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121 アルティエルとの決戦 part4

扉の先に待っていたのは、荘厳な空間とその中心に立つ巨大な石碑だった。石碑には古代文字が刻まれ、フノンがそれを読み上げる。


フノン「虚無の谷……そこに全ての戦争の始まりがあり、終焉もまたそこにある。」


石碑が指し示す場所が「虚無の谷」。

最深部で見つけたのは、巨大な石碑。

そこには次のような刻印も彫られていた。


フノン「虚無の谷への道は、三つの試練を超えた先に開かれる。」


さらにその下には、場所を示す初めの座標が記されていた。


フノン「北の草原、『封じられし灯火』を探せ。」


アリス「次は北の草原かぁ!」


ディネ「アリスはもう飽きたんだぁ。」


アリス「そんなことはない!やる気満々です!」


サラ「嘘見え見え」


アリス「失礼な!このやる気が見えないの!」


サラ「見えない。」


北の草原にあると言われる洞窟「封じられし灯火」についた。そこには、人々の憎悪と絶望が凝縮され、怨霊となった魂が徘徊しているという噂があった。


洞窟内に入ると、冷気がアリスたちの体を蝕み、次第に視界すら曇るようになった。その中で聞こえるのは、怨霊たちの嘆きと非難の声だった。


怨霊A「お前たちは平和を口にしながら戦争を繰り返す愚かな種族だ!」


怨霊B「希望など幻想に過ぎない!」


アリスたちは幻影に惑わされそうになる。


アリス「そんなことはない。過去に囚われるのではなく、未来のために歩み続ける。それが私たちの使命だ!」


その言葉と共に、洞窟の最奥に輝く「灯火」が現れる。

灯火を灯すことで、次の試練の場所が記された光の紋章が浮かび上がった。


アリス「その紋章には何て書いてあるんだ?」


フノン「南の森、『嘆きの泉』に向かえ。だって。」


アリス「今度は南の森ね。」


ディネ「やっぱり飽きてる。」


アリス「うるさい。」


南の深い森にあるという「嘆きの泉」。

そこには、過去の記憶を映し出すという伝説の鏡が眠っていた。泉に到着したアリスたちは、その澄んだ水面に顔を映す。


すると、それぞれの過去が鮮明に映し出された。

アリスは、かつて守れなかった兵士たちの姿を見る。

フノンは、自らの魔道への執着が生んだ悲劇を目の当たりにする。


アリス「もうこの手の精神干渉は効かないね。」


幻影「お前たちの罪を背負う覚悟はあるのか?」


泉から現れた幻影は、彼らの心を試すように問いかけた。

しかし、全員がその問いに向き合い、自らの罪を受け入れる覚悟を示した瞬間、泉の水が割れ、中から「漆黒の奈落」の最終座標が記された石板が浮かび上がる。


アリス「また石板かよ!今度はどこに行くんだよ。」


フノン「虚無の谷は、世界の東端、『影の峡谷』にある。」


アリスたちは、サクミリア共和国の東端にあるという「影の峡谷」へ向かう。


そこは、かつて最初に戦争が勃発したと言われる地で、周囲一帯は植物も生えない荒れ果てた土地だった。


峡谷の奥深くへと進むと、突然地面が震え、巨大な裂け目が姿を現す。その中心には、黒い霧に覆われた異様な扉が立っていた。扉の表面には、何万もの魂が彫り込まれているように見えた。


