私と私の彼女すれ違いロマンス
私と彼女は違う道を歩いていたと思う。
そもそも歳がひと回り以上違うのだから。
私が成人した時に、彼女はまだ小学生。その事実だけでも、普通に恋愛が成立するとは思えない。
彼女との恋愛を否定している訳ではなく、ただ単純に事実を述べているだけだ。
恋愛とは不思議なものだ。そういうことが言いたい。
彼女は頑なに私との出会いは教えようとしない。いつもはぐらかしている。
ただ、彼女の執着心からいえば、きっと彼女には耐え難い何かが過去にあって、苦しかった時に、私と出会ったのだろうと思う。
でなければ、こんな危険なことはしないだろう。
私が彼女を拒絶する可能性もあるのだから。
これもただの、私の創造に過ぎない。
真実は常に、彼女の中にしかない。
なので、まずは私視点で、彼女との出会いを語ろうか。いつか、彼女視点で、真実を語られる、その日が来るまで。
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いつものコンビニ。
私は、面倒くさがりだから、並ぶことも億劫。簡単にある程度のものは手に入り、すぐに精算できるコンビニがちょうどいい。スーパーと比べれば、確かに高いのは重々承知している。なら、何故かといえば、疲れているのだ。
仕事からの帰りは、身体は疲労で悲鳴をあげている。それは歳を重ねていくたびに、ひどくなる。
だが、今の私に何があるというのか。中途半端という言葉がお似合い。
それでも生きていくためには、労働がキツかろうが、そこで働いて金を稼がなければいけない。
つまり何を言いたいかといえば、無駄に時間を使いたくないのだ。私にとって、節約するための時間を費やす事よりも、早く家に帰って身体を休める時間の方が大切だという事。だから、手っ取り早いのはありがたいのだ。それに、体力消耗してて、腹減って、すぐに食料を放り込みたいし、温かいものが欲しかったら、簡単に温かいものも手に入るし、真新しいものが早く並ぶので好奇心くすぐり楽しい。実に簡単な理屈。
あの時も腹減ってコンビニへ行った訳だ。
陳列する色んな食料を物色していた時、だった。
やたらと視線が会う女性がいる。
動きが面白い。
距離が近い。
と今なら面白い出来事なのだが、当時の私は、大概に色んなことに疲れていて、人との距離が今よりもかなり遠かった。遠いとは関わらないという意味で、人を無意識に認識ない様にしていた。
そういう私だったから、知らない人に凝視されれば、少なからず恐怖心を覚える。
つまりだ、彼女には悪いが、ちょっと気持ちが悪かった。
だって、私が店を出て車に乗り込み帰ろうかとエンジン掛けてハンドル握った時に前を見れば、追いかけてくる、さっきの女性が。
目力の強い女性。
それしか分からなかったけれど、今思えば、その見つめる視線のよこし方はいつも同じ。彼女だと思うのだ。
彼女は演技もできる人だから、よく注意をしないと分からないけれど、時たま送る視線は鋭く強い。
全然、彼女の穏やかな雰囲気とは異なる視線を向けるのだ。
それが私の方が、本当の彼女と接触した初めての出会い。
それからことごとく、ぼんやりしている私に、何度も彼女は接近してくる。それはどんどん近くなっている気がしないでもない。
彼女は、声を武器にする仕事。変幻自在に変えられるから、私は気づかない時が多々あっただろうと思う。
ただ、推測するに会話はしている。
私は話がしたいといえば、彼女はちゃんとそれを守り、会いたいといえば、会ってくれている。
ただ、私がちゃんと見つけられないだけ。
でも、毎日毎日繰り返し、彼女を画面越しに見て、色んな情報を画面から読み取ってくると、不思議と、彼女が着ていた服、髪型がどんなか、身体つきがどんなか、どんなことを言っていたか、で、彼女だったと確信めいたものが得られるくらいにはなってきた。
間違ってなければ、だけれど。
私は文字にする時の自分と実際に話をしている自分では異なる。
