狂った始まり
ルエディア王国。
この王国はこの大陸最大の国であり、魔法技術、商業、政治、などなどあやゆる分野で栄えている王国。
魔法技術が特に進んでおり、この国の王族や王族に近い血統の五つの公爵家『五摂家』などの人間は『固有スキル』を持って生まれる。
この固有スキルは普通の人が持つ魔法技術に加えて、珍しい魔法を使える様になったり、元々ある魔法の威力を高める効果がある。また、魔法では無い異能を使える様になる者もいるらしい。
この固有スキルは色々な人から羨ましがられ、憧れるものなのだ。
固有スキルを持った者は幸せになれる。
固有スキルを持った人は誰からも愛される。
などなどいい事しかないような固有スキルだが、人によっては地獄の様に、呪いの様に感じてしまう。
***
五摂家の一つ、ジェルディア公爵家。
この家には五歳の次男が生まれていた。今、十二歳の兄もいたが、学園に入学したため家には居なかった。
次男の名をオーウェン。小豆色の艶やかな髪を持ち、同じく小豆色の目を持った可愛らしい容姿の子供だった。誰から愛されてもおかしくなかった。いや、ある日までは愛されていた。
「オーウェン!こっちおいでよ!」
よく近くの伯爵家に遊びに行き、歳の近い子と遊んでいた。
「あら?オーウェン、お花を咲かしたの?凄いわね!小さいのに魔法の才能があるのかもしれないわね。」
魔法を早く取得し、注目の的でもあった。
才能と美貌があり多くの人が可愛がり、期待していた。
そんなある日
「オーウェン、この香水は魔力を測れるの。少し、垂らしてみてもいいかしら?」
母に香水を垂らされそうになった時だった。オーウェンの固有スキルが覚醒したのは。
この香水は魔力量により匂いが変化する品物で、鑑識術式を埋め込んだ魔力の塊でもあった。
そして幼いオーウェンは香水の匂いがとてつもなく嫌いだった。嗅覚が鋭かったのだ。
「い、いや!やだ!」
オーウェンは強い拒絶をしたが、オーウェンの母は聞き入れなかった。段々と近づいてくる香水の匂いに耐えられなくなったオーウェンはありったけの力を身体に込めた。それが魔力だとは知らずに。
バーン!!!バチバチバチッッッ!!バンバン!!
けたたましい音が部屋中を鳴り響いた。