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第七話 異世界人の憂鬱

俺の名はトドロキヒリュウ。またの名を超人テレックス。

異世界に飛ばされた俺は元の世界に戻る手掛りを求めて

魔道国にやってきたのだが入国する前からトラブルに巻き込まれていた

と言うか起こしていた

「ぐああああああっ!!!」

全身をもの凄い激痛が走り抜ける

「すまぬ、ヒリュウ君!もう少しの辛抱じゃ!」

手術台に寝そべるヒリュウに

コガラシ博士が声をかける

ヒリュウの全身には沢山のコードが取り付けられており

今まさに”超人テレックス”として生まれ変わろうとしているのだ

「肉体の改造手術は終わった!後は機械の部分にエネルギーを充填するだけじゃ!」

叫ぶように機械を操作するコガラシ博士


悪魔王エンダイドの地球侵略作戦が始まり

その最初の戦いで重傷を負った軍人のこの俺「トドロキ 飛竜ヒリュウ

世界中の軍隊が敗北し壊滅してしまった

もはや蹂躙されるのを待つばかりだった人類に残された最後の希望

コガラシ博士が提唱する人体強化計画の一環である

”超人計画”

その被検体になることで俺は悪魔王と戦う術を手に入れるのだ


「ぬああああ!ま、け、て、な、る、も、の、かぁぁぁぁぁ!」

絶叫と共に折から天気の悪かった曇天から雷が建物に直撃した

「うぉ」

計器類が雷の電気でショートする

火花が散る中で

俺の身体にエネルギーを注入中だった計器が

倍以上のエネルギーを発生させる

おびただしい火花と電気エネルギーの中で

メインである”電波発生器”から特大の電波が俺の五体に降り注いだ

まばゆい光に包まれた俺は

こうして”超人テレックス”として生まれ変わったのだ

みなぎる力に確信を得た俺は手術台から起き上がる

「待っていろ、悪魔王エンダイド!貴様の野望は俺が打ち砕く!」








「もうよい、キャシーン」

魔道国の王様が

異世界人と紹介された魔法使い?

