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117 コロニアス砂漠での決戦 part5

カンタレラ王国がモントリア帝国を打ち破った戦争は、長い歴史の中でも最大の衝突の一つとして語り継がれることになる。

しかし、勝利は終わりではなく、新たな始まりだった。

荒廃した砂漠の地、壊滅状態の町や村、深い傷を負った兵士と民衆──戦争の後始末には、膨大な課題が待ち受けていた。


カンタレラ王国の宰相セリナは、戦後復興の中心に立つこととなった。玉座の間で、王国の重臣たちが集まり、戦後の方針について話し合っていた。


セリナは冷静な口調で語り始めた。


セリナ「まず初めに取り組むべきは、戦場となった砂漠地帯の復興です。民衆が再び暮らせる環境を整えなければなりません。」


グスタファン軍師が頷きながら付け加える。


グスタファン軍師「また、モントリア帝国とサクミリア共和国の民衆にも目を向ける必要がある。我々が彼らを完全に敵視するのではなく、共存の道を探るべきだ。」


セリナは少し考えた後、こう提案した。


セリナ「戦争の傷跡を癒すには、カンタレラ王国だけでなく、彼ら自身の力も必要です。復興作業を通じて、信頼を築きましょう。」


戦場となった砂漠は、いまだその爪痕が色濃く残る場所だった。兵士たちの遺体が埋められ、破壊された砦や村は瓦礫の山と化していた。


アリスたちも、復興活動に加わっていた。

アリスは瓦礫を片付ける民衆の手伝いをしながら、現地の人々と交流していた。


アリス「私たちの戦いが、この地に新たな希望をもたらせるよう願っています。」


ミクリは疲れた笑みを浮かべながら言う。


ミクリ「剣を振るうのとはまた違った疲れがあるな。でも、こうして人々が少しずつ立ち直るのを見ると、報われる気がするよ。」


フノンは、戦場で発見された古代の魔法装置の調査に当たっていた。

それは戦争の破壊力を高めたものだったが、彼らはそれを復興に役立てる可能性を模索していた。


フノンが装置を調べながら呟く。

フノン「戦争の道具だったものを、平和のために転用できるなら、それが贖罪にもなるだろう。」


メリッサが静かに頷く。

メリッサ「この地に住む人々の未来のために、できることを探しましょう。」


戦争に敗れたモントリア帝国では、戦後の混乱が広がっていた。


カンタレラ王国はモントリア帝国との間で正式な講和条約を結び、復興作業を共同で進めることを決定した。

サクミリア共和国とミリス王国もこれに加わり、戦争の傷跡を癒すために協力することとなった。


数年後には、砂漠地帯には新たな町や村が築かれ、人々の笑顔が戻り始めているだろう。

戦争の記憶は決して消えることはないが、それを糧にした未来が確かに育まれていくはずである。


こうして、カンタレラ王国は戦争を乗り越え、平和を築くための第一歩を踏み出したのだった。

その足跡は、未来の世代に平和の大切さを伝える道標となるだろう。


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戦乱の砂漠から遠く離れたパブロフ正教国の中心部、聖光が降り注ぐ大聖堂。その荘厳な空気の中で、10人の聖騎士団が倒された報告が響き渡った時、国中に衝撃が走った。


聖騎士団は、神の加護を受けた無敵の存在とされてきた。

世界最強と謳われ、その名だけで敵を震え上がらせてきた存在が、たとえミリス王国に派遣した下級聖騎士だったとしても、敗北を喫したことは、パブロフ正教国の威厳を揺るがす一大事だった。


聖騎士団の敗北が報告された翌日、パブロフ正教国の指導層が一堂に会する「聖堂会議」が召集された。


大聖堂の中央ホールには、ミリス王であるルードヴィヒ三世、宰相エドゥアルト、そして高位司祭団が集まり、緊張が漂っていた。


エドゥアルト「聖騎士団が倒されるなど、王国の歴史上、未曾有の事態です!」


宰相エドゥアルトの言葉に、司祭たちがざわめいた。


一人の若い司祭が恐る恐る口を開く。


司祭の一人「この報せはすでに他国にも広がりつつあります。聖騎士団の無敵の名声が失墜すれば、我々の神聖なる威厳も崩れるでしょう…。」


最高司祭は鋭い目つきで一同を見渡し、低い声で語り始めた。


最高司祭長「聖騎士団が敗北した理由を探る必要がある。そして、ただの偶然や運ではなく、我々が何かを見落としていた可能性を否定できない。」


会議室は静寂に包まれた。やがて、司祭長の一人、年老いたマクシミリアンが重い口を開いた。


マクシミリアン「聖騎士団が倒された背景には、相手の異質な力があったのではないか。報告によれば、カンタレラ王国軍の精鋭たちは常識を超える力を持っていたと聞く。それが何に起因するのかを探らねばならない。」


