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114  コロニアス砂漠での決戦 part2

月明かりが砂漠の大地を照らす静寂の夜、遠くから聞こえる不気味な骨の軋む音と、獣たちの低い咆哮が戦場の空気を裂いた。


アリスが召喚したアンデッドスケルトン軍2万が、暗黒の軍団の先陣を切り、まるで死の波のようにサクミリア軍へ向かって迫っていた。


その後方には、強靭な筋肉を誇るオーク1万、鋭い牙を持つカイザーウルフ1万、そして戦場の混乱を得意とするゴブリン1万が控えている。

さらに、戦場の中心には、圧倒的な破壊力を秘めた巨神――爆烈神タイタンと爆風神バハムートがその巨体を構えていた。


アリス「フッフッフッ。我ながら完璧な布陣だ。」


ディネ「向こうから白いのが光っているわよ。」


モントリア帝国軍の陣営には緊張感が漂っていたが、その背後には、白銀の鎧を纏った10人の聖騎士団が神聖なオーラを放ちながら立ち並んでいた。

その姿は、兵士たちにとって光明であり、同時に頼るべき最後の砦でもあった。


アリス「たった10人。なんとかなるでしょ。」


ディネ「自信あるの?」


アリス「ない!」


サラ「無いのかい!やっぱ馬鹿だな!」


アリス「馬鹿言うな!失礼な!」


ノーム「もうそろそろ始まりますよ!」


アリス「よっしー!やりますかぁ!」


夜明けを待たずに、戦いは始まった。


ザイナ「全軍、構えろ!」


モントリア軍の総指揮官ザイナが叫ぶと同時に、弓兵隊が矢を放つ準備を整えた。

だが、アンデッドスケルトンの軍勢は、どれだけ矢を受けても倒れることなく進軍を続ける。

まるで死そのものが押し寄せるかのような不気味な光景に、兵士たちの士気は徐々に揺らぎ始めた。


聖騎士アークレイ「恐れるな! 神聖なる力が我らに味方する!」


聖騎士団のリーダー アークレイが声を上げると、彼らの持つ聖剣が光を放ち、アンデッドの軍勢に向けて神聖な閃光が放たれた。

光が触れるたび、スケルトンの骨が崩れ落ち、前線に穴が開いていった。


しかし、その隙を埋めるように、次にオークたちが突進を開始した。彼らは巨大な戦斧を振り回し、サクミリア軍の歩兵部隊を次々と薙ぎ倒していく。


右翼では、カイザーウルフの群れが素早い動きでサクミリア軍の弓兵隊に襲いかかった。

彼らの鋭い牙と素早い動きに対応できる兵士はほとんどおらず、弓兵隊は壊滅的な被害を受けた。


ザイナ「右翼が崩壊する! 騎兵隊を回せ!」


指揮官ザイナの命令で、モントリアの騎兵隊が急行し、カイザーウルフと激突。

砂漠の地面は馬蹄と獣の爪によって削られ、激しい衝突の中で無数の命が散っていった。


だが、戦場の中央に現れた巨神、タイタンとバハムートの破壊力は、戦いの流れを決定的に変えた。


タイタンがその巨腕を振り下ろすたびに、地面が揺れ、サクミリア軍の陣形が崩壊する。

彼の一撃はまるで地震のような威力で、重装歩兵の盾など紙のように砕け散った。


その横では、バハムートが口から爆風を吐き出し、炎と風の嵐が兵士たちを焼き尽くしていく。

その圧倒的な破壊力に、前線の兵士たちは次々と退却を始めた。


モントリア軍の副官サーモン「どうする、これでは持たない!」


モントリア軍の指揮官たちが動揺する中、聖騎士団がついに動き出した。


聖騎士団の10人は、光の結界を張りながら前進し、巨神たちに向かって進軍を開始した。

彼らは神聖な力を使い、タイタンの攻撃を受け流しながらその膝元に迫る。


アークレイ「神の名のもとに!」


聖騎士リーダー アークレイの号令とともに、10人の聖剣がタイタンの胸に突き刺さった。

タイタンは苦痛の咆哮を上げながら膝をつき、その巨体が砂漠に崩れ落ちた。


しかし、その瞬間、バハムートが怒り狂い、全身を赤く輝かせながら爆風を放つ。

その衝撃波は聖騎士団にも甚大な被害を与え、半数が吹き飛ばされて一時的に戦闘不能となった。


戦場は熾烈を極め、どちらの軍も決定的な勝利を掴むことができなかった。

サクミリア軍の兵士たちは聖騎士団の奮闘によって一時的に士気を取り戻したものの、カンタレラ軍の残虐な戦術と巨神の破壊力に圧倒され続けた。


アリス「さすがに聖騎士団は強いな。」


ディネ「だから言ったじゃん!」


