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131 聖なる気の修行編 part6

挿絵(By みてみん)


聖騎士団長 アークレイ


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エリュシオンの泉に着くと、アリスたちの目の前に、10人の白銀の聖騎士団がいた。聖騎士団は、アリスたちより前に来て、聖なる気のレベルを上げる修行をしていた。


そこには、現在の聖騎士団総隊長のダンベルク、聖魔導師フリードリヒと、若き聖騎士リリアン、そして、前回の戦争でアリスと闘った聖騎士団長のアークレイもいた。


今まさに、聖騎士団とアリスたちの壮絶な死闘は始まろうとしていた。


アリス「先を越された。でもなんで聖騎士団がここにすでにいるんだよ。」


ダンベルク「誰だ!貴様らは?」


アークレイ「ヤツが、北の魔王です。」


アリス「あっ!アークレイ!なんでお前がいるんだよ。」


ダンベルク「北の魔王だと!お前たちがこの神聖な場所に入れる資格はないはず。すぐに立ち去りなさい!」


アリス「そんなわけにはいかない。あなたたちが立ち去りなさい!」


ミクリ「アリス。やばいよ。相手は聖騎士団だよ。」


フノン「そうです。聖騎士団10人ですよ。」


アリス「大丈夫。前も10人だったから。」


ミクリ「でも今回は、前と違って格上みたいだよ。」


フノン「そうですよ。前に闘った団長のアークレイが、今回は一番下っ端みたいですから。」


アリス「そうだよな。前回はあの下っ端に苦戦してしまったから。でもここまで来て、今更引けない。」


ダンベルク「そうか! お前たちは、我々の修行の邪魔をしに来たんだな!それなら容赦はできないぞ!」


ミクリ「やっぱり状況はやばいよ!」


フノン「ここは引いた方が良くないかな。」


アリス「くそー! 俺たちも舐められたものだよ! このままではダメだ。ヤツらに、喝を入れてやる!」


こうして、聖騎士団とアリスたちの壮絶な死闘が始まろうとしていた。


エリュシオンの泉の周囲は、薄青い光が漂い、どこまでも透き通った聖なる水が静かに流れていた。


だが、その穏やかな雰囲気は、アリスたちと聖騎士団の対峙により緊張感で満たされている。


両陣営の間には、まるで見えない境界線が張られ、どちらが最初に踏み込むかを待っているかのようだった。


ダンベルクが剣を掲げると、その刃は光を吸い込み、眩いばかりの輝きを放ち始めた。


ダンベルク「聖なる光よ、我らに力を!」


彼の声が響き渡ると、聖騎士団全員が同調するように剣を構え、一斉に陣形を整えた。


一方、アリスはミクリとフノンに目配せをしながら、小声で指示を出した。


アリス「まずは時間を稼ぐ。ミクリ、妨害魔法を準備しろ。フノンは後衛から援護だ。俺が前に出る!メリッサは全員の治癒に専念して欲しい。」


アークレイはニヤリと笑いながら前に進み出た。


アークレイ「久しぶりだな、アリス。今回は負けないぞ。」


アリスも剣を構え、返すように笑う。


アリス「望むところだ。」


戦いの火蓋が切られるや否や、アークレイが先陣を切り、アリスに斬りかかる。


その剣筋は以前の比ではなく、圧倒的な速さと正確さを誇っていた。


アリスはギリギリでそれを受け流し、互いの剣が火花を散らす。


後方ではフノンが手早く呪文を唱え、足元に魔法陣を描き出した。


フノン「行け! 封縛の蔦よ!」


地面から生えた無数の蔦が聖騎士たちの足を絡め取ろうと伸びていく。しかし、その蔦はフリードリヒが放った魔法の光弾によって次々と焼き尽くされる。


フノン「やはりフリードリヒが厄介か……!」


とフノンが悔しそうに呟く中、ミクリが前に出た。


ミクリ「私の魔剣の威力をみよ!」


ミクリが放った一撃は、精霊の加護を受けて複数に分裂し、聖騎士団の隊員たちに襲いかかった。しかし、ダンベルクがその場に立ちはだかり、輝く盾で全てを受け止める。


ダンベルク「無駄だ。この盾の前では、どんな攻撃も通じん!」


ダンベルクの冷静な声に、ミクリは歯噛みした。


アリス「やっぱり強いな。ヤツがきっと最強だね。」


その時、アリスは自分が不利であることを理解していた。それでも、ここで退くわけにはいかないと、心の中で決意を固める。


アリス「やるしかない……!」


アリスは剣を地面に突き立て、大地に魔力を注ぎ込む。

泉の水が急に波打ち、聖なる光が揺らぎ始めた。