最高司祭長の命令により、パブロフ正教国の調査団が派遣されることになった。

彼らの目的は、聖騎士団が敗北した要因を徹底的に解明することだった。

調査団の中心には、正教会の知恵袋とされる聖魔導師フリードリヒと、若き聖騎士リリアンが選ばれた。


フリードリヒは戦場となった砂漠地帯を訪れ、戦いの痕跡を調べながら呟く。


フリードリヒ「聖騎士団の力を上回る者たちが存在するとは…。カンタレラ王国の精鋭部隊、そして彼らが用いた戦術や魔法、それに隠された秘密を解き明かさねばならない。」


リリアンは剣を握りしめながら言った。


リリアン「調査が終われば、次は私たちが彼らと戦う番です。この屈辱を晴らすために、私は全力を尽くします。」


一方、パブロフ正教国の騎士部門では、聖騎士団の再編が検討され始めた。


指揮官の一人「聖騎士団は無敵ではなかった。だが、この敗北を糧に新たな力を得ることができる。」


指揮官の一人がそう宣言すると、他の指揮官たちが頷いた。


新しい訓練プログラムが提案され、聖騎士団の生き残りたちを始め、他の聖騎士たちも、さらに過酷な鍛錬を課されることになった。

また、古代の秘術や伝説の武具を掘り起こし、彼らに新たな力を与える試みも進められた。


同時に、パブロフ正教国は外交的な圧力をカンタレラ王国にかけ始めた。


最高司祭長「カンタレラ王国は、この戦争で我らの聖騎士団を倒した力について、王国は何を隠しているのか。説明する責任がある。」


特使を派遣し、執拗に情報を求めると同時に、カンタレラの周辺国に働きかけて協力を要請する策略が進められた。


数ヶ月後、調査団が帰還し、報告書を提出した。


調査団長「カンタレラ王国の精鋭たちは、単なる兵士ではありませんでした。彼らは冒険者であり、カンタレアの格闘技大会の覇者であり、魔法と剣技、そして魔界の力とでも呼ぶべきものを融合させた力を持っていました。」


フリードリヒは王に進言した。


フリードリヒ「次に彼らと相対する時までに、我々もまた新たな力を得る必要があります。それは、ただの訓練や装備の改善ではなく、未知の領域への挑戦です。」


最高司祭長は深い沈黙の後、力強く頷いた。


最高司祭長「聖騎士団を再び世界最強の座に押し上げる。そのために、どんな犠牲も厭わない。」


パブロフ正教国は、表向きは復興に専念しているように見えたが、その裏では次なる戦争の準備を着々と進めていた。


一方、カンタレラ王国でも、聖騎士団の報復を恐れて国防の強化が進められていた。


こうして、聖騎士団の敗北は、二国間に新たな緊張を生み出し、さらなる大戦への火種となっていった。


砂漠の戦いは終わったものの、その余波はまだ収まらず、世界は新たな嵐の到来を予感していた。


その頃、アリスたちはレンブラント王国に戻り、酒場で祝勝会を行っていた。


アリス「働いた後の酒と飯は美味しいね。」


ディネ「のんきだね!」


ミクリ「今回は、また戦場の規模が大きかったよね。」


フノン「聖騎士団を相手によく頑張りましたね。」


ディネ「無謀だったけどね。」


アリス「うるさい!聖騎士団はいずれ闘うことになると思っていたが、こんなに早く機会が訪れるとは思っていなかったよ。

以前から、聖気を溜める鍛錬を積んできたのに、それでも簡単には勝てなかったけどね。」


サラ「鍛錬が足りないんじゃないの!」


アリス「わかっているよ。」


メリッサ「でも今回、相手した聖騎士ですけど、下級だったみたいですよ。」


なぜか、みんなが、シーン!と静かになった。


フノン「やっぱりそうですよね!下級ですよね!」


ミクリ「でも半分くらいは、少しは強かったと思うけど。」


アリス「もっと聖気の鍛錬をしておかないと次は負けるかもしれない。修行しよっと」


ディネ「そうそう!もっと修行しないと!」


アリス「人に言われるとムカつく!」


メリッサ「みなさんは頑張りました!すごいです。」


アリス「でしょ!我々は最強のクランだからね!」


ミクリ「いつクランになったの?冒険者パーティだよね!」


サラ「妄想アリスが始まった。」


ノーム「そう言えば、シエステーゼ国王が言っていました。こんなんじゃ、嫁の貰い手がないじゃないか。と」


アリス「失礼な!私には、白銀の龍人がいるから!」


ディネ「また妄想が始まった。どこぞでまたアニメに影響されたね。」



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