118 アルティエルとの決戦 part1
<南の魔王城 玉座の間>
魔王の手下 ゾーラ「魔王様!申し訳ございません!」
南の魔王ラファエル「どうした?」
ゾーラ「憎き人間どもを懲らしめる件が失敗しました。順調に進んでおりましたが、カンタレラ王国が戦争に勝ってしまいました。ヤツらをギャフンと言わせるはずでしたが、申し訳ございません。」
ラファエル「人間風情が。で、我々が関与していることはバレていないだろうな。」
ゾーラ「大丈夫でございます。人間の諜報部員が捕まりましたが、十分気をつけておりますので、魔王様に行き着くことはないです。」
ラファエル「本当に大丈夫だろうな。信用できるのだな。」
ゾーラ「大丈夫でございます。魔の泉の力を使って、身も心も南の魔王様に捧げた人間ですので、決して裏切ることもありません。」
ラファエル「ゾーラ!十分注意しろよ!」
ゾーラ「御意!」
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<レンブラン王国>
アリス「さあ、冒険の旅の続きだよ!次はどこ行く?」
ミクリ「一番近い国は、サクミリア共和国だけど。隣国のモンドリア帝国も同じくらいだから。」
ディネ「また戻るの?好きだね。」
フノン「でもちょっと気になることはありますよね。」
ミクリ「そうそう!なんでこんなことになったのか?両国の兵士たちをみていたら、前々から準備していた感じではないからね。」
アリス「確かに。カンタレラ国王もいきなりで準備不足だったようだ。」
フノン「サクミリア共和国とモンドリア帝国に行ってみましょう!」
アリス「じゃ、さっそく行こう!」
ディネ「やれやれ。」
アリスたちは、レンブラン王国の港町レブロンから、モンドリア帝国の港町サーベランに着いた。今の港町サーべランには商船の往来も多くて、いつものように商品が山積みになっていて、異国の商人たちが絶え間なく行き交い、取引の宝石や香辛料、魔法の品々が山積みとなっていた。
人通りも多く活気のある町に戻っていた。
アリスたちは、まず宿を決めて、町を見物しながらそれぞれに聞き込みをした。夕方にはみんなで酒場に戻ってきた。
フノン「聞いたところによると、海運国家トルネキア帝国の騒乱によって、商船の運航が乱れてしまい、世界中で物流が滞ってしまった影響で、モントリア帝国の港町サーべランに商船が全く来なくなったらしいです。」
アリス「海運国家トルネキア帝国の騒乱かぁ。心当たりがあり過ぎてしまうのだけど。」
フノン「そうそう。あの出来事ですよ。そのため、いつも山のように積み上がっていた商品もすっかり無くなり、人通りも無くなってしまったらしいです。」
ミクリ「この辺りは海の近くだから、沿岸漁業のおかげで、食べる物にはありつけたが、内陸部では食糧が入って来ないため、住民の怒りは頂点に達していたらしい。」
フノン「そんなとき、モントリア帝国の内陸部のある村に一人の旅の黒マントのアルティエルと名乗るその男が現れて、住民を前に演説をしはじめたそうです。」
アリス「あいつかぁ!」
フノン「その演説が民衆に暴動を起こすように言っていたらしいです。」
ミクリ「私が聞いた話だと、隣国を攻めて、食糧を奪えって言っていたらしいけど。」
アリス「ひどい。」
ノーム「王宮内の人の話だと、黒マントの男が現れて、敵は隣国だと民衆に思わせて、兵を出すように、皇帝に進言していたそうです。そうすれば民衆の怒りは隣国に向かうと言っていたらしいよ。」
アリス「なんと!ディネの情報は?」
ディネ「そうそう。ここの化粧水に龍の涙っていうのがあって、とっても潤うの!」
アリス「あっ。そう。それでおサラの情報は?」
サラ「毛ババっていうのが美味しいかったよ。アリゴレンっていうのも美味しかった。」
アリス「コイツらに聞いたのは間違いだった。」
ディネ「何を言っているの?お肌が劇的に変化する化粧水よ!めちゃくちゃ重要じゃない。」
サラ「そうそう!こんなに美味しい物が食べれるなんて、なんという幸せなんだと思うほど美味しい食べ物なんだよ。重要じゃん!」
そこに、突然、目の前が光と煙に包まれて、魔法陣が強く光って、バーストエンドミラージュ 謎の少女レイが現れた。
レイ