の人物に声をかける

「ですが王様、この者らは危険です。特に中央のオトコが」

声を聞くと若そうだ。どうやら女性の様だが

服装のせいかよく分からない

「そうか・・・では衛兵」

王様が先程からポカンとしている衛兵に指示を出す

「そのものらを拘束し、王宮にて取り調べを行う」

凜とした王様の声にびびびんと弾かれた衛兵達

「は、ははっ!皆の者、ひったてい!」

衛兵隊の隊長が部下に指示を出す

あっと言う間にロープの様な物でぐるぐる巻きにされるヒリュウ達

それを見届けたキャシーンと呼ばれた異世界人はようやく魔法を解いた

ツタのようなモノがふわっと消えると

ヒリュウ達は衛兵達に引っ張られた

「さぁ、きりきり歩けッ」

その間にもヒリュウはものすごい目力で睨んでくるキャシーンに

こっそりセンサーアイで調べてみた


骨格・・・女性か・・・機械とか人外・・・ではないか

装置の類いは持っていない・・・とすれば・・・


まさしく先程のヒリュウ達を拘束したのは非科学的なナニか・・・

「魔法、か」

ボソリと呟いたヒリュウの言葉に反応するキャシーン

そんな不遜な態度のヒリュウにますますきつい視線を飛ばしてくる

そんなキャシーンから視線を外したヒリュウは

そんなチカラが存在するなら・・・

自身の求める元の世界に戻る方法、に希望が持てた気がした




いかにも王宮、いかにも王様のいる場所

的な場所に鎮座しているヒリュウ、ロミ、ジュリ

引っ立てられて早々、王様の玉座の面前に連れてこられてしまった

「・・・超イヤな予感がすんだけど」

ロミが五感センサーにビンビン感じているようだ

「言っときますけど、アンタのせいだかんね」

ジュリが小声でロミをなじる

「なにおう!お前だって悪いじゃんかよ!」

ロミが負けじと小声で反論する

「そこ!大人しくしろ!」

早速めざとい衛兵に見とがめられる

しゅんとする二人

その様子を肩越しに見ながらやれやれと軽く溜息を付くヒリュウ


玉座の近くに並んでいた楽器隊が

音楽を響かせファンファーレが鳴り響く

「魔道国国王ヌグン様、おなり~~」

音楽が鳴り終わる頃

衛兵の一人が大声で王の到着を告げる

先程よりも遙かに豪華で、かつ歩きにくそうな衣装を身に纏い

魔道国のヌグン王が現れた

「皆の者楽にせよ」

ヌグン王が玉座に座り声をかける

それを合図に衛兵達は一斉に軍隊式の休めの姿勢を取った

「では早速・・・そこな者達。改めて名を聞こうか?」

ヌグン王が尋問よろしくヒリュウ達に質問を開始する

その間を縫ってキャシーンがすうっと言う感じで

玉座の側に現れた

「俺の名はヒリュウ。トドロキ・ヒリュウだ」

凜とした声でヒリュウが名を告げる

「お、俺はロミ、ロミだ」

「私はジュリ、と申します」

ヒリュウに続いて後ろの二人も名乗りを上げる

「ふむ・・・ヒリュウにロミ、ジュリとな」

復唱すると記録係らしき人物がなにやら紙に筆を走らせる

「さて先程も聞いたが・・・ヒリュウ、そなた異世界から来たと?」

顎に手をやりながらヌグン王は寛容に尋ねる

その様子を見ながらヒリュウは頷く

「後ろの二人は?」

「お、俺は、いや、ワタクシはここから離れた町から来ました!」

「私は、その隣の町からです」

ヌグン王の問いにロミやジュリが慌てて答える

「そうか・・・ではヒリュウとやらのみが異世界人、というわけだな」

ざわつく衛兵達や王宮の人間達

「で、俺は元の世界に帰りたい。その方法を知らないだろうか?」

「まぁそう急ぐでない」

ヒリュウに答えを告げるのを値踏みしているようだ

ヌグン王はヒリュウをじろりと見つめる

「そこなキャシーンは異世界人、と言うたのは覚えておるな?」

「うむ」

「キャシーンは先程も見せたとおり魔法を使える」

キャシーンは微動だにせずヒリュウを睨んでいた

「そこでじゃ、ヒリュウ。お主、先程の素早い体術の他に」

ヌグン王の目の奥が光をともす

「何が出来る?」

どうやら異世界人の特殊能力が目当のようだ



「成程。王様は異世界人の特殊能力が欲しいのか」

ヒリュウは思った事を口にしていた

「無礼者!口を慎め!」

衛兵の何人かがいきり立つ

それを片手で制する王様

「欲しいというか、興味がある。無論、有益なモノならば欲するがな」

結局”欲しい”と言ってしまっているヌグン王

「俺の特殊能力、か」

ヒリュウはそう呟くと拘束されたまま立ち上がる

「ふん」

気合いを入れると全身に力を込める

拘束していたロープが弾け飛ぶ

「ではお見せしよう。俺の真の姿を」

そう言うと左手の腕時計型電波発信器を掲げる

変身チェンジ!!」

声に反応し文字盤に当たる部分が発光し振動する

特殊な振動をキャッチした腰に内蔵された変換器が

瞬時にヒリュウの身体を強化外骨格で覆っていく

僅か数秒でヒリュウは”超人テレックス”に電波変身を終えるのだ


「ほぉぉ・・・!」

変身を終えたヒリュウを見てヌグン王が嬌声を上げる

それを見た周りの家臣団も同様だ

恐らく初めて目にしたであろうロミとジュリも驚きを隠せない

「あ、アニキ、すげぇ・・・」

「そ、こ、こんなスキルを持ってたの・・・!」

遠目でも分かる歴戦の戦士と言った佇まいに

大広間は静まりかえる

「これが俺の・・・そうだな。此方の言葉で言えばスキル、てやつかな」

「むむむ・・・してその姿では何が出来る?」

ヌグン王は興奮してらっしゃるようだ

「出来る事、か・・・」

超人テレックスとなったヒリュウはおもむろに辺りを見回した

広間の端に手頃な大理石の石像が目に付く

つかつかとその像の側に歩み寄った超人テレックス

身長の倍はあり、重量も300㎏は超えるかという石像の台座を

無造作に左手で掴むと

「ほぃ」

軽々と持ち上げて見せた

広間にいた全員がどよめく

「こんなのは小手調べにもならんよ」

そう言いつつ超人テレックスは石像を元の床に戻す

「桁外れの力技か・・・」

ヌグン王は少し興奮を抑えつつ呟く

「さて、此方は少しばかりだが手に内を見せた。次は・・・」

「ま、まぁ、待て」

ヒリュウが問いただすのをヌグン王が遮る

少しの間静寂が場を支配する

「実はじゃな・・」

静寂を破って声を発したヌグン王に

また面倒事か、と

ヒリュウは心の中で予感していた

「お主の能力を見込んで頼みたい事があるのじゃ」

そらきた・・・

「この国の属領で近頃不可解な事件が起きておっての」

思わず下を向いてしまう超人テレックス

「つまり、それを解決する事が情報の交換条件だと?」

「察しが良いの!その通りじゃ!」

心の中で軽~く溜息をつく

「もう一つ、条件がある」

「何だい?」

もはや何でもこいや、という感じの超人テレックス

「このキャシーンを同行してもらうのが条件じゃ」

未だにおっかない目力で此方を凝視しているキャシーンに

更に面倒になったな、と

超人テレックスとなったヒリュウは

思わず握り拳を作ってしまうのだった

魔道国の王様に与えられた命題を果たす為

その属領に向かうヒリュウ達一行

果たしてその地で待つ事件とは一体何なのか?

次回”超人テレックス”

第八話 敵の影

「俺は、必ず元の世界に戻る!!」

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