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第一話 参上! トドロキ・ヒリュウ!

俺の名前は”トドロキ・ヒリュウ”またの名を”超人テレックス”

電波の力を借りて変身する改造人間だ

人類の敵”悪魔王エンダイド”を倒す為

”コガラシ博士”によって生み出された存在だ

長い戦いの末ヤツを倒した俺だが「必ず復活する」との呪いの言葉を受け

俺は長い間待つ事に

・・・だが、ヤツは一向に復活する気配すら見せなかった・・・


「行ってきまぁす!」

元気に自宅を飛び出したのは獣人族のキャミィだ

特徴的な獣耳と口角からはみ出す牙がチャームポイントだ

勿論ふさふさな尻尾も忘れてはいけない


此処は異世界”ナーヴァデ”にある獣人国家”ルマニア”

獣人族で構成された国家だ

因みに”ナーヴァデ”に住んでいる他の種族は

尖った耳と細身の体が特徴的なエルフ族

小柄な体躯と機敏な動きが売りのホビット族

2mを超える身長と屈強な体躯を誇るギガント族

そのどれにも属さないヒューム族

この世界の種族は大まかに

以上の5種族で構成されている


そんな中で獣人族だけで構成されているこのルマニアは

同じ種族だけの集まりと言う事もあり治安は良好だ

活気もあり行きかう人々も皆生き生きとしている

「急がなきゃ」

そんな人通りの中をキャミィは急ぐ

突然

雑踏の中から悲鳴が上がる

「あ、暴れ馬だぁーーーッ」

獣人族といえど、重い荷車や荷馬車を使用している

そのけん引にはおのずと牛馬や他の動物等の力を借りている

だから稀にだがこういったトラブルも起こりうるのだ

逃げ惑う人々に押され

キャミィは一瞬だが逃げ場を失ってしまった

そして運悪く

暴れ馬の進路上に押し出されて倒れこんでしまった

「きゃあぁ」

「こ、こどもがぁ」

「早く馬をおさえろぉ」

状況を理解した周りの人々から怒声が飛びかう

だが

暴れ狂う馬は誰にも抑えられそうにない

「・・・ひっ、ひぃ」

顔を上げて自分が置かれている状況を理解したキャミィは小さな悲鳴を上げた

息も荒く荒れ狂う馬はもう目の前だ

その強靭な足に踏みしだかれれば

自分の小さな体など目も当てられない結果になるだろう

目を瞑り体を固くし

少しでもその被害を軽減しようと防衛本能が働く

ひひひぃぃん

暴れ馬のいななきが響く


「やれやれ・・・これも運命か」

そんな独り言を

ぺたんと寝かせた獣耳で捉えたキャミィ

ばしぃ

何かとてつもない打撃音が響き周りが静まり返る

キャミィが恐る恐る薄目を開けると

暴れ馬と自分の間にグレーのローブをなびかせた

仁王立ちの人間が立ちはだかっていた

よくよく見ると

暴れ馬はその人物に顎を下から掴まれている

その凄まじい力によって

暴れ馬は身動きが止まってしまっているのだ

ぶふっぶふっ

鼻息も荒く動き出したい馬だが

顎を抑えるに力に抗えないようだ

まだ動きが収まらなさそうな馬の雰囲気を察したのか

顎を掴んでいる人間はその腕を少しだけ突き上げる

ひひぃぃん

小さくいななきを上げて

浮いてしまった前足をばたつかせる暴れ馬

それを見て静まり返っていた人々が驚きの声を上げる

体重500キロを超える荷車用の馬だ

しかも動いて暴れ狂う馬だ

それを片手で動きを止めてしまったばかりか

更に両足が浮くほど持ち上げる

グレーのローブを羽織った人物

ギガント族程の身長はないが

常人よりも上背があり

体の厚みが並ではない

誰の目にもその力の強さは驚きに映った事だろう


皆が驚愕している中

徐々に暴れ馬が大人しくなっていく

何が原因で暴れだしたのかは解らないが

自らの下顎を押さえて持ち上げる人物に

敵わないと悟ったのか・・・?

ようやく大人しくなった馬を確認すると

顎を押さえていた人物はゆっくりと腕を下げる

浮いていた両足が地面につく

「・・・もう、暴れないか?」

理解するはずもない人語を馬に向けて発したその人物は

下顎を掴んでいた手を離すと

首筋を優しくぽんぽんと叩く

おぉぉと周りから感嘆とも称賛とも思える声が沸き上がる

グレーのローブの人間が今は大人しくなった暴れ馬の首筋を撫でていると

所有者らしき人物が馬を取り押さえる為に用意したであろう手下を連れて

ばたばたとやって来た


しきりに謝罪とお礼を述べる狐っぽい獣人の所有者に

若干困惑気味にその場を離れようとする馬を止めた人物

キャミィは自分も助けられた事を思い出し

慌てて立ち上がりその人物に近づいた

「あ、あのうぅ・・・」

おずおずと話しかけると

此方に気付いたようだ

「ぁ、た、助けていただき、有難うございました!」

キャミィは勢いよく御辞儀をする

「礼を言われるほどではない。そちらはケガとかしてないかい?」

どうやらグレーのローブの人物は男性の様だ

「は、はい。大丈夫です。あの、本当に有難うございましたっ」

再び勢いよく御辞儀するキャミィ

「あぁ。じゃあ気をつけてな」

その場を立ち去ろうとする男性に

「あ、あの!」

「うん?まだ何か?」

思わず声をかけてしまった

「そ、その・・・出来ればお名前を・・・」

少しおませなキャミィだった

「名前・・・名前か・・・」

グレーのローブの男性は顎に手を当て少し考えた後

「俺の名前はヒリュウ。トドロキ・ヒリュウだ」

男性はそう言うとローブをめくって顔を見せる

ニヤリと笑ったその顔は

獣人族ではない

ヒューム族のものであった




颯爽と登場した我らがヒーロー”トドロキ・ヒリュウ”

彼は異世界に来てさすらう内に獣人国に紛れ込んでいた

ここで彼を待つ運命とは?

戦え、ヒリュウ!負けるな、テレックス!

次回”超人テレックス”

第二話 野獣の咆哮

「俺は、必ず元の世界に戻る!」


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