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134 ロアン王国編 part1

挿絵(By みてみん)


ロアン王国周辺地域


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ロアン王国は、美しい自然と独特の文化を誇る、一つの島に広がる島国です。その独自性は地理的な孤立性と長い歴史に由来し、多くの謎と神秘に包まれています。


アリス「さあ。ロアン王国だ。で、どんな国だっけ?」


メリッサ「私が解説します。

島の中心には、緑豊かな高原が広がり、ここに王城と主要都市が築かれています。

王城は「空の砦」と呼ばれ、切り立った崖の上にそびえ立つ壮大な構造が特徴です。


北部には「月影の森」と呼ばれる巨大な森が広がっており、月明かりの下で幻想的な光景を作り出します。

この森には精霊が宿ると信じられており、外部からの侵入者には厳しい試練が課されます。


南部の海岸線は美しい珊瑚礁に囲まれ、透明度の高い海が広がります。

この地域は「光の浜」と呼ばれ、夜には海が青く輝く「海の灯火」という現象が見られます。


ロアン王国の人々は、自然と調和した生活を大切にし、古代から続く伝統を守っています。

月の満ち欠けに基づいた祭事が盛んで、新月の夜には「月影の祭り」が開かれます。

この祭りでは、精霊との交流を願う舞踏や、星空の下での祈りが行われます。


特に優れた工芸品や建築技術を持つ国であり、珊瑚や貝殻を使ったアクセサリーや、精巧な石造りの建物が有名です。

また、独自の風車技術を用いて風力を生活に活かしています。


ロアンの人々は、自然から得た染料で鮮やかな色を纏った衣服を身に付けています。

特に青と緑の色合いは、海と森への敬意を象徴しています。

現在の統治者は、穏やかで知恵深いエルンスト九世。

彼は「自然と共存」を理念に掲げ、国を守る精霊たちとの平和を維持しています。


ロアン王国では、精霊が自然界を司ると信じられています。人々は「大精霊アリアス」を最高の守護者と崇め、神殿での祈りを欠かしません。」


挿絵(By みてみん)


大精霊アリアス


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アリス「おー!なんかおもしろくなりそう!」


メリッサ「アリス様。アリス様が魔力を失っているときに、誠に申し訳ございませんが、西の魔王様から呼び出しがございまして、西の魔王城に戻らないといけなくなってしまいました。」


アリス「何かあったの?」


メリッサ「たぶん、アリス様が南の魔王を倒したり、聖騎士団を倒したことが耳に入って、ビビリで心配症の西の魔王様としては不安なんだと思います。世界中に散らばっている配下をすべて集結させていますので、私も戻らないといけなくなりました。」


アリス「なるほど、そういうこともあるんだ。確かに西の魔王は、心配症だからね。仕方ないね。」


メリッサ「西の魔王様のお気持ちが落ち着きましたら、アリス様たちと合流致しますので、暫しお暇させていただきます。」


というと、メリッサはキラキラ光りながら消えてしまった。


ミクリ「寂しくてなりますね。」


フノン「最近はずっと4人でしたからね。精霊たちも現れなくなってしまいましたし、やっぱり寂しいですね。」


アリス「魔力が無くなって、精霊たちの加護も得られず、メリッサもいなくなってしまったけど、最初の頃に戻ったと思えばいい。きっと初心に戻って一からやり直ししなさいということだと思う。」