ミクリ「アリス!やっぱり聖騎士団をなんとかしないと。」


フノン「このままでは巨神も持たないよ。」


アリス「そうだね。我々がそろそろ行きますか!」


砂漠の戦場には、不気味な静寂が漂っていた。

天に届くほどの赤い月が砂地を血に染めたように照らし、風が戦士たちの鎧やマントを揺らす。


遠くで鳴り響く獣の咆哮と、砂嵐の音だけが聞こえる中、歴史に名を刻む戦いが今、幕を開けようとしていた。


先頭に立つのは、世界最強の冒険者、アリス。

彼女の黄金色の髪は砂漠の光を浴びて輝き、その瞳には揺るぎない闘志が宿っていた。


その隣には、漆黒の魔剣を携えた魔剣士ミクリ。

彼の剣からは紫色の邪気が漂い、周囲の空気を震わせている。


さらに、背骨ともいえる存在、魔道剣士ディアブロとルシファーが鋭い眼差しで敵陣を見据えていた。

彼らの手には、絶大な魔力を封じ込めた剣が握られており、灼熱の砂漠の空気を切り裂いている。


最後に並ぶのは、悪魔的な美しさを持つ戦士メリッサ。

メリッサは冷徹な微笑を浮かべながら、敵を嘲るような表情で魔力を練り上げていた。


一方、モントリア軍の先頭に立ち阻むのは、世界最強と謳われる聖騎士団の残り5人。

その白銀の鎧は神聖な輝きを放ち、見る者の心に恐怖と敬意を同時に与える。


彼らのリーダーであり「天剣の使徒」と呼ばれるアークレイは、純白の聖剣を手にしており、その刃には光のオーラが宿っている。

彼の後ろには、聖なる盾を構えるアイゼン、巨大な戦槌を持つ豪腕のガラハッド、そして敏捷な双剣使いリリスが並ぶ。

最後尾に立つのは、「聖光の魔道士」と呼ばれるカイン。

彼から放たれる光は、仲間を守る神聖な結界を作り出していた。


カンタレラの精鋭部隊が前進を開始する。

アリスの声が静寂を破るように響いた。


アリス「みんな、私について来い。目指すは聖騎士団の撃破だ!」


一方、アークレイは剣を掲げ、神々しい光を放ちながら静かに応じる。


アークレイ「神の裁きが、闇に染まった魂を浄化するだろう。」


最初に動いたのは、アリスだった。彼女は地面を蹴り、砂塵を巻き上げながら聖騎士団へと突進する。


アリス「シルフ!サポートをお願い!」


シルフ「任して!」


アリスが突進する速度は稲妻のようで、目に見えるのは残像のみ。


アリス「光を裂け!」


アリスの剣がアークレイに迫った瞬間、アークレイはその一撃を白銀の聖剣で受け止めた。

激しい衝撃音が響き、周囲の砂が爆発したかのように舞い上がる。


その隙を狙い、ミクリが漆黒の魔剣でアイゼンに突進する。

しかしアイゼンの盾が放つ神聖なオーラが、魔剣の一撃を跳ね返す。


アイゼン「甘いな!」


アイゼンの反撃がミクリを狙うが、その一撃をルシファーの双剣が受け流した。


戦場はすぐに混乱の渦と化した。ガラハッドの戦槌が地面に振り下ろされるたびに、大地が揺れ、カンタレラ軍の隊列が崩れる。一方、ディアブロはその崩れた隊列を立て直すため、魔法で火の壁を作り出し、聖騎士団を一時的に封じ込めた。


アリス「フノン、援護を頼む!」


アリスの声に応じて、フノンが手を掲げる。


フノン「メテオストライク!」


空から無数の流星が降り注ぎ、聖騎士団を包囲する。しかし、その流星はカインの作り出した結界に防がれた。


カイン「神の力は汚れた魔法には屈しない!」


フノン「失礼な!私の魔法は別に汚れてませんけど。」


戦場の中心では、アリスとアークレイが一騎打ちを繰り広げていた。二人の剣がぶつかるたび、光と闇の力が衝突し、その衝撃波が戦場全体に広がる。


アリス「なるほどね。聖騎士殿の力、確かに強い。でも、負ける訳にはいかない!」


アークレイ「正義の信念のもとに!我々も負ける訳にはいかない!」


アークレイの聖剣が聖光を放ち、アリスを圧倒しようとするが、彼女の剣もまた聖気を込めており不屈の力でそれを押し返した。


アークレイ「なぜお前たちのような者が聖気を使えるんだ。」


アリス「正教会で訓練したからね!いずれあなた達、聖騎士と闘うためにね!」


戦いは熾烈を極め、どちらも一歩も引くことはなかった。

夜空には流星が流れ、戦場は再び静寂に包まれる。



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