていないのに古びたランタンが灯った。


フノン「この船には何かがいます!」


フノンが杖を構え、周囲を見渡す。


その瞬間、船内にぼんやりと青白い光が浮かび上がり、亡霊たちが現れた。


彼らは船の元乗組員と思われる姿をしており、その顔には哀しみと怒りが交じっていた。


亡霊「我らはこの船の呪いに囚われている……この地図がもたらした災厄が、我らの命を奪ったのだ!」


亡霊たちの話によると、彼らはかつて禁断の宝を探しに旅立ったが、その途中で呪いを受け、全員が命を落としたという。


呪いを解かなければ、この船と共に彼らの魂も永遠に彷徨う運命にあるのだと。


亡霊たちはアリスたちに試練を課した。

それは、禁断の宝の元へ向かい、その真の意味を解き明かすことだった。

ただし、その道は困難を極めるという。


亡霊「お前たちが宝をただの力として欲するのなら、この船の運命を辿るだけだ。だが、心に信念を持ち、宝の本質を見極められる者であれば、呪いは解かれるだろう。」


アリスたちは亡霊たちの嘆きと警告を胸に刻み、地図が示す未知の航路へと冒険に乗り出す決意を固めた。


夜明けの空は薄紅色に染まり、水平線にはかすかな朝靄が漂っていた。


アリスたちは打ち上げられた船を見つめながら、最後の確認作業を終えていた。


フノンが帆をしっかりと固定し、ミクリは古びた羅針盤を調整している。


アリス「準備はいいか?」


アリスが仲間たちに声をかける。


ミクリ「これ以上ないくらい完璧だよ。」


ミクリが自信たっぷりに答えると、フノンも笑みを浮かべてうなずいた。


亡霊たちは岸辺から静かに彼らを見送っていた。


その目はどこか哀愁を帯びていたが、希望の光も宿しているようだった。


亡霊「我らの願いを託す……真実を見極めてくれ。」


亡霊たちのリーダーが呟き、その姿は朝の光の中で消えていった。



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