49 それはグラビティな悪魔! その名もディアロス!!
色々あって遅れた てか忘れてたスマン!
それは冬先が自分のマイナスエネルギーで少しずつ ため込んだマイナスハートを定期的にジェンダーに献上するためにウルフェンと共にマイナスランドに来た時のことだった。
「おう、いつもすまねえな。だが何度も言ってるが、別に律儀に毎回 持ってこなくたって構わないんだぜ。お前たちにだって用事とかあるだろうしな。」
「いえ、どうせ俺もリュウトも暇なんで大丈夫ですよ。むしろリュウトなんか全然 外に出ないからちょうどいい運動になりますよ。」
ジェンダーが冬先とウルフェンに対して無理にマイナスランドに来る必要はないと言うが、ウルフェンは気にけける必要はないどころか冬先にとっては 必要だとジェンダーに伝える。
「俺は むしろジェンダーさんの言うことに従った方がいいと思うな!」
ウルフェンの言葉に対して冬先は反論する。
*****
「しかし、珍しいですね。ジェンダーさんが椅子に座ってるなんて。」
初めに違和感に気付いたのはウルフェンだった。
「ん?・・・・あー、そういえばジェンダーさんって いつも窓のところで寝てますよね。」
ウルフェンに言われて冬先もジェンダーが いつもの窓で寝ておらず椅子に座ってることに違和感を覚えた。
「ま、今日は色々あってな。めんどくさかったが早めに起きなきゃいけなかったんだよ。」
ジェンダーは あくびをしながら 眠そうに答える。
「というかジェンダーさんよく そんなところで寝れますよね。窓とか言っても、人ひとりがギリギリで寝れるスペースなんですけど。つーかガラスとかないから落ちたら危ない気がするんですけど・・・・。」
冬先は窓から下の景色を眺める。今 冬先たちがいる場所の高さは大体マンション9階くらいの高さであり、ジェンダーは窓で寝ていると言ってはいるが、実はただ壁に穴が空いてるだけである。
そしてガラスや柵がないため そこで寝るなど、一歩でも間違えばマンション9階の高さから落ちるのである。
それを想像した冬先は その危険性から思わず 「ゴクリ」と つばを飲み込んだ。
「いや、いつも落ちてるが問題は ねえな。それよりも落ちた後が問題だな。ここに来るまで歩かなきゃなんねえんだからよ。」
(いや、問題はそこじゃないんですけど!なんで死なないの?!)
しかしジェンダーは毎回 マンション9階の高さから落ちても無事なことに冬先は前回も聞かされはしたが、それでも驚愕する。
「だから いつも言ってるじゃないですか。柵くらい 付けた方がいいって。」
(いや呆れるよりも もっと言うべきことがあるだろ?!)
ウルフェンがジェンダーに対して呆れるが、それに対して冬先はウルフェンが 人間だったら余裕で死ぬ高さから いつも落ちてるが無事なジェンダーに驚きもせず それどころか呆れていることに驚いていた。
「でも柵とか作ったら俺は どこで寝ればいいんだよ。」
ジェンダーはあくびをしながら答えた。
(やっぱあれだな、やられ役とは言っても流石は悪役。そこらへんの人間よりぶっ飛んでんな・・・。)「あ、ジェンダーさん、変身って解いても大丈夫ですか?」
冬先はジェンダーとウルフェンに対して心の中で こっそりと称賛した後、自分の変身を解いていいかジェンダーに尋ねる。
「ああ、好きにしろ。誰かが入ってこようとしたら、適当な理由で追い返しといてやるよ。」
「すいません 助かります。」
ジェンダーの許可を貰った冬先は変身を解除する。
「もう変身が解けたのかよ。相変わらずリュウトのマイナスエネルギーは少ねぇな。」
冬先を見てウルフェンは冬先のマイナスエネルギーの量の少なさについて言及する。
「しょうがねえだろ 変身 維持するのにマイナスエネルギーけっこう使うし。しかもマイナスランドに行くためのゲート作るだけで更にマイナスエネルギー大量に消費するんだから、こうやって休まねえと帰れないんだし。つーかそもそも俺ごときの人間に契約を持ち掛けた自分を恨めよ。」
冬先はウルフェンに対して自虐的なセリフを吐いた。
「?、俺は別に・・・・・」
ウルフェンが冬先に何かを伝えようとした時、その瞬間だった。
「ここにいたか。たしか・・・・ジェンダーと名乗っていたか。」
「「「!!!」」」
突然、ジェンダーたちがいる部屋の何もないはずの空間から突然ブラックホールみたいな謎のエネルギーと共に、威圧感のある低い声が部屋に響き渡った。
予想外の事態に3名は驚く。特に冬先に襲いかかる衝撃は他の2名の比にならないものだった。
(男の声?!いつのまに?!幹部の誰か?!見つかったらマズイ!逃げられる?消す?)