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アリス「なんだよ。久しぶりだけど、突然どうしたの?」
レイ「アリス様にご報告がございます。」
アリス「なに?」
レイ「マリア様より、至急各国の様子をアリス様にご報告するように!とのことでございます。」
アリス「珍しいな。マリアから至急の報告なんて。」
レイ「各国の動きに不穏な様子を感じて、アリス様にご報告すべきとのご判断でございます。」
アリス「それで?」
レイ「まず戦争の爪痕が深く刻まれたカンタレラ王国ですが、戦後の荒廃した村々では、復興の兆しがようやく見え始めていたのですが、ある日、カンタレラ王国西方の村の広場に突如として現れた黒マントの男が、不吉な噂を広めたのです。
黒マントの男「気をつけろ。ミリス王国が裏切り、カンタレラへの侵略を計画している」
その言葉は瞬く間に広がり、疲弊していた民衆の心を疑念と恐怖で満たしました。復興を進めていたカンタレラ国王を始め、政府の指導者たちは、民衆の反発に直面することになりました。
ある官僚「復興に力を入れる暇があったら、国防を固めるべきではないのか?」
ある貴族「再び侵略される前に、こちらから動くべきだ!」
こうした声は政府の決定を鈍らせ、復興事業を停滞させることになった。黒マントの男は影から動きを観察し、さらに新たな噂を流し始めたのです。
黒マントの男「ミリス王国の密使が、我が国の重要な鉱山を狙っているらしい。」
元々、聖騎士団が再び我々を討つために聖騎士の強化に動き出したことは情報として流れていましたので、こうした噂によって、黒マントの男はカンタレラ王国の国民を内側から蝕み、政府の統治力を大きく損なっていくように動いているようです。」
アリス「黒マントの男?幽閉されているはずでは?」
レイ「アルティエルは幽閉されています。別の黒マントの男です。」
ミクリ「やっぱり他にもいたんだ。どうも怪しいと思った。」
メリッサ「そういえば、サクミリア共和国の行商人の話しだと、黒マントの男が現れて、モンドリア帝国が攻めて来たのは、サクミリア共和国政府がモンドリア帝国をいじめたからだと話していたらしいです。しかもアルティエルがモンドリア帝国軍を指揮していたころらしいです。」
ミクリ「ワープでも使えるとか。」
フノン「それにしても広範囲過ぎますね。」
メリッサ「黒マントの男って、特徴的だから一人とは限らないと思います。」
アリス「黒マントの男は複数人いたね!たぶん10人以上。」
フノン「怪しいですね。陰謀の匂いがします。」
ミクリ「黒マントの男なんて、いかにもって感じだしね。」
アリス「ひょっとして」
アリスは、メリッサを見た。
メリッサ「違います。インビジブルナイトは関係していないです。それにメリットもありません。」
レイ「お話しを続けてもよろしいでしょうか?まだお伝えしたいことがございますので。」
アリス「ごめん!そうだった。続けて!」
レイ「一方、聖騎士団を擁するミリス王国では、かつての敗北の記憶が国民の間に深く刻まれてしまいました。特に誇り高い聖騎士団にとって、その屈辱は消えることのない傷だったようです。
そこへ黒マントの者は、密かに聖騎士団の高位騎士たちへ接触し、彼らの自尊心を刺激する言葉を投げかけたのです。
黒マントの男「聖騎士団は世界最強だと聞いていましたが、カンタレラの一部隊に敗れるとは。情け無い。」
黒マントの男「再び証明しなくていいのでしょうか? その力がいまだに最強であることを。」
この挑発により、聖騎士団内部でさらに再び軍拡の動きが始まったのです。
パブロフ教皇「一刻も早く我らが最強であることを世界に示すべきだ!」
国内では武器の生産が急増し、すぐに戦争に備える動きが加速しました。だが、同時に国民の間には不安が広がりました。
国民A「また戦争をするつもりなのか?」
国民B「国は本当に安全なのか?」
疑念と恐怖はミリス王国の人々の心をかき乱し、国全体が内外の緊張に包まれていったのです。」
アリス「やっぱり強くなった聖騎士団との闘いは近いうちに来るな。」
ミクリ「あれ以上に強くなった聖騎士団ね。考えるだけで恐ろしい。」
フノン「でも対抗できるように、こちらも強くならないと!」