17歳編②
確かに以前と比べて、セレーネの巫女としての力は強くなってきてはいる。しかしながら、セレーネの巫女としての力は波があり、調子のよいタイミングの予測も、未だ誰にもつかめてはいないのである。
「セレーネが一人前の巫女になるには、勇者ガレット…あなたのお力がどうしても必要なのです。」
3年前、巫女の集落の長から言われた言葉が、セレーネの力が強まるにつれて妙に引っかかるようになった。それに、3年前に集落のご神体の前で嵐を止めた事…思い出そうとしても、なかなか思い出すことができない。セレーネ自身も覚えていないと言うし、ヨハン達はいちいちはぐらかすので、どうにもスッキリしない。何か、思い出せるきっかけがあれば…
「そういや、俺が去年最後のステージの時…」
不意に思い出した、カノン・クレープ=シュクレとしての最後のステージ。最後の曲の時に放った光の魔法は、普段のカルマンよりも強力な魔法だった。歌で力が増幅していたとはいえ、あの時の魔法は確かに普段とは違うレベルだったのだ。
「あれっ…あの時…俺、ステージの前に…」
「お前の力で、俺は勇者として力を取り戻した。だから、俺の復活劇…ここでしっかり見とけよ?」
そう言いながら、カルマンはセレーネにキスをしていたのであった。それが自身の光の魔法が強力な光の魔法となった事に繋がった事を思い出した刹那…
「つまり、3年前に嵐を止めたきっかけって…」
無意識だったとはいえ、その時セレーネにキスしたという事実は変えられない。嵐を止めた原因が何なのかわかった途端、カルマンは客間の隅で顔全体を真っ赤に染めながら項垂れてしまった。
「シュゼット様が言ってた事って…つまり…」
「娘が力をコントロールできるのは、勇者様のキスしかないのです」
思えば、勇者としての力を取り戻して以降、事故を含めて何度もセレーネとキスを交わしてきた。その度に、何度もセレーネの力に助けられてきた。その現実を知った途端、カルマンは更に恥ずかしい気持ちに陥ってしまったのだった。




