125 南の魔王の謀略編 part4
<南の魔王城 玉座の間>
魔王の手下 ゾーラはビクビクしていた。
南の魔王ラファエル「ゾーラ!どういうことだ?」
ゾーラ「申し訳ございません。」
ラファエル「ゾーラ!バレないと言ったではないか!!」
ゾーラ「魔王様!本当に申し訳ございません!
絶対にバレないはずでしたが、人間を魔王様の配下にするために、どうしても魔王様の魔力が必要で使用したことをついうっかり忘れていました。
でも魔王様の魔力が簡単には見つからないように仕掛けてあったはずですが、またしても北の魔王はどのようにして見つけたのかわかりません。」
ラファエル「くそー!北の魔王め!何という強さだ!」
ゾーラ「私もあそこまで魔力が強いとは思いませんでした。」
ラファエル「このままではすまさんぞ!」
ゾーラ「もちろんでございます。」
ラファエル「いずれ何とかしてやる!だが当分は力を蓄える。」
ゾーラ「御意!」
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聖騎士団
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<パブロフ正教国>
広大な砂漠地帯を抜けた先にある、パブロフ正教国の中心地。その象徴である大聖堂は、金色の尖塔が輝き、どの方角からも目に入る聖域だった。
内部には美しいステンドグラスがはめ込まれ、太陽の光を受けて色とりどりの聖光が降り注いでいる。
そこでは「聖堂会議」が召集されていた。国の指導層が一堂に会し、これからの方針を議論する重要な場である。
厳かな空気が漂う中、長い白髪と威厳ある顔立ちの最高司祭長が中央の席に座り、会議を開始した。
十数人の司祭たちが両脇に控え、神聖な沈黙が続く。その中で、一人の若い司祭がためらいながらも口を開いた。
司祭「先日の戦争にて、北の魔王が10人の聖騎士団を倒し、さらには南の魔王を容易く討ち取ったという噂が広がっています。これは、我々の神聖なる威厳を揺るがす脅威ではないでしょうか?」
彼の声は震えていたが、場にいる全員がその言葉に聞き入った。北の魔王がもたらした戦果は、もはや無視できない現実であり、噂の域を超えていた。
最高司祭長は目を閉じ、深く息を吐いた後、鋭い目つきで一同を見渡した。そして低い声で語り始めた。
最高司祭長「かつて我が聖騎士団の精鋭10人が南の魔王と挑み、互角に戦い、引き分けた。
それほどの力を持つ南の魔王を、北の魔王は容易く討ったと言う。
これは何を意味するか、諸君も理解しているであろう。」
全員が息を呑む中、彼は続けた。
最高司祭長「今の聖騎士団の力では、北の魔王に対抗することは難しい。
早急に組織を再編し、全力で建て直しを図る必要がある。心して備えよ。」
その言葉は、場の空気を一層重苦しいものに変えた。
会議の静寂を破ったのは、司祭長の一人、年老いたマクシミリアンだった。
長い年月を生き抜き、数多の戦いを見届けてきた彼は、重い口を開いた。
マクシミリアン「北の魔王は非常に脅威だ。
聖騎士団が10人で歯が立たぬのならば、50人、いや100人の精鋭を動員するべきだろう。
そうでなければ、この国の未来はない。」
彼の言葉は力強く響いたが、同時に現実的な問題をはらんでいた。果たして100人もの精鋭を集めることが可能なのか。
その提案に応じたのは、正教会の知恵袋とされる聖魔導師フリードリヒだった。
彼の白いローブは神聖な光を反射し、長い杖を握る手には微かに魔力が宿っている。
聖魔導師 フリードリヒ
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フリードリヒ「先日、北の魔王が戦った後の地を調査しました。
そこには凄まじき魔力の痕跡が残されておりました。
非力な聖騎士を100人集めたところで、あっという間に屠られてしまうでしょう。」
彼の言葉に会議室がざわめく中、フリードリヒは静かに続けた。
フリードリヒ「ここは慎重に、100人すべてを超一流の聖騎士として育て上げるべきかと存じます。
それには時間がかかる。しかし、それが唯一の対策でしょう。」
若き聖騎士リリアンが、フリードリヒの言葉に力強く賛同した。
