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魔王の結婚  作者: ちゃい
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レイナード

レイナード副騎士団長の視点です。

 大国②からN国へ正式な騎士団派遣の要請がきてから一週間、同盟国としての範囲内でさまざまな作戦がすすめられていて、それを止められている。


 大規模魔法を広大な草原で使うことができるし、新兵器も用意されているというのに、ユーリ宰相補佐からストップがかけられたままだ。待機しているばかりで何もできない。


 他国の戦争をチャンスととらえるのは申し訳ないが、攻撃魔法を禁止されている魔法騎士は、いつでも自分の実力を試したいのだ。せめて訓練の許可だけでも取りたい。


 白の塔の魔術師のケントになんとかならないものかと軽くきいてみたが、大規模魔法を使ってみたいなどという気持ちは理解できない、と逆にいわれてしまった。


 しばらくするとユーデイア国との商取引がすべて禁止され、肥沃な土地があるとはいえ、ユーデイアは孤立していった。国境はすべて封鎖している。国境の町に革命軍がいないのか、N国騎士団が認知されていないせいなのか、地元住民はのんびりしていて友好的だ。


 属国でも独立国でもどちらでもかまわないという。

 多くの騎士でにぎわっているならこれはこれでいいというおおらかさだ。革命軍は何をしているのだろうか?


 さて、ユーリさんはいまだにストップをかけているが、この慣れきった様子はどうしたものか。久々に休暇を申請して消化してしまおうと思わせるほど平和だ。美しい土地である。

 暴走する者が出るほどゆるんではいないが、休暇が多すぎるのは調整していかねば。私が一番暴走の心配をされているなど、あってはならない、冷静になろう。


 そしてなぜか休暇をとるように説得されて町へ出た。


 市街地は百年前の生活を再現したようななつかしい町並みで、人々の生活は新しい技術や魔法に頼らない古い生活スタイルだった。手作りの店、素朴なお菓子、職人の手の技が生かされたさまざまな道具、どれも高価ではないが、心ひかれるものがある。

 これは…経済封鎖の意味があまりないのだろうか?


 騎士団が美しい風景や市街地でリフレッシュしていたところ、野営では困るだろうからと、砦を築くようにという指令がきた。さらに草原で攻撃魔法の訓練もできるようにするという話になった。


 砦は国境に沿って長大なものになるらしく、しばらくは建設に手間取るようだ。とりあえず中央に宿泊棟をつくり、城のようなものが完成したら左右に長く壁を付けたしていく。材料の調達が一番大変だろう。

 設計図と材料がそろったら、あとは魔法ですぐに建てられるのだ。


 設計図と土地を確認したり、魔術師の配置と役割りを考えたりしてるうちに、三日後、材料が届くことになった。


 城になろうという場所に、定刻どおり、切りだした石とレンガが現れたのを少し離れた所で見ていた。

 ずいぶん正確な仕事をする魔術師だと感心して、その宮廷魔術師の指導者にあいさつをしようと近づくと、石の影からひょっこり現れたのはケントとフィルだった。


 「お使いに来ました、城用の石です。受け取りお願いします」

とのんびりした声のフィルに紙を渡された。確認作業を終えたあと


 「攻撃魔法用の結界張ります、少し離れてくださーい」

といつもの単調なケントの声がする。


 結界とはこのようなものだっただろうか。強大で美しいとさえ思える魔術がケントの手から空へうねるように放たれている。

 空中でありえないほどの力が渦巻いていて、誰もがあっけにとられて空を見上げている。

 これが最強の魔術師の力。ケントは平気な顔でそれを操り、五キロメートル四方くらいの大きな結界を張った。


 「小さいようならまた言ってくださいね」

 ぼんやりみていた私たちを残して、新人魔術師は去って行った。


 

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