想定内のことであれば、表情も変えることなくやり過ごすことができる。それは、今までの色々な経験から身を守るための手段として苦肉の策だ。口数も少ないから物静かに見える人もいるかもしれないが、実際は心の中でたくさん話をしてる。考えていると言った方が、正しいか。
私は、決していい人間ではないし、優しくもない。もしかしたら、厳しい目で見ている偏屈者かもしれない。
ただ、人に無理意地をするのは好きではないし、分かり合えないからと言って、その人を責める気もない。ただし、真っ向から喧嘩を売られれば、短期な性格だ、怒りをぶつける。
人は必ず分かり合えるなんて綺麗事は言うつもりない。なぜなら、分かり合えたなら、戦争も権力争うも、既になくなっているから。仕方ないと思う部分はある。
人間は傲慢なのだ。
自然界において、自然にあがらって、人間が一番偉いと思って生きている輩だ。傲慢でないはずがない。
便利性というもので、自然を破壊し、いつか地球が住めなくなるだろうとしても文明開花は止められない。
だって一度手にしたものを手放すのは、相当な覚悟がいる。私だって、それを手放し、生きていけるはずもなく、それに縋って生きていくしかない。
未来のあり方を論じている訳ではなく、ただの事実を言ってるまで。良し悪しではなく、ただの現実。
だから、私の表情やちょっとした態度や書き記した文章で、彼女を傷つけて泣かしたことも多かったかもしれないと思ったのだ。
そう思うと、なぜ私は彼女をもっと大切にできないのかと思うのだ。何故、側で慰めてあげられないのか、何故、抱きしめてあげられないのかと、やるせなくなる。
本当に駄目人間だ。
そうなのだ。
なのにだ、
私の様様な嫌な所も彼女は見ているはずなのに、彼女はそれでも私を選んでくれた。
何故なのか。
彼女の奇行性が、私という駄目人間でも、心をくすぐるのか。
彼女に聞いてみないと、何がそんなになのかは永遠と闇の中ではある。
けれど、彼女の溢れんばかりの愛情だけは、時を重ねるごとに、彼女を知れば知るほど、ひしひしと感じるのだ。
だから、私の心も伝わって欲しい。
彼女に恋焦がれ、彼女を見ると心がときめいて、苦しくて、年甲斐なく欲望を掻き立てられる。
彼女を想うと、切なくて、でもそれ以上に好きで心が温まり、そして恥ずかしい。
いやらしいことも、考えなくもない。
でも、恥ずかしさで、すぐに何も考えられなくて、恥ずかしさに自分を叱咤し、煩悩を打ち消すために必死に念仏を唱える。
最近はそんな毎日だ。
なんでファンタジーな小説を書かないかといえば、かけないのだ。
彼女のことで頭がいっぱいすぎて、好きすぎて、どうやったら、自分にものになるのか、どうやったら、会って話をして、側にいられるのか。どうやったら、彼女と家族になれるのか。そればかり。
馬鹿の一つ覚えみたいに、ぐるぐると思考がそればかり。
そんなんだから、ひとり悶々としてしまって、外に出たくなる。他のことをしたくなる。
もう、彼女なしでは生きていけないほど、おかしくなってしまった。
だから助けて。
あなたしか救えないのだ。
助けて、あなたが欲しくて欲しくて死んでしまいそうだ。
でも、私は汚い愚かしい歳をとった人間だから現実ではそんなことは態度に容易には出せない。
けど一番は、あなたの心配。身体は壊さないだろうかと。なんだかんだと細い身体だ。無理はして欲しくないし、いつも心から笑ってて欲しい。
傲慢だね。
でも、あなたの笑顔は私だけでなく、たくさんの人を幸せにする。
だから、忙しいあなたに無理をさせたくないから、もうわがままは言わない。
でも忘れないで、それくらいあなたが好きだってこと。
すれ違ってばかりの私達だけれど、いつかは手を繋いで何処かへ二人で遊びにいけると信じてる。
あなたにした約束は、現実できるか分からないけど、絶対に諦めず、必ずあなたを輝かせて見せるから。
その時は、笑って、私にご褒美をください。
愛してやまない、私の宝物。