彼女は鮮やかな銀の鎧を身にまとい、その瞳には決意の炎が宿っていた。
聖騎士 リリアン
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リリアン「恐れながら付け加えさせていただきます。
先日、戦争後の調査に同行させていただきましたが……
現場の惨状を見た時、もし自分がその場にいたらと思うと、恐ろしくて体が震えました。」
彼女の告白に、他の司祭たちも深くうなずいた。
リリアンのような優秀な騎士でさえそう感じたのだ。
マクシミリアンはリリアンの発言を聞き、ため息をついた。
マクシミリアン「お前たちのような優秀な聖騎士がそのように言うのであれば、仕方あるまい。
一刻も早く聖騎士のレベルを上げる努力を始めねばならぬ。全員、力を尽くすのだ。」
最高司祭長が最後の言葉を告げ、聖堂会議は終わりを迎えた。
しかし、その場にいた全員が感じていた。
この北の魔王との戦いは、これまでにない試練となるだろう。
そして、その準備には想像を超える努力と犠牲が必要となることを。
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<レンブラン王国>
南の魔王城からレンブラン王国に戻ったアリスたちは、今後について話し合うために、居酒屋にいた。
すると隣の席から、飛んでもない話しが聞こえてきた。
隣の席の男A「聞いたか?北の魔王が南の魔王を倒したっていう噂。」
隣の席の男B「聞いたよ!なんでも一発で決着が着いたらしい。」
隣の席の男C「いや違うよ。北の魔王の鼻息で吹き飛ばしたら、南の魔王が倒れたらしい。」
隣の席の男D「俺が聞いたのは、北の魔王が近寄っただけで、南の魔王が吹っ飛んだらしい。」
隣の席の男A「どれにしても北の魔王はすげ〜な!」
隣の席の男B「ああ。とんでもねぇ!バケモンだぜ!」
隣の席の男C「ひゃー!おっかねぇ!おっかねぇ!」
サラ「北の魔王はひどいね!人間クズだろう。」
ミクリ「なんか盛り上がってますね!」
アリス「鼻息では倒れないよ!」
フノン「近寄っただけで、倒すのですよ。笑えますね。」
アリス「倒れないって。」
メリッサ「みなさん。どこもかしこも北の魔王の噂で持ちきりですよ。」
アリス「こんな可愛くて美しい美少女を捕まえて、ひどい話しだと思う。」
ディネ「自分で言う?」
サラ「ヘドが出る。」
アリス「しかし誰がこんな話しを広めているんだろうね。」
メリッサ「南の魔王の側近らしいです。」
アリス「あいつだ。ゾーラとか言うヤツだ。なんでアイツが言いふらしているんだよ。」
メリッサ「何でも北の魔王を非人間扱いにして、南の魔王様に同情を集めるためらしいですよ。」
アリス「ゾーラめ!こんな痛いけな少女を捕まえて。」
サラ「ぷッ!痛いけだって。」
アリス「サラ!笑ったなぁ!コイツ!」
ミクリ「痛いけではないよね。南の魔王を倒したんだから!」
アリス「そんなことはない。南の魔王が弱過ぎでしょ!」
フノン「それはないです。十分に強かったです。」
アリス「それじゃ、まるでバケモンじゃん!」
ミクリ「スペックだけ見ればたぶん。」
隣の席の男A「そういえば、聖騎士団が北の魔王に対するための策略を練っているという噂だけど。」
隣の席の男B「ついに聖騎士団が動き出したよ。」
隣の席の男C「聖騎士団の威信にかけて、今後は絶対に北の魔王を倒すらしい。」
アリス「マジかよ!冗談きついよ。聖騎士団か。ただでさえ面倒なのに更に面倒じゃん!」
ミクリ「これは問題だよ!」
フノン「絶対っていうからには、確実にいずれ闘うことになりますね!」
アリス「この間の闘いもやっと勝てたのに、もっと頑張るのかよ!」
ミクリ「威信を潰さないように負ければ。」
アリス「それはプライドが許せない。」
ディネ「プライドなんてあったんだ。」
サラ「チンケなね。」
アリス「失礼な。ちゃんとしたプライドだぞ!」
ディネ「どんな?」
アリス「格闘技大会優勝だよ!」
サラ「やっぱチンケじゃん!」
アリス「うるさい!」
ミクリ「さあ!聖気を強くする修行をしよう。」
フノン「私も結構聖気が使えるようになりましたからね。でももっと修行しないと。」
アリス「一番効果的な聖気を高める修行をしに行こう!」