扉の前に立ったアリスたちは、重々しい雰囲気に圧倒されながらも決意を新たにする。


アリス「もしかしてここが最終地点かな。」


ミクリ「やっと入り口に着いたんだ。」


フノン「よし!乗り込みましょう!」


アリス「ちょっと待っていて。」


そして、アリスがワープしてライラを連れてきた。


ライラ「これが異次元の扉ね。」


ライラは、次元探査装置を取り出して、扉を調べ始めた。


アリス「ライラ。どう?わかる。」


ライラ「だいたいの仕組みはわかった。でも、この扉を開ける鍵、次元の窓のトリガーとなる何かが必要ね。少し時間をちょうだい。」


ライラは持って来た次元装置の調整を始めた。


次元装置からは、何度も「ヒュー。ポン。ヒュー。チン。」と奇妙な音が響いてきた。


アリス「順調に進んでいるみたいだね。」


ライラ「もう少しで共鳴するポイントがわかる。」


次元装置から「ヒュー。カチ。」という音が聞こえた瞬間に、扉が開いた。


ライラ「アリス!ゲートが開いたよ。」


アリス「よーし!行くぞ!」


こうして、「漆黒の奈落」の次元の扉が開かれ、彼らは未知の異次元世界へと足を踏み入れるのだった。


その空間は、過去の戦争で失われた魂たちの叫びが響き渡る、終わりなき闇だった。


奈落の中心には、多数のアルティエルたちが集い、一つの巨大な影の塊「影の源泉」を守護していた。


アルティエル「これが我々の本質だ。お前たちの憎しみが我々を永遠に生かし続ける!」


「影の源泉」は人間の心の弱さに付け込み、絶望と憎悪に満ちた者たちを取り込み、新たなアルティエルを生み出す装置のような存在だった。戦争で失った仲間の記憶や破壊された村々への憎しみ、そして自らの無力さに苦しむ人々が影の源泉に引き寄せられ、その結果、邪悪な黒マントの男アルティエルが次々と誕生していた。


この事実を突き止めたアリスたちは、影の源泉を破壊しなければ世界が完全にアルティエルの支配下に陥ると悟る。


影の源泉によって生み出されたアルティエルたちの執拗な妨害に次々に遭遇する。


ある戦闘の後、


ミクリ「これだけ倒しても、終わりが見えない。まるで影そのものと戦っているようだ……。」


フノンが鋭い目で周囲を見渡し、静かに語る。


フノン「それこそが奴らの狙いです。希望を奪い、戦いを無意味に思わせ、絶望に引き込むことが彼らの目的です。」


アリスは拳を握りしめ、


アリス「私たちは絶対に負けない。自分を信じて進む。それが影の支配からみんなを救う唯一の道だ。」


アリスたちは、そこに異様な光景を目にした。

漆黒に染まる湖のような影が渦巻き、その中心で巨大な結晶が不気味な脈動を繰り返している。

その周囲には無数のアルティエルたちが徘徊し、結晶から力を得ているようだった。


アリス「これが……影の源泉……。」


恐怖に感じながら呟く。


フノンが魔力を集中させながら言った。


フノン「次々と生み出される奴らを全員相手にするのは難しい。先に源泉そのものを破壊するしかない。」


アリスは剣を構え、仲間たちに指示を出した。


アリス「私がアルティエルたちを引きつける!ライラは、結晶を破壊する方法を探って!ミクリ、メリッサ、フノンは、ライラを守って!」


アリスは一人で無数のアルティエルたちを相手にする。

彼らは全員同じ姿をしているが、それぞれが異なる人間の絶望と憎悪から生まれていた。その攻撃は容赦がなく、アリスは次第に疲弊していく。


アリス「お前たちは何のために戦っているんだ?」


アリスの問いにアルティエルの一人が冷たく答える。


アルティエル「我々は絶望そのもの。戦争の痛みを繰り返させるために存在している。」


その言葉にアリスは剣を振りながら叫んだ。


アリス「そんな運命は認めない!私は希望を選ぶ!」


一方、ライラは結晶を調べながら呟いた。


ライラ「これは……感情そのものが物質化している……。物理的に壊すだけでは意味がない。絶望そのものを打ち消す力が必要だ。」


アリスの叫びが響く中、ライラが叫ぶ。


ライラ「アリス!剣に希望の魔力を込めて、結晶に最後の一撃を与えるんだ!」


アリスは仲間たちの助けを受け、源泉の前に立つ。

その時、無数のアルティエルたちがアリスに襲い掛かるが、ミクリとメリッサが体を張って彼女を守った。


アリス「ここで終わらせる……!」


アリスは剣を高く掲げ、持てる全ての聖気を込めて振り下ろした。剣が結晶に触れると、光が爆発し、影の源泉が砕け散った。


影の源泉が消滅した瞬間、無数のアルティエルたちも次々と普通の人間に戻っていった。彼らが戻る際、かつて影に取り込まれた人々の悲しげな声が響いた。


影の声「無念……。」


アリスたちはその声を聞きながら、彼らが影の支配から解放されたことを確信した。


影の源泉が破壊されたことで、世界中で画策していた黒マントの男が居なくなり、平穏な世界が戻った。アリスたちは互いに顔を見合わせ、疲れた体を支えながら微笑んだ。


ミクリ「やれやれ!やっと終わった……。」


アリスは剣を鞘に収めながら答えた。


アリス「いや、終わりじゃない。これからが私たちの新しい冒険の始まりだよ。」


こうして、影の源泉を断ち切ったアリスたちは、新たな希望の光を胸に抱き、新しい冒険の道を歩み始めた。


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