以前、冬先はジェンダーから自分が人間だということをマイナスランドの者に知られると危険だからということで極力 マイナスランドでは誰かと会うのを避けていた。
なので冬先が人間だということを知っているのはウルフェンとジェンダーだけである。
しかし現在、冬先が変身を解いてる状態で見知らぬ者が来たことによって冬先の脳内はパニック状態となった。
「テメェ!何者だ!!」
(!、ウルも知らない奴?!)
だがここで冬先にとって予想外の事態が起こった。なんとウルフェンも謎の声の主の正体を知らなかった!
(どうする?俺の顔は人間だけどジェンダーさんと そんなに変わらない・・・・振り向くか?いや・・・・・怖ぇ~~~~~!!。)
幸運にも冬先は外の景色を眺めていた おかげで謎の声の主に顔を見られずに済んでいるが、同時に冬先も謎の声の主の顔や体が どんなものなのか分からずにいた。
「おいおい今更なんのようだ?同盟のことなら もう済んだだろ。」
冬先とウルフェンが今の状況に困惑してるなか、ジェンダーだけが いつも通りのテンションで話した。
それどころか ジェンダーのセリフは声の主が誰かを分かっている口ぶりであった。
「ジェンダーさん!コイツのことを知ってるんですか?」
ジェンダーが声の主との面識があることを知らなかったウルフェンは驚き、ジェンダーに声の主の正体を問う。
「そういや お前らには まだ話してなかったな。今日 俺たちと同盟を結ぶことになった、「ジャマル」っつう組織の幹部で・・・・・・・。」
ジェンダーは今日マイナスランドとジャマルが組織間で同盟を組んことを冬先とウルフェンに説明できたのだが、謎の声の主の名前が思い出せずにいた。
「ディアロスだ。私の名前を忘れるとは無礼千万な奴め・・・・・フン。貴様が幹部でなければ、今頃 貴様はこの世に存在していなかったぞ。」
「・・・ああ、すまなかった。」
「ディアロス」と名乗った者は自分の名前を忘れていたジェンダーに対して見下すような視線を向ける。
それに対してジェンダーは特に何か反応することなくディアロスに対して謝罪した。
「その達観した態度・・・まあいい。おい、そこの貴様。」
ディアロスはジェンダーの対応が気に入らない様子だったが、これ以上の追及は断念した。すると次はウルフェンに対して視線を向ける。
「な、なんすか・・・・。」
ウルフェンは身構えながらディアロスに視線を向ける。
「いくら違う組織と いえど、我はジャマルの幹部が1人、ディアロスだ。・・・・・・頭が高いのではないか?」
そう言うとディアロスは手のひらをウルフェンに向かって かざす。
すると突然 ウルフェンの頭が床に首を垂れながら這いつくばった!
「?!、あ、頭が・・・思うように動かねえ!!」
しかし、それはウルフェンの意志とは無関係の行動であった。勝手に自分がディアロスに対して無意識に頭を下げ、しかも なぜか頭を上げることができないことに困惑する。
「それと、貴様。」
ディアロスが動けなくなったウルフェンを確認した後、今度は自分に対して背を向けている冬先に話しかける。
「?!、リュウト逃げろ!!!」
「え?」
冬先はウルフェンが「逃げろ」と叫んだので思わず人間の顔のままで振り返ってしまった。
だが幸運にもディアロスに顔を見られることはなかった。・・・・・・・・・なぜなら、冬先の目の前には自分に向かって巨大なエネルギー弾が冬先を消し飛ばそうと向かってきていたからであった。
また気が向いたら頑張る




