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童話・児童書などまとめ

ぬいぐるみナイトパーティー

作者: 枯谷落葉




 ぐっすりおねむの時間。


 子供たちが眠ったら、ぬいぐるみ達はおもちゃ箱から飛び出した。


 人形や車、積み木達も騒ぎ出す。


 暗闇の中、静かなままで騒ぎ出す。


 昼間は自由に動けないから、思う存分に動き回る。


 おもちゃだけに与えられた魔法を使って、おもちゃの世界を作り出す。


 かけっこ、つなひき、運動会。


 おしゃべり、おえかき、なんでもできる。


 遊べる場所はいろいろで、公園、遊園地、どこでもオッケー。


 




 押し入れからでてきた、クマのぬいぐるみ。ぺーたんも、皆にまざって楽しい時間を過ごしていく。


 けれど、思う存分とはいかないようで。


 どうしようかな、と困っていた。


 この家にやってきたばかりの、新米ぺーたん。


 作り立てで新品だから、ほつれも汚れも、ぜんぜんない。


 この体が綺麗じゃなくなるのは嫌だな。


 そう思って遊ぶのは、みんなよりもちょっと控えている。


 けれど色んなおもちゃ達がやってきて、ぺーたんの腕を引っぱっていく。


 一緒に遊ぼうよ。


 楽しいよ。


 そう言いながら。






 けれど、ぺーたんは踏ん切りがつかない。


 せっかく綺麗につくってもらったのに、と。


 そんなペータンに、昔からいる木こりのおもちゃが話しかける。


 どんなものでも、ずっと綺麗なままでいることはできない。


 おもちゃは誰しも、汚れて壊れていく。


 それは、他の物よりもずっと早くそうなる。


 だけど悲観することはない。


 その分、楽しい思い出を作ることができるのだから。






 

 木こりのおもちゃの言葉を聞いたぺーたんは、思いきって遊ぶことにした。


 たくさんほこりがついて、汚れもついたけど、確かに楽しい思い出がいっぱいできた。


 だからぺーたんは、昼間も隠れていないようにしようと思った。


 今までは、汚れやほつれがいやで、押し入れに隠れていたけど、自分が経験したような楽しい思い出を、子供にも分けてあげたいと考えたから。






 やがて夜が終わって朝が来る。


 ぬいぐるみ達は動かなくなって、おもちゃ箱でしずかになる。


 その中でには、クマのぺーたんも、一緒に入っていた。



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