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123 南の魔王の謀略編 part2

進むたびに崩れ落ちる吊り橋、猛毒を放つ矢が飛び交う隘路、そして岩陰に潜む奇襲部隊。一行は息を合わせながら、一つ一つの罠を突破していった。


ノーム「この先に抜け道があるよ!」


ミクリが矢の雨を避けながら進む中、フノンは防御の魔法を張り巡らせて進む。


アリス「罠、面倒だよー!」


最後には、シルフの魔法で毒の霧を吹き飛ばし、渓谷を抜けることに成功する。


渓谷を抜けた一行を待っていたのは、広大な砂漠だった。その砂漠には、魔法で操られた嵐が絶え間なく吹き荒れ、進むことさえ困難だった。


アリス「何の!この砂嵐?」


ディネ「これはただの自然現象じゃないみたい。」


メリッサが呟くと、アリスは砂の中から浮かび上がる黒い影に気づいた。それは魔物たちだった。


カイザーウルフの群れが砂嵐の中から現れ、一行に襲いかかる。だが、アリスは面倒になって、アンデッドオークキングを出して立ち向かわせた。


ディネ「また楽をしようと思って!」


サラ「ちゃんと戦えよ!」


アリス「うるさいな!戦えばいいんだろう。」


アリスの剣が輝き、狼たちを斬り伏せ、フノンが砂嵐を防御しながら道を切り開く。


嵐の終わりが見えた頃、一行は夜の砂漠で星明かりを頼りに進んでいた。


旅の終盤、夜空に輝く満天の星の下、彼らはついに「灰の迷宮」の入り口にたどり着いた。そこは朽ちた石柱が立ち並び、静寂が漂う不気味な場所だった。


アリス「やっと着いたか……」


ミクリ「でも、ここからがまた試練でしょ。」


ミクリが剣を構える。

アリスは迷宮の入り口を見上げながら呟く。


アリス「ここに手掛かりがあるんだよね!無かったらキレるから。」


こうしてアリスたちは、灰の迷宮の奥深くへと進む準備を整えた。その先にはさらなる試練と、世界の真実が待っていた。


灰の迷宮は、時間と空間が歪む異質な空間だった。


ミクリ「進んでも戻ってきてしまう……」


フノン「迷宮が私たちを閉じ込めようとしているのかも。」


アリスが険しい表情で呟いた。


アリス「あー〜!疲れた。」


サラ「アリスのヘタレ!」


アリス「なんじゃそれ?」


ディネ「サラ、アリスに難しい言葉を言っても無理だよ。」


サラ「馬鹿だった。」


アリス「馬鹿言うな!」


ミクリは剣を地面に突き立てて言った。


ミクリ「この迷宮、影の魔力で作られているな。やつらの本拠地に近づいている証拠だ。」


フノンが呪文を唱え、迷宮の一部を焼き払うと、隠された通路が現れた。


アリス「やった!フノン!さすが!」


彼らは慎重に進みながらも、迷宮の奥で巨大な影の番人と対峙した。


その番人は、過去に倒された冒険者たちの後悔や絶望から生まれた存在だった。戦いの中で、アリスたちは迷宮そのものが人々の心の弱さを糧にしていることに気づく。


アリス「それなら、ウィスプ!光の剣だ!」


アリスの叫びとともに、光の精霊剣を一刀両断で打ち砕き、ついに影の番人を倒した。


迷宮の最奥で、彼らは「幻影の儀式」に関する古代の碑文を発見する。それには驚愕の事実が記されていた。


アリス「古代文字だね。フノンは読める?」


碑文にはこう書かれていた。


フノン「幻影の儀式は、人間の影から無限の分身を生み出す術なり。この術は、絶望の力を増幅させる源泉となる。」


アリス「マンマじゃん!」


そして、その奥には異様な静けさが広がっていた。

それまでの不協和音と暗闇の渦が、何かに飲み込まれたかのようにピタリと止まり、不気味な静寂が空間を支配していた。


