108 レンブラン王国の第一王女 編 part01
レンブラン王国の第一王女 クリスティーナ
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レンブラン王国の夜空には、輝く星々が瞬き、王宮の塔が月明かりに照らされていました。
王宮の中庭には、草花が豊かに咲き誇り、噴水が静かに水を奏でていました。
クリスティーナ「はぁ!もうやだ!」
その美しい庭園の片隅で、一人の王女が深いため息をついていました。彼女の名は、クリスティーナ・レティシア・レンブラン、レンブラン王国の第一王女です。
クリスティーナは、レンブラン王国の第一王女として生まれた時から、国の未来を背負う責任を教え込まれてきました。他には兄弟がいないために、王位継承権第一位になり、次期女王となります。
彼女は幼い頃から、王宮で行われるあらゆる儀式や典礼に参加し、厳格な礼儀作法を叩き込まれてきました。
(どこぞの第一王女と違って完璧に身に着けていた。)
絹のドレスに身を包み、金色の髪の彼女の姿は、まさに国民にとっての憧れであり、理想の王女像そのものでした。
(これもどこぞの第一王女と違って。)
しかし、クリスティーナの心の中には、常に押し込められた感情がありました。
彼女は幼い頃から、窓の外に広がる世界に強い興味を抱いていたのです。王宮の庭園で過ごす時間よりも、森や湖を駆け回りたいという願望が、日に日に強くなっていきました。
しかし、彼女の役割は決してそれを許すものではありませんでした。
父王「王女たるもの、常に気品を保ちなさい。」
宮廷の重鎮「冒険など王女のすることではありません。あなたは王国の象徴であり、未来を導く存在なのです。」
父王や宮廷の重鎮たちから日々繰り返されるこれらの言葉は、クリスティーナにとって重荷でしかありませんでした。
(こも点もどこぞの第一王女と違って真面目に考えていました。)
彼女の心は次第に孤立し、自由を求める気持ちは抑えきれないものへと膨れ上がっていきました。
(ここはどこぞの第一王女と同じ。)
彼女が本当に苦しんだのは、王宮の生活そのものがあまりにも規律に縛られていたことでした。
毎朝決まった時間に起き、決められた手順で朝の挨拶をし、定められた内容の勉強に取り組む日々。
どんなに天気が良くても、どんなに外の風景が美しくても、彼女はそれを楽しむことができませんでした。
決められたスケジュールに従い、指導者の言葉を一字一句逃さずに覚え、完璧に振る舞うことが求められたのです。
特に辛かったのは、彼女が心から話せる相手がほとんどいなかったことでした。
(どこぞの第一王女は、いつも弟に憂さ晴らしをしていた。)
侍女たちは彼女を尊敬しすぎていて、友人として接することができませんでしたし、宮廷の貴族たちはクリスティーナに自分たちの利益を考えて接していました。
(どこぞの第一王女は侍女からも舐められていた。)
父王でさえ、娘を愛しながらも、彼女の自由な精神を理解することができませんでした。
(どこぞの第一王女は、父親に甘やかされていたので、仲は良かった。)
そんな日々が続く中で、クリスティーナは次第に宮廷の生活に耐えられなくなっていきました。
毎日の礼儀作法の稽古や、政務についての講義は、彼女にとっては束縛の象徴でしかなくなっていたのです。
外の世界に憧れ、冒険を夢見ていた彼女にとって、宮廷の厳格なルールは自由を奪う枷のように感じられました。
彼女は長い間、王宮の中で与えられた役割に縛られ、外の世界に対する強い憧れを抱いていました。その憧れは、次第に新たな冒険や未知の世界を探求する熱望へと変わっていったのです。
クリスティーナがライラとアリスのことを知ったのは、そんな時でした。
レンブラン王国は魔法と科学の両方が発展しているため、国中にはさまざまな研究者や冒険者の情報が集まります。王宮にもライラとアリスの冒険と研究の噂や成果が届いていました。