ミクリ「そうだね。我々は普通でも結構強くなりましたから、今の強さを確認する意味でも良いかもしれません。」


フノン「そうですね。3人で初心に戻って頑張りましょう!」


新月の夜が明け、アリスたちの船はついにロアン王国の港へと辿り着いた。

その港町「ルミエル」は、朝日を浴びて輝く珊瑚の建物と、鮮やかな染物で彩られた市場が広がる活気ある町だった。


だが、魔力を失ったアリスたちは、未知の島国での生活に少し不安を抱えていた。


ミクリ「アリスの魔力がないままで、この国でも大丈夫かな?」


フノンが市場の喧騒を見渡しながら答える。


フノン「大丈夫ですよ。この国でもアリスはきっと平気です。」


ミクリ「だよね。」


その時、若い少年が市場を走り抜け、果物を落とす音が響いた。少年を追いかけるのは、騎士の鎧を纏ったロアンの衛兵たちだった。


ロアンの衛兵「そこの少年!止まれ!」


アリスは反射的に少年の腕を掴むと、笑みを浮かべて言った。


アリス「何してるんだ、お前?」


少年は驚いた顔でアリスを見上げた。


少年「ボクは悪くないんだ!ただ、あの果物は……」


話を聞くと、その果物は少年の家族が営む農園から収穫したものだったが、何者かに無断で持ち去られたという。

少年はそれを取り返そうとしていたらしい。


ミクリ「でも、どうして衛兵が追いかけるんだ?」


ミクリが疑問を投げかけると、少年は俯きながら答えた。


少年「最近、この町では『影盗賊団』っていう集団が横行してるんだ。みんな、彼らの仕業だと思ってボクを疑ったんだよ」


アリス「影盗賊団だって。もしかしたら、影の源泉とのつながりがあるかもしれない。」


アリスたちは「影」という言葉に反応して、少年に協力することを決意した。


アリス「ここは情報が必要だ。バーストエンドミラージュを動かそう!マリア、聴こえるか?」


アリスは、魔力が消えたので、念波テレパシーが使えなくなっていた。


アリス「ダメだ。マリアと連絡が取れない。」


アリス「仕方ない。少年から情報を聞くしかない。」


少年の話しによると、影盗賊団はこの国で噂される謎の集団だった。昼間は姿を見せず、夜になると静かに行動し、物資や財宝を奪うという。

その足取りを追うため、アリスたちは夜の市場で張り込むことにした。


アリス「バーストエンドミラージュが使えれば、こんな面倒くさいことなどしなくてよかったのに!」


ミクリ「仕方ないよ。今はこうするしかないから。」


市場が閉まり、月明かりが町を照らす頃、アリスたちは屋根の上に潜み、影のように動く黒い人影を見つけた。

その人物が倉庫へ忍び込むのを目撃し、彼らは静かに後を追う。


アリス「これはただの盗賊団じゃないな。動きにムダが無く正確に計算されている。」


倉庫の中では、盗賊団が次々と物資を箱詰めしているところだった。

そのリーダー格の人物は、銀色の仮面を付け、部下たちに指示を出している。


銀色の仮面「これを早く船に運べ!次の目的地に向かうぞ!」


アリスたちはタイミングを見計らい、倉庫に踏み込んだ。


アリス「そこで何をしている!」


アリスが声を上げると、盗賊団のリーダーが振り返り、冷笑を浮かべた。


盗賊団のリーダー「ほう。新しい勇者気取りか。残念だが、我々は捕まらないよ。」


ミクリ「そうはいかない。私たちはただ者じゃないから!」


盗賊団との戦いが始まった。ミクリが魔剣で斬り込み、フノンが素早く魔法で敵を混乱させる。

そして、アリスはエリュシオンの泉で磨いた体術と剣術で敵を圧倒していった。


最終的に盗賊団のリーダーを捕らえたアリスたちは、驚くべき事実を知る。


盗賊団のメンバーたちは、貧困に苦しむ人々のために食糧や物資を集めていたのだ。


捕らえた盗賊団のリーダー、銀仮面の男リディスは、疲れた声で語り始めた。


盗賊団のリーダー「私たちは悪党ではない。この国の中心部ばかりが栄え、外れに住む者たちは干ばつや飢饉に苦しんでいる。政府は何もしてくれない。だから、私たちは自分たちで動いたのだ。」


アリスは真剣な表情でリディスの言葉に耳を傾けた。

そして振り返り、ミクリとフノンに目配せをする。


アリス「リディス!君たちのやり方が正しいとは言えないけれど、その気持ちは分かる。けど、ただ盗むだけじゃなく、もっと違う形で人々を救う道を探した方がいいのではないか。」


リディスは少しの間、考え込んだ後、頷いた。


盗賊団のリーダー「君たちが言いたいことはわかる。だが、どうやって王城に影響を与えるんだ?」


アリスたちは、リディスたち盗賊団を説得し、中央政府に現状を訴えるための計画を練った。

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