そこに佇む古びた石台は、まるで時間そのものに侵されていないように、荘厳かつ奇妙な輝きを放っていた。


アリス「ゆっくり。慎重に行くよ!」


アリスたちは警戒しながら石台へと歩み寄る。石台の表面には古代文字がびっしりと刻まれており、それらは生きているかのように微かに光を放っている。


だが、その中心には、クリスタルの魔法石が鎮座していた。


アリス「なんだろう?」


アリスが本に近づくと、空間全体がひんやりと冷たくなるのを感じた。その冷気は、彼女の背筋をぞくりとさせるものだったが、同時に何かに引き寄せられる感覚があった。


アリスは慎重に手を伸ばし、クリスタルを掴む。

その瞬間、クリスタルの魔法石が淡い紫色の光を放ち始めた。


ミクリ「……このクリスタルは呪われているんじゃないか?」


アリス「気味悪いこと言わないでよ!」


アリスがクリスタルを持とうとすると、突然、空間全体が揺れ始めた。周囲の闇が渦巻き、魔法石を守るかのように無数の影が現れる。それらの影は、言葉を持たぬままアリスたちに語りかけてくるかのように、低く響く囁きを放っていた。


クリスタルの影「真実を求める者よ、代償を覚悟せよ。」


アリスは深く息を吸い込み、その囁きを振り払うようにしてクリスタルの魔法石を取った。


クリスタルの中身は不思議なもので、文字が浮かぶものではなく、触れた者に直接映像を見せる仕組みとなっていた。


アリスの視界は闇に包まれ、次の瞬間には広大な戦場の光景が浮かび上がる。


そこには、南の魔王ラファエルが高台に立ち、巨大な影の渦を指揮していた。そしてその影から、一人、また一人と黒マントの男――アルティエルの姿をした者たちが生み出されていく。彼らは各国へと送り込まれ、戦争の火種を広げていた。


視界の中で、南の魔王が低く笑いながら語る声が響いた。


南の魔王ラファエル「影の軍勢を以て、人間どもを愚かな争いに巻き込み、全てを滅ぼす。それこそが、我が完全なる世界創造の一歩だ。さあ、行け!」


そして、その影の軍勢を率いるアルティエルの分身たちは、各国で破壊と混乱をもたらし、さらなる絶望を生み出している映像を見た。


アリスは息を呑む。その計画は、まさにこれまでの戦争の裏に潜む真実そのものだった。


映像が途切れると同時に、アリスの手の中のクリスタルの魔法石が再び紫色に輝いた。


アリスがクリスタルの中に目を向けると、そこには「黒炎の印」がくっきりと刻まれていた。


アリス「これが……南の魔王とアルティエルを繋ぐ証拠。」


アリスはクリスタルをしっかりと握りしめる。


その時、影そのものがざわめき始めた。源泉から噴き上がる影の柱が天に向かって伸び、低い咆哮のような音が鳴り響いた。


ミクリ「影の渦が自らを守ろうとしているのか?」


ミクリが魔剣を構える。


その言葉通り、影の柱から無数の黒い鎖が生まれ、アリスたちを捕らえようと襲いかかる。


フノン「逃げるぞ! この場は崩れる!」


フノンが叫ぶと同時に、全員が影の渦から離れようと動き出した。


影の渦は破壊こそ免れたが、アリスたちは「黒炎の印」を刻んだクリスタルの魔法石という南の魔王の計画を示す確たる証拠を手に入れた。しかし、その代償として、影の渦は活動を活性化させ、さらなる影の軍勢を生み出し始めていた。


アリスたちは、この証拠を持ち帰り、南の魔王を追い詰める準備を急ぐことになる。しかし、影の渦が生み出す軍勢の脅威が彼らの背後に迫る。


アリス「この証拠があれば、南の魔王を追い詰めることができる!」


こうして、アリスたちは激しい戦闘をくぐり抜けながら影の渦を後にし、南の魔王ラファエルとの決戦に向けて歩みを進めるのだった。


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