エクリプスの一件で、ライラは次元間の歪みを研究する天才科学者として、またアリスはその協力者として広く知られることとなり、彼女たちの冒険と研究は王宮内でも話題になっていました。
クリスティーナ「私もエクリプスの都市に行ってみたい。」
クリスティーナは、王宮の図書館で古代の書物や王国の歴史を学ぶうちに、次元間の探検に興味を持つようになりました。そして、最近の報道記事にライラとアリスの名前がしばしば登場することに気づきます。
クリスティーナ「なんなの?この子たち?この子たちと歳も違わないのに。なんか楽しそうにしている。私もとっても冒険してみたい。次元の研究もすごく興味あります。」
二人が次元ゲートを開発し、異世界へと旅立とうとしていることを知ったクリスティーナは、その冒険に心を惹かれ、自らの手でその道を切り開きたいと考えるようになりました。
クリスティーナ「私も異世界に行ってみたい!」
彼女は宮廷の厳しい監視の目を逃れ、ライラの研究所の場所を突き止めると、ある夜、満月が空高く昇る頃、クリスティーナはついに決断しました。
これ以上、自分の心に嘘をついて生きることはできない。宮廷の生活から抜け出し、自由な空の下で自分の人生を歩みたいと強く願ったのです。
クリスティーナ「私! 決めたわ!」
その夜、クリスティーナは決心しました。
彼女は王宮を抜け出し、自由を求めて世界を探検する旅に出ることを。父王が熟睡している隙を見計らい、彼女は魔法で編み出した軽やかなケープを羽織り、王宮の高い壁を飛び越えました。
王宮を飛び出したクリスティーナは、直接ライラとアリスのもとを訪れ、自分の冒険への強い願望と共に、次元間の探検に参加したいという決意を伝えたのです。
クリスティーナの突然の訪問は、ライラとアリスにとって驚きでありながらも、興味をそそる出来事でした。
王女が彼女たちの研究所を訪れること自体が異例でしたが、さらに驚くべきことに、クリスティーナは次元探検への強い意欲を持っていたのです。
クリスティーナ「私は、この王国の未来を担う者として育てられました。しかし、その重圧に耐えるだけの日々を過ごすことに限界を感じています。もっと広い世界を知り、私自身の力で何かを成し遂げたいのです」
クリスティーナは情熱的に語りました。
ライラとアリスは、お互いに目配せをしながら、クリスティーナの意志の強さを感じ取りました。
王女としての役割に縛られるのではなく、自らの力で世界を探求したいという彼女の願いは、二人の心にも共鳴しました。特にアリスとは似てる境遇なので、とても気持ちが理解できた。
アリス「第一王女だよね。次期女王だよね。いいの?」
クリスティーナ「ぜひお願いします!なんでもします!」
ライラ「話はよくわかった。」
アリス「すごく気持ちはわかるけど、大変だよ。」
クリスティーナ「大丈夫です。私はなんでもやります。」
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ディネ「同じ第一王女なのに、全然違うわね!」
アリス「同じじゃん!」
ディネ「違うでしょ!気品が!」
アリス「気品も同じでしょ!同じ第一王女なのだから。」
ディネ「アリスには気品がないでしょ!」
アリス「えっ!ないの?」
サラ「ポンコツだからね!」
アリス「ポンコツ言うな!ショック!」
ディネ「クリスティーナ王女には、叡智を感じるけど、アリスには叡智のカケラもないからね。」
アリス「ないの?」
ディネ「勉強しないで、剣術の稽古ばかりしていたから、仕方ないけどね。」
サラ「勉強できないからね!バカだから!」
アリス「バカ言うな!」
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ライラ「じゃ。私たちと一緒に来る? 未知の次元を探検しましょう!」
ライラは微笑み、クリスティーナに手を差し出しました。
アリスも「一緒に冒険に出ましょう」
と励ましの言葉をかけました。
こうして、クリスティーナはライラとアリスと共に、次元間探検の旅に出発することになりました。王宮の壁を超え、新たな世界への冒険が始まったのです。