第1章❤️ :41年越しの謝罪
・・・ぼくがふたたび、美絵子ちゃんの消息をつかんだのは、令和5年、
2023年の初夏の頃。
ネットで彼女の名を検索していたときに、突如、その情報が飛び込んできたのだ。
そこでぼくは、彼女が独身で、立派に地域に根ざした活動をされていることを知った。
彼女の近影に宿る、その面影から・・・
僕「だけ」が気づいた。
見間違うはずがない。
だって・・・
あれだけ毎日、仲良くしていたじゃないか・・・。
2年も、本当に仲むつまじい、ゆるぎない『小学生カップル』だったじゃないか。
一度は引き裂かれ・・・
もはや、二度とお互いの安否や現状を知る機会が永久に訪れないだろうと思っていた矢先・・・
『奇跡』が起きた。
ぼくは、愛する彼女と、実に41年ぶりに電話で「肉声」を交換しあった。
・・・寄付を巡る、そりゃあ、単なる「ビジネス会話」に終始してしまったけれども・・・
まぎれもなく、美絵子ちゃん本人だった。
うれしかったよ。
いまも、彼女の第一声・・・
電話口ではあったが、受話器をとり、ぼくに直接、
「もしもし、○○です!」
と、元気よく告げた、あの声が忘れられない。
ぼくがかつて毎日聞いていた、幼少期の彼女の声ではなくなっており・・・
低いトーンの、大人の女性のボイスに変化してはいたものの、
41年ぶりに言葉をかわすことができたのだった。
ぼくは彼女に・・・
はじめて出会った1980年にも、
そして、円熟して、これ以上ないほど理想的な『小学生カップル』として、自他共に認める仲だった、1981年においてさえも・・・
「美絵子ちゃん」と、下の名前で呼びかけたことは、ただの一度もなかった。
そしてまた、
処女作『たからもの』の序盤同様・・・
「センテンスを伴う愛の会話」も、ついに、一度もすることはなかった。
・・・そういった意味では、とっても「奇妙奇天烈なカップル」だったといえよう(苦笑)。
でも、それでもぼくたちは、お互いに心が通じ合っていた。
通い合っていたんだ。
それだけは、自信をもって、誇りをもって言える。
そしてぼくは・・・
今回の『奇跡』をのがすことなく、今度こそ、彼女に正式に、あの『魔物事件』について、心からの謝罪もできたのだった。
ぼく自身が、長い長い暗闇のトンネルの中・・・
ずっと孤独に背負いつづけてきた、「重い十字架」から、実に41年ぶりに解放された瞬間だったのだ・・・。
m(_ _)m