アリス「エリュシオンの泉、私に力を貸してくれ!」


すると、泉の中央から巨大な水の守護神が現れ、アリスに向かって手を差し伸べた。


水の守護神「お前の覚悟、見届けた。我が力を分け与えよう。」


アリス「あれは、ディネのお友達なの?」


ディネ「あんな気味の悪い友達なんていないわよ!」


アリスの剣は水の守護神の力を吸収し、青い炎のような光に包まれる。


その瞬間、彼の全身から圧倒的なオーラが放たれ、聖騎士団の面々が一瞬怯んだ。


アリス「おー!スゲ〜!全身に力がみなぎるようだ。よし!行くぞ!」


アリスは叫びながら再びアークレイに挑みかかり、激しい打ち合いが始まった。


戦いは激しさを増し、エリュシオンの泉を取り巻く大地そのものが闘志を持つかのように震えていた。


アリスたちと聖騎士団は互いに一歩も譲らず、まるでその場の空気さえ戦意に染まっているようだった。


アリスは水の守護神から授かった力をさらに聖なる気を引き出し、剣に込めた青い光を振りかざした。


アリス「これで終わりにする!」


アリスが斬り下ろした瞬間、青い光の刃が巨大な波動となってアークレイに襲いかかった。


アークレイは盾を構えたが、その衝撃に耐えきれず、後方に吹き飛ばされる。地面に倒れ込む彼を見下ろしながら、アリスは静かに言った。


アリス「お前も強くなったが、次はない。俺たちをこれ以上邪魔するな。」


しかし、その隙を突くように、フリードリヒが呪文を完成させた。彼の杖の先端が闇の光を放ち、その力がアリスを狙う。


フリードリヒ「まだ終わりではない!これが我々の力だ!」


フノン「アリス、危ない!」


フノンは叫びながら、妨害の魔法陣を急いで描き、フリードリヒの呪文の一部を相殺する。


だが、それでも威力を完全には防げず、アリスに直撃しそうになる。


その時、ミクリが魔剣を振るい、自らの生命力を込めた。


ミクリ「俺たちも負けられない!」


放たれた一撃は、フリードリヒの呪文の中心を撃ち抜き、爆発を抑え込むことに成功した。


フリードリヒは驚きに目を見開き、一歩後退する。


フリードリヒ「まだまだこれほどの力を隠していたとは。」


戦いの中心では、アリスと聖騎士団総隊長ダンベルクがついに剣を交えた。


ダンベルクの一撃一撃はまるで岩をも砕くかのように重く、アリスは防ぎきるたびに腕に痺れを感じた。


アリス「これが総隊長の力か!」


アリスは息を切らしながらも、自分を奮い立たせた。


アリス「だが、我々には仲間がいる。我々の力は一人ひとりの力だけじゃないんだ!」


その言葉に呼応するように、ミクリとフノンがアリスの背後に立ち、彼を守るように魔法と剣撃を放つ。


ミクリ「アリス、最後の一撃を任せる!」


アリスは剣を握り直し、全ての精霊の魔力と聖なる気の力を剣に注ぎ込むように叫んだ。


アリス「これで終わりだ、ダンベルク!」


アリスの剣から放たれた青い閃光は、大地を裂き、ダンベルクの剣を打ち砕いた。


ダンベルクは膝をつき、深い息をつきながら呟いた。


ダンベルク「まさか。ここまでの力を持つとは。我々はここで修行して力を高めたはずなのに!お前たちは、ただ者ではないな。」


アリスは剣を収め、息を整えながら言った。


アリス「私たちは、この泉に来る間も修行していた。私たちはどんな試練も、何度でも立ち向かう。」


ダンベルクは立ち上がり、仲間の騎士たちを見渡すと、静かに剣を地面に突き立てた。


ダンベルク「今日のところは退く。我々もまた、別の地で修行を積む必要があるようだ。」


アークレイ、フリードリヒ、そして他の聖騎士たちもそれぞれ武器を収め、ダンベルクに従うように後退していく。


アリスたちが聖騎士団を退けたその瞬間、エリュシオンの泉が輝きを増し、優しい光が3人を包み込んだ。


エリュシオンの泉「試練を乗り越えた者たちよ、この泉の力を授けよう。」


泉から聞こえた声に応えるように、アリスは静かに頷いた。彼の手には、新たな力の象徴として青く輝く水晶が現れていた。それを握りしめながら、アリスは感慨に深けていた深けていた。


アリス「もっと良いものが貰えると思ったけど、石ころか。まあ、仕方ないけどね。」


ディネ「またそんなことを言って、バチが当たるわよ。」


サラ「きっと馬鹿だから気付かないんだよ。石の魔力に。」


アリス「馬鹿言うな!石の魔力?」


泉に近づくと、穏やかな声が響き